みなさん、こんにちは! タカハシ(@ntakahashi0505)です。
DXが騒がれている中、少なくない企業は変わることができない、変わり始めることができないという現状にあります。
この非常に困難な課題のひとつの鍵として注目されているのが「対話」。
今回は「「全く本音で話せない」が約5割…対話に関する職場の現状とは」と題して、パーソル総合研究所の「職場での対話に関する定量調査」からその現状と可能性について考えていきます。
では、行ってみましょう!
対話は企業変革のひとつの鍵である
書籍『企業変革のジレンマ』は企業変革の処方箋についてとても興味深い道筋が示されています。
硬直化して動かない状態、新しいことをはじめられない状態、そのような組織は少なくないわけですが、この原因は誰が悪いというものではなく、構造的なメカニズムによるものであると。その状態を「構造的無能化」と呼んでいます。
構造的無能化に陥った組織を、自ら経営する組織体へ変える、つまり変革する一つの鍵が「対話」であるというのです。
個人的に対話は注目するテーマのひとつだったので、それと企業変革・DXが結びつく可能性にとても興奮しました。
それで対話について調べていたところ、パーソル総合研究所の「職場での対話に関する定量調査」を見つけました。
今日はその前半。職場での対話の現状と個人や組織に与える影響について紹介していきます。
職場では本音で話せているかどうか
全く本音で話せていないビジネスパーソン
まず、本音で話せているかどうかです。
ここで、本音で話す=対話とは限りませんので、その点は留意しながら見ていきましょう。
「全く本音で話していない」と回答した方が、上司との面談で41.6%、チーム内の会議で43.0%でした。本音で「2割ほど話せている」と回答した方を合わせると、いずれも5割を超えました。
一方、「8割以上本音で話せている」と回答した方は、上司との面談で9.6%、チーム内の会議で9.7%でした。
つまり、十分に本音で話せている人は1割程度、ほとんど本音で話せてない人が半数程度となります。
本音で話せている相手は誰か
次に、「職場で本音を話せる相手は?」という質問では、「同年代の同僚」が1位で25.6%でした。
この質問に対し、職場内に「本音で話せる相手がひとりもいない」と回答した人がなんと50.8%に上りました。
つまり、半数ほどのビジネスパーソンが誰とも本音で話せていないということになります。
本音で話せている職場だと感じるか
職場のメンバーが本音や自分の意見を話せていると思うかどうかを職位ごとに尋ねています。
一般社員は5点満点中、2.93ポイントでした。
それに対して、事業部長は3.53ポイント、役員は3.25ポイントとなりました。
つまり、上の職位にいくほど職場メンバーも自分も本音で話せていると感じている傾向が強く、この点で職位による認識のギャップが現れています。
これはやっかいな問題を引き起こします。
なぜなら、上の人ほど「できている」と感じてしまっているわけですが、実際には「できていない」。
現場からすると、本音で話せないと感じているので、組織としてはその事実が共有される機会に恵まれません。
そのような状況では、改善のチャンスを生み出されづらいのです。
対話のもたらす影響
本音で話すビジネスパーソンの特徴
本音で話す度合いの高低別に個人の特徴を見たところ、本音で話せている人ほど以下の4つの項目が高い傾向が見られました。
- ジョブ・クラフティング(自分に与えられた仕事を主体的に捉え直すことで、やりがいのあるものに仕事を創り変えていく取り組み)
- ワーク・エンゲイジメント(仕事に対しての活力・没頭・熱意といったポジティブな心理状態のこと)
- 個人パフォーマンス
- はたらく幸せ実感
一方で、本音で話せている人ほど、はたらく不幸せ実感は低い傾向が見られました。
本でで話す職場では何が起きるか
本音で話せるコミュニケーションは組織にも良い影響をもたらします。
以下のような傾向があると報告されています。
- メンバーが何に詳しく・関心が高いかを知っている「メンバーの知識・関心に対する知識(トランザクティブ・メモリー)」を蓄積する
- 組織の中で変化を起こすことは大変であり、今のままでいいとする意識「変化抑制意識」を低下させる
また、これらによって、それまでの知識を捨て、仕事のやり方・手続き・考え方などを変える「アンラーニング」が起こりやすくなっている傾向が見られたそうです。
これは冒頭の問い、つまり「対話が企業変革のひとつの鍵となる」を後押しするものといえます。
まとめ
以上、「「全く本音で話せない」が約5割…対話に関する職場の現状とは」についてお伝えしました。
半数のビジネスパーソンは職場ではほぼ本音で話せていないという現状があります。
そして、本音で話すことは個人にも組織にも良い影響をもたらします。しかも、組織については変革につながる「変化抑制意識の低減」や「アンラーニングの促進」を後押しする傾向が見られました。
とはいえ、多くの場合、本音で話せていない現状。どのような条件が本音で話せる、または話せないようにしているのか。それについては、以下の記事で続きをお伝えしています。
引き続き、みなさんがいきいきと学び・働くためのヒントをお届けしていきます。次回をお楽しみに!
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