多重下請け構造を中学生にもわかるように解説してみる

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多重下請け構造を中学生にもわかるように解説してみる

みなさん、おはようございます!タカハシ(@ntakahashi0505)です。

こちらの記事は、タカハシが音声メディアVoicyの「スキルアップラジオ」にて放送した内容から、ピックアップしてお届けします!

今回のテーマは、多重下請け構造を中学生にもわかるように解説してみるです。

なお、以下で実際にお聴きいただくこともできます!

では、よろしくお願いいたします!

多重下請け構造について

今日は多重下請け構造について紹介します。

皆さんはプログラミングの授業もはじまったことだし、以前116回目 の放送 #116 ソフトウェア開発を中学生にもわかるように解説してみる でもお伝えしたとおり、僕らの身の回りはソフトウェアで溢れているんですね。

将来ソフトウェア開発に携わりたい、だからIT業界に入りたいというみんなも多いと思います。

その上で、知っておいて欲しいワードとして「多重下請け構造」というのがあるので解説します。

複数の会社で仕事を分担する

以前 #123 アジャイル開発を中学生にもわかるように解説してみる で、アジャイル開発とウォーターフォール開発と2つのソフトウェア開発の進め方があるとお伝えしました。

国のシステムとか、銀行のシステムとか、規模が大きなソフトウェアの場合、複数の会社で分担して、多くの人数をかけられる、ウォーターフォール開発で進められることも多いわけです。

このときに、ステップとしては、要件定義→設計→実装→テストと進めていきます。

元請けから次々に仕事を依頼していく

それがビジネスにおいて、どんなふうに進められていくかより具体的に見ていきます。

例えば、ある巨大なシステムを作りたい組織や企業があるとします。国とか大企業とかとします。

そのときに、いずれかのソフトウェア開発会社に依頼をします。この最初に受けるソフトウェア開発会社を、もとを請けるということで「元請け」などといいます。

この元請けさんは、自分のところのエンジニアだけですべての工程を引き受けられないとなったら、たとえば要件定義までとか、もしくは設計までといった具合にウォーターフォールの最初のほうの工程だけ担当して、その後の工程を別のソフトウェア開発会社、下請け会社に依頼をするということがよくあります。

この二回目に仕事を請けるソフトウェア開発会社を、二回目に請けるということで「二次請け」などといいます。

さらに、この二次請けさんも、自分のところのエンジニアだけで人手が不足していることがあります。その場合、受けきれない工程を別のソフトウェア開発会社に依頼します。

この三回目に受けた開発会社を、「三次請け」といったり、「孫請け」と言ったりします。

このような感じで、すべての工程を賄えるだけのエンジニアの人手が確保できるまで、別の開発会社への依頼を四次、五次と繰り返すわけです。

このように、元請けから次から次へと多重に依頼を繰り返すような役割分担でソフトウェア開発が進められるような構造、これを多重下請け構造というんですね。

多重下請け構造が抱える問題

この多重下請け構造は、いくつかの問題点を抱えています。

エンジニアの報酬が下がってしまう

一番の問題は、エンジニアの報酬が下がってしまうことです。

下請けに依頼をするときに、管理費などと称して自社の取り分を差し引いて依頼をするんですね。

それが多重に繰り返されるから、末端のエンジニアの報酬がだいぶ安くなるという現象が起きます。

元請けが一人のエンジニアを一ヶ月働いたら120万円払うとしているとします。これを人月120万円と言います。

二次請けには人月100万円で依頼して、同じように二次請けから三次請けには人月80万円、四次請けには60万円となります。

どんどん自分たちの取り分を引いた額で、依頼を重ねていきます。

結果的には末端ではエンジニアは半額しかもらっていないのに、働きとしては120万円の価値を期待されてしまうといういびつな構図になっているんです。

無理な働き方につながる

もうひとつの問題は、無理な働き方をさせられやすくなってしまうということです。

末端の下請け会社は予算ギリギリで活動しているんですね。

予定通りに開発が進まず遅延が発生しそうなとき、想定外の問題が発生したときなど、ITエンジニアを増援しようにしても予算がギリギリなので、増員ができないんですね。結果的に末端のエンジニアに無理をして働かせるということが起きやすいという問題があります。

連日荷重な労働が課されるような現場は「デスマーチ」と言われます。日本語で言うと「死の行進」などと呼ばれて過酷な現場の状況を表しています。

今、日本全体としても世界でも、IT人材は非常に貴重で、多くの若者に目指してほしい職業であるものの、日本の多重下請け構造の中でいうと、給料が安くて、無理な働き方をさせられるというネガティブなイメージが広がっていて、職業としての魅力が低下してしまっているという問題を引き起こしているんです。

すべてのITエンジニアが多重下請け構造で働いているわけではない

とはいえ、皆さんがITエンジニアになりたいという点でいうと、安心してほしいポイントがあります。

必ずしも、すべてのITエンジニアが多重下請け構造で働いているわけではないです。

選択肢としては自社のサービスを自社で開発している企業に入るという選択肢があります。

それであれば、多重下請け構造ではないIT業界に入ることができるわけです。

魅力的な企業に入るにはどうしたらいいか

たとえば、Webサービス、スマホアプリなどを自社で開発している企業です。そういった企業は待遇もよく、働きやすい環境が用意されているので、それだけ魅力なので、自らの技術を磨いて実力をつけて、働く能力があるとアピールする必要があります。

中学、高校でいうと、学校で教えてくれることだけでは不十分なので、Webで調べたり、動画を観たり、SNSですごい人をフォローしたり、本を読んだり、自分でどんどん学んでいくことが求められます。

IT業界的にもそういう人材がとても求められているので、その頑張りは必ず報われると思います。

というより、そんなにいやいや辛い想いはしなくてもいいかなと僕は思っていて、好きなものとか、熱中できるものを見つけて、がんがん作りたいものに対してトライしていけば、自然に学習は進んでいくと思います。

なので、ぜひ学校で教えられることだけじゃなくて自分でもやってみたいことを見つけてチャレンジしていくという日々を送ってください。

まとめ

ということで、今日はVoicy「スキルアップラジオ」の放送から「多重下請け構造を中学生にもわかるように解説してみる」をお届けしました。

タカハシのVoicyの放送はこちらからお聴きいただけます。

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では、また。

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