なぜ、企業ではChatGPTが使われないのか

  • ブックマーク
なぜ、企業ではChatGPTが使われないのか

みなさん、こんにちは! タカハシ(@ntakahashi0505)です。

ChatGPTをはじめ生成AIはこれだけ大ブームを巻き起こしていながらも、企業のでの生成AIの利用実態はまだまだ低調と報じられています。

なぜ、企業ではChatGPTが使われないのか」。

今回は、新たな切り口から考えてみたいと思います。

では、行ってみましょう!

企業での生成AIの利用実態

企業での生成AIの利用実態は、調査によってかなりばらつきがあり、1割程度~5割程度とかなり幅があります。

調査対象の範囲や、何をどう尋ねるかで違ってくるものと思います。

僕の観測範囲で、5割程度のビジネスパーソンが使っているかというと、さすがにそこまで多いとは思えません。

未だに、「知らない」「触ったことがない」という人は、一定数、それなりにいる印象です。

仕事で使っているかというと、10人に1人くらいというのは、わりと実態に合っているような気がします。

みなさんの実感ではいかがでしょうか?

生成AIを使わない理由は?

また、それら調査でよく尋ねられるのが、「生成AIを使わない理由」です。

「使いどころがわからない」「正しくない回答が出力されるリスクがある」など色々と挙げられていますが、正直、この質問に意味があるケースは少ないように思います。

というのも、少なくない方は「なんとなく、とくに理由もなく、使っていなかった」ということもあろうかと思いますが、選択肢が具体的に与えられると「それっぽいやつ」にチェックを入れてしまう傾向があると思われるからです。

他のITツールと同様、使わない理由を探るのは容易ではないように感じています。

ChatGPTを社内に配ってもあまり使われない本当の理由

そんな中、Qiitaの記事「ChatGPTを社内に配ってもあまり使われない本当の理由」では、面白い考察がなされていました。

使われない理由は、「使えるところがあまりない」という主張です。

この切り口について紹介しますので、一緒に考えていきたいと思います。

ChatGPTができるタスクはどのようなものか

前提として、ChatGPTができるタスクはどういったものかをまず考えます。

記事によると、以下にあげるタスクです。

  1. 一般論で解けるタスク
  2. 最新情報のWeb検索で解けるタスク

つまり、公開情報で解けるタスクとくくることができます。

公開情報を用いるタスクで活躍できる職種として、企画・マーケティング、研究者・リサーチャー、ITエンジニアなどが挙げられています。

しかし、実際のビジネスパーソンのタスクは、公開情報で解けるタスクだけではありません。

公開情報だけでは解けないタスクも多数存在しています。

たとえば、人事・総務などは社内情報を多く取り扱いますし、営業であれば取引先情報が重要であり、それには公開されてない情報も多く含まれます。

「この会議には誰を招待するのが望ましいのか」「この新規の取引先キーマンをたどるにはどうすればよいのか」などの問いをプロンプトで投げても、予想通りの一般論だけが返ってくるだけと強く予想できます。

いわば、生成AIは優秀な外注と一緒といえます。契約したのであれば、NDAを結んで、必要に応じて社内のコンテキストを渡していく必要があります。

生成AIも同様のものと考えます。これについては、社内のコンテキストを渡して生成AIを活用するための「RAG」と呼ばれる技術が今注目されていますが、これについては、また別の機会に紹介したいと思います。

日本が生成AIの活用に遅れている理由は

だとすると、もうひとつ疑問が湧いてきます。

公開情報だけでは解けないタスクは、日本以外の海外の職場でも同様に存在するはず。

では、なぜ日本だけが生成AIの活用に大きく遅れを取っているのかという疑問です。

総務省は、2024年版「情報通信白書」で生成AIの利活用について、国内外を比較した調査結果を発表しました。

日本の生成AIを業務で利用している割合は46.8%でした。一方、他国でいうと中国(84.4%)、米国(84.7%)、ドイツ(72.7%)となっており、日本だけがダントツで少ないというのが見て取れます。

社内コンテキストの重要性が高すぎる?

ひとつの仮説としては、日本企業が傾向として、単純に新技術の受け入れ、新しい取り組みに消極的であるというのが考えられます。

他のIT技術についても、これまで同様に日本企業は消極的であったことを考えると、これもあるのではないかと思います。

別の仮説としては、業務において社内コンテキストの重要性が高すぎるというのもあるかも知れません。

つまり、公開情報を活用をする人材よりも社内コンテキストを扱う職種の人材の比率が多い、または本来なら公開情報だけで業務が進められるのに社内コンテキストを用いることを求められやすいといったことです。

たとえば、社内決裁のために社内政治をしたりとか、根回しが必要だったりとか、そういった類の業務が思い浮かびます。社内キーマンのスタイルとか好みとか人間関係とか…そういったものは、当然公開されていませんし、暗黙的であることも少なくありません。

みなさんはこの点、どうお感じになられたでしょうか?

いずれにしても、決めつけすぎずにいろいろな切り口で、解像度高く考えていきたいものです。

まとめ

以上、「なぜ、企業ではChatGPTが使われないのか」についてお伝えしました。

引き続き、みなさんがいきいきと学び・働くためのヒントをお届けしていきます。次回をお楽しみに!

この話を耳から聴きたい方はこちらからどうぞ!

  • ブックマーク

この記事を書いた人