マズローの欲求階層説 vs ERG理論

  • ブックマーク
マズローの欲求階層説 vs ERG理論

みなさん、おはようございます!タカハシ(@ntakahashi0505)です。

こちらの記事は、タカハシが音声メディアVoicyの「スキルアップラジオ」にて放送した内容から、ピックアップしてお届けします!

今回のテーマは、マズローの欲求階層説 vs ERG理論です。

なお、以下で実際にお聴きいただくこともできます!

では、よろしくお願いいたします!

マズローの欲求階層説

昨日224回の #224 リスキリングのモチベーションはどこにある? の中で、モチベーションに関して有名ななマズローの欲求階層説を紹介しました。

この説は、われわれ人間の欲求を5つの欲求が積み上がっているようなものと説明しているんですね。

5つの欲求

どんな欲求かと言うと、上から

  • 自己実現の欲求
  • 自尊の欲求
  • 所属と愛情の欲求
  • 生理的欲求
  • 安全の欲求

という順に積み上げられていると説明しています。

さらに下4つの欲求ががマイナスからゼロ方向のモチベーションを欠乏欲求、最上位のプラス方向の欲求を成長欲求と大きく分類しているんです。

リスキリングのモチベーションとしては、将来しごとが奪われるから…みたいな欠乏欲求ではなくて、純粋に成長したいとか、チャレンジしたいとかそういう成長欲求のほうをモチベーションのほうがいいよねという話をしました。

矛盾する点が出てくる

ただ、この話でいうとマズローの欲求階層説を使うと矛盾しちゃうような点が出てくるんです。

というのも、マズローの欲求階層説には、低次の欲求が満たされることで、はじめてその上に位置する欲求が起動するというメカニズムを唱えられているんです。

ということは、最上位の自己実現の欲求が発動するには、その下位にある欲求がすべて満たされてないといけないということになります。

つまり、たとえばリスキリングでいうと、将来のしごとに強く不安を覚えている状態だと、安全の欲求が満たされていない状態なんです。その安全の欲求が満たされていないと、それより高次の欲求は起動していないから、自己実現への欲求は存在しないという話になっちゃいます。

なので僕のリスキリングのモチベーションとしては、成長しよう!チャレンジしよう!でいいっちゃいいのだけど気になるので、これについて色々と調べてみたというのが今日の話になります。

階層の仮説には例外が存在する

まず、マズロー自身も階層性の仮説には例外が存在するということを認めています。

たとえば、生理的欲求が15%、同時に安全の欲求が30%というように、強度は異なるけれども各階層で欲求が同時に存在していることはあるといっています。たしかにそのほうが雰囲気としては自然だなという気がします。

あと、最上位の自己実現への欲求は、下の階層の状態にかかわらず起動することがある、といっています。

例えば、恵まれない境遇にいながらも、本を読むのが大好きな少年時代を過ごした…みたいな偉人の話はよくありますよね。

ERG理論

他の研究者の間でも、マズローの理論には実証性についていろいろと批判があるらしいです。

たとえば、実証的なデータにもとづいてマズローの理論を修正しようと試みたのが、アルダーファという方で、その提唱した理論がERG理論です。

どういったものかというと、マズローの5階層の欲求を、上から順に

  • 成長Growth
  • 関係Reratedness
  • 存在Existence

の3つに再分類しました。

その頭文字をとって、ERG理論です。

2点、マズローの説とはメカニズムの部分での相違があります。

まず前提として、3つの欲求は同時に起こり得るというのを前提にしています。

そして、例えば真ん中に位置する人間関係の欲求が満たされていないのであれば、人間関係の欲求とともに、存在欲求も満たそうとするということがあるとしました。

階層として下のほうの欲求を求めることがあるということです。

ただ、こちらもまだ解決できていない部分があって、成長欲求が満たされているときは、成長欲求を求め続けるというメカニズムがあるんですが、成長欲求が満たされていたとしても、下位の欲求を満たそうとして、ついつい食べ過ぎ飲み過ぎをしてしまったりすることもあります。

なので、実証データで支持されたとしても、すべての事象を説明するというのはどうやら難しいようです。

モチベーションは複雑な現象

モチベーションの理論は、すごく有名であったとしても、やはりすべてをうまく説明するというわけにはいかないわけです。

それだけモチベーションが複雑な現象ということなんだと思います。

いずれにしても、リスキリングについては、エネルギーを少なく行動を起こせるようにするという方向性と、成長欲求を上手く喚起するという方向性で、両面での戦略、行動設計をすることで、多くの人がスタートを切って走り続けられるようにするということを目指せばいいんじゃないかと思っています。

まとめ

ということで、今日はVoicy「スキルアップラジオ」の放送から「マズローの欲求階層説 vs ERG理論」をお届けしました。

今、デジタルリスキリング入門という書籍を執筆しているんですが、実際のデジタルスキルを身に付けるということに届かないかもしれません。

日本の大人は、ほとんどの人があまり学習習慣がないということなので、そこを上手く動かすのは大事だなと思っています。それでいうと、モチベーションをどう喚起していくかということを一生懸命調べているところです。うまく書籍で説明して活用されていけばいいなと思っています。

タカハシのVoicyの放送はこちらからお聴きいただけます。

チャンネルのフォロー、コメント、SNSでのシェアなどなど、楽しみにお待ちしております。

では、また。

  • ブックマーク

この記事を書いた人