越境学習に組織で1年取り組むとDXはどこまで進むのか

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越境学習に組織で1年取り組むとDXはどこまで進むのか

みなさん、おはようございます!タカハシ(@ntakahashi0505)です。

こちらの記事は、タカハシが音声メディアVoicyの「スキルアップラジオ」にて放送した内容から、ピックアップしてお届けします!

今回のテーマは、越境学習に組織で1年取り組むとDXはどこまで進むのかです。

なお、以下で実際にお聴きいただくこともできます!

では、よろしくお願いいたします!

越境学習支援プロジェクトについて

今日は組織で越境学習に1年間取り組むとどうなるのかという話をしていきたいなと思っています。

まず前提情報からなんですが、僕が代表を務めていますノンプログラマー協会という組織で、越境学習支援プロジェクトというのを提供しています。

この越境学習というのは、皆さんが普段働いてる職場をホーム、それとは異なる場所をアウェイとして、そのホームとアウェイを行き来することによる学習のことを言います。

これによってイノベーションを起こしたり、ビジネスを変革したり、そういった探索系の能力を身につけられると言われていまして、今、人材育成の文脈で非常に注目されているんです。そして、この越境学習で身につけられる能力のことは冒険する力などと言われています。

越境学習にはアウェイの場所を用意する必要があるんですが、今回提供している越境学習支援プロジェクトでは、僕が運営してる学習コミュニティ「ノンプロ研」をアウェイとして用意しています。

ノンプロ研も活用

ノンプロ研は、表計算ソフトのスキルやプログラミングスキル、そういったものを仲間と共に学んだり教えあって身につけることができる環境なので、要するにデジタルスキルを身につけられるわけなんです。

越境学習によって冒険する力を身につけることができる、プラス、ノンプロ研ではデジタルスキルを身につけることができます。

これを組み合わせると、今まさに必要とされるDX人材を育成するのに最適なんじゃないかということで提供させていただいています。

イムス富士見総合病院さんの越境学習の成果レポート

この境学習支援プロジェクトなんですが、2022年の3月からトライアルスタートしていまして、その頃からずっと継続して参加いただいてるのが今回紹介する埼玉のイムス富士見総合病院さんです。

最初第1期のトライアルで4名の方が、そして9月からの第2期でさらに4名の方が越境学習に参加されています。

スタートして1年経っているんですが、病院としては何をどこまで達成できていて、これからどうするのかみたいなところが見えてきましたので、先日のノンプロ研の定例会でお話いただきました。今日はそのレポートをお送りします。

病院DX~鈴木院長

まずは鈴木院長から病院DXというテーマでお話しいただきました。

DXという文脈で言うと病院では切実な悩みがありまして、一般的にデジタル人材を採用しようとしても、病院には来ないのが普通だそうなんです。そりゃそうかもなって思います。

かと言ってコンサルを依頼すると多大なコストがかかってしまうということで、そもそもDXを進める上での人材の確保から頓挫しやすいといった状況があるわけです。

そこでイムス富士見総合病院では、Google Workspaceの導入とタブレットの配布、そしてこの越境学習支援プロジェクトに取り組んだいうことになります。

バックヤードの改善進む~Google Workspaceとタブレット導入

Google Workspaceとタブレットに関しては、まずは管理職へ導入しました。コミュニケーションを電話対面からテキストへどんどん移行して、文書もドライブで共有するようにしたんです。

それによってコミュニケーションがフラットになって、最新情報が常に誰でも見られるようになったということです。

あと、面白いメリットとして、会議以外の時間にメンバーが考えるようになったともおっしゃられていました。

これまではコミュニケーションの機会が会議に限定されていたので、そこでしか考えなかったメンバーたちが、チャットで随時コミュニケーションになったことで、普段から考える機会が増えたと思うようになったとそうなんです。これはなるほどなって思いました。

このタブレットとGoogle Workspaceは、今後は一般職員にも展開されていくそうです。

次の課題は診療~越境学習の効果に期待

このようにしてバックヤードの方は明らかに改善に向かっているんですが、一方で、病院の本来のサービスである診療のところは、まだ課題が山積みとおっしゃられていました。

診療するために必要な情報をうまく揃えられていなかったりとか、適切にアップデート、共有できていないとか、そういったことはまだあるあるそうなんです。

そのためには、これまでの枠組みを取っ払って課題に向き合うそういった力が必要だと強調されていまして、そこはまさに越境学習の効果が期待できるところかなっていう風に思います。

1点、病院DXで言うと患者さんに良いことをするっていうビジョンに関しては関係者全員が一致してるので、そこは同じ方向を向きやすいんじゃないかなと思います。

リハビリ科吉田技士長~拒否反応の壁を乗り越えたお話し

続きましてリハビリ科の吉田技士長のお話です。吉田さんは第1期に越境学習に参加して、プログラミング言語Google Apps Scriptをマスターされました。

データの正規化、フォームの活用、スプレットシートの自動更新、LINE Botなどなど、数々のツールを導入してチームの業務をどんどん改善していったんです。ここまでは非常に順調だったとおっしゃられていました。

ただその後、その事例を抱えて他部署へ展開しようとした時に、かなり他部署から拒否反応に合われて壁ができてしまったそうです。

管理職が越境学習組と非越境学習組に分断され、なかなか健全な会話ができないような状況になってしまったそうです。

その後吉田さんが、そこをどう乗り越えたかっていう話もされていたんですが、自分からの視点だけで、相手への配慮が欠けていたっていう風に反省されていたんですね。つまり、押すのをやめて寄り添うスタイルに変更されたっていうことなんです。

例えば、研修会とか体験会を開催して一緒に成功体験を積み重ねる、そういった方法にスイッチしたそうです。

それによって少しずつ扱い始めてもらって、会話もできるように戻っていったということを話されていました。

ここは、DXを進める上で非常に重要な学びの部分かなっていう風に感じました。

看護部戸田副看護部長~時間をかけて丁寧に展開

そして最後、看護部の副看護部長戸田さんのお話です。

全職員で850人いる病院の中で、看護師はなんと360人の大所帯なわけなんですね。スタッフの中には高齢の看護師さんもいらっしゃいまして、ITリテラシーは総じて高くないという状況だそうです。

一方で看護師さんの業務自体は非常に多岐に渡るもので、もちろんミスは許されませんし、夜勤もある非常にハードな業務です。

情報共有と看護記録の改善

そのうちかなりウエイトを占めている業務が看護記録と情報共有で、これに大体1日2時間ぐらいかかっているそうなんです。

その課題をどう解決していくかっていう話しをされていました。戸田さんも、吉田さんと同じく第1期で越境学習に参加されています。

まずどういった取り組みをされていったかと言いますと、師長さんたちを巻き込んで、議事録をドキュメントで作ってドライブに保存する、これをみんなでやってみるっていうところからスタートされたそうです。

次に、手書きの健康観察シートの入力をGoogleフォームに変更する、というプロジェクトに着手されます。

講習会、1部署トライアルからの全体展開

職員の皆さんに対して講習会を開催して、一緒にやってみる。その上でまずは一部署でトライアルスタートをし、問題ないことを確認して全体に展開していく。このような丁寧な進め方をされていたんです。全体として5か月くらいかけて移行したとおっしゃられていました。

これによって、年間5400枚の紙仕事を削減してシュレッダー業務も減らせたわけです。そして看護師さんたちは、どこにいても記録をつけるようになったと。

360人の方の業務が変わったということなんで、合わせると本当に凄まじい業務改善だなっていう風に思います。

1年間の振り返り~個人から部署、部署から全社へ

ということで今回、お三方から非常に学びの多いお話をいただきました。ここまでの1年間をまとめてみますと、第一期の半年間かけての業務改善の範囲は、個人から部署という感じだったんです。

吉田さんや戸田さんのようなリーダー層が越境すると、部署の業務改善がスムーズにできるので非常に有効だなっていう風に感じます。

戸田さんのように大きい部署で言うと、まずは師長さんまでのユニットで取り組むっていう段階なのかなと思います。

続く半年、第2期で言うと、部署から全社への展開を進めていくというような感じでしたね。

この段階で言うと、吉田さんがおっしゃられていたように、越境学習者とそうでない方との分断が起きるリスクがあるということなんです。

それを乗り越えるために必要なのは寄り添って対話をすることと一緒に体験を共有するということです。

吉田さんは、もうガチンコでこの課題にぶち当たってしまったんですが、戸田さんは最初から丁寧に対話して体験を進めていたので、時間はかかったにしても、スムーズに展開できたっていうところなのかなっていう風に思います。

対話と一緒に体験をするところで言うと、今回のイベントで最大の学びと言ってもいいのかなっていう風に思いました。

越境学習3期のスタート~楽しみな今後の展開

皆さん、この1年ですね、お話聞く限り、相当な苦労をされる局面もあったなっていう風に思うんです。

コミュニティを使った越境学習の事例なんて他にはほとんどない状態で、海のものとも山のものとも分からないのに、このプロジェクトにかけて参加してくださって本当に感謝だなっていう風に思っています。

しかし、1年でここまで組織のあちこちで業務改善が起こって変革を起こしてきたっていうのは、かなり順調と言っても良いんじゃないかなっていう風に思うんです。

これが、例えば3年経つとまどこまで進めているのか、僕としてはもうワクワクしかないっていう感じです。いよいよ、これから3期がスタートしていくということになります。

鈴木院長が課題としてあげる診療の領域にどこまでDXが踏み込んでいけるかっていうところなんですが、今後のイムス富士見総合病院の病院DXについては僕も全力でサポートしていきますし、皆さんも見守っていただければ嬉しいなと思います。

ということで、今日は組織で越境学習1年取り組むとどうなるのかという話をさせていただきました。

きちんと進めることによって個人、そして、部署の業務改善はもちろんなんですが、越境学習者が中心となってDXを進める推進チームができて、全社へのDXへの一歩進み始める。

これが組織として1年間越境学習に取り組むとこうなるよっていう形なのかなっていう風に思います。ぜひ、越境学習進めたいが、何から始めていいかわかんない経営者さん、DX推進担当の方いらっしゃいましたら、ぜひです。リンク貼っておきますので越境学習支援プロジェクトご覧いただければと思います。

こうした事例がたくさん出てくることによって皆さんに勇気を届けられるんじゃないかなっていう風に思います。

まとめ

ということで、今日はVoicy「スキルアップラジオ」の放送から「越境学習に組織で1年取り組むとDXはどこまで進むのか」をお届けしました。

タカハシのVoicyの放送はこちらからお聴きいただけます。

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では、また。

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