今年読んでよかったビジネスパーソン向け書籍3選

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今年読んでよかったビジネスパーソン向け書籍3選

みなさん、おはようございます!タカハシ(@ntakahashi0505)です。

こちらの記事は、タカハシが音声メディアVoicyの「スキルアップラジオ」にて放送した内容から、ピックアップしてお届けします!

今回のテーマは、今年読んでよかったビジネスパーソン向け書籍3選です。

なお、以下で実際にお聴きいただくこともできます!

では、よろしくお願いいたします!

リスキリングは経営課題

まず初めに紹介するのが、「リスキリングは経営課題」という書籍です。

著者は、パーソル総合研究所の小林祐児さんです。

リスキリングの研究と言えば、小林さんという感じでメディアでもあちこち登場されている方でいらっしゃいます。

こちらの書籍は光文社新書から2023年の3月に発売されています。

そして、ボリュームは360ページです。

こちらの書籍はタイトルの通りなんですが、企業がリスキリングをどう捉えて、どう進めるべきかといったことを伝える書籍になっています。

ベースとしては、2022年に調査されたリスキリングとアンラーニングについての定量調査がベースになっています。

世の中の会社で一般的に行われているリスキングの捉え方や進め方に関して、結構問題あるよということを指摘する書籍になっています。

工場モデルを批判

前段で一般的にやられているリスキリングを工場モデルと呼んでいまして、これを痛烈に批判しています。

工場モデルというのは、いわゆる工場のようにあるべきスキルを持ったビジネスパーソンの姿があって、それに対してプログラムを提供することで、みんなが同じスキルを身につけられるようにしようというリスキリングの進め方です。

では、そのあるべきスキルをどうやって定義するのかという話です。

これだけ変化が激しい時代で、かつ、ビジネスパーソンもそれぞれ異なる部署で異なる仕事に従事しているわけです。なので、まずはそのスキルの定義が難しいです。

また、世の中でよくやられているリスキリングの進め方は、たとえば動画サービスやeラーニングといったものが挙げられます。学習をする従業員はもうすでにそんなの与えなくてもやっていますし、一方でやらない従業員は、そんなの与えられたところでやりません。

つまり、従業員ごとのモチベーションの差などによって、やる人とやらない人が出てきちゃう、これってどう解決するのだろうといった話もあります。

こういったいくつかの理由から、今のリスキリングの捉え方だとうまくいかないよと、警鐘を鳴らしているわけです。

変化抑制意識

あとは、こちらはデータが元になっていますので、そこから重要な発見が見出だされているのです。

僕としてすごく良かったなというのがいくつかあります。

1つは変化抑制意識についてです。

組織で活動している限り、誰かが変化を起こそうとすると、周りにも変化を促さないといけないということです。周りにも変化を促すのは、負荷としてとられてしまいます。なので、組織になった場合は、変化をしないようにといった意識が働きやすいということなんです。

これは確かにそうだなと思います。

リスキリングに重要な3つの行動

また、リスキリングを進めていく上で、重要な要素が3つあるという話です。まず1つは、今までのやり方を棄却していくアンラーニングです。

それから、組織内外の他の人と交流しながら学んでいくソーシャル・ラーニング。そして、学んだことを実務だったり他の何かと関連付けるラーニング・ブリッジング。

この3つの行動がすごく大事だよと言っています。

非常に興味深いことに、僕が主宰しているコミュニティノンプロ研ではこれが全て揃っているのです。まずはノンプロ研への越境学習において、アンラーニングの効果が得られます。

今までの固定観念を解きほぐして、多様な価値観を受け入れられるようになるといった器ができます。

そしてソーシャル・ラーニングはまさにその通り、他の人と学ぶ場所になっています。

ラーニング・ブリッジングに関していうと、もちろん学んだスキルを皆さんの組織で使ってもらうという、実務で使うというのはすごく大事なんです。

一方で、ノンプロ研の中のたとえば発表イベントや勉強会でアウトプットの機会がたくさん用意されています。なので、ここからもリスキリングとコミュニティ、この2つの相性はすごくいいんだなということがわかります。

上司の探索行動もリスキリングに影響する

あともう1つ面白いデータがあったのですが、上司の探索行動によって、そのチームのリスキリング行動に影響があるという話です。

これは先ほどの変化抑制意識に関連しているのですが、やはり上司にブロックされちゃうなと思っていると、その変化を起こそうという気も起きません。そうなるとそのための学習も別にいいやとなってしまいます。

リスキリングをうまく進めたいと考えた場合には、どんなプログラムを用意すればいいかというだけではなくて、人材配置にも目を向けていかないといけないといった話になります。

ということで、こちらの書籍はリスキリングがブームになってからしばらくしてから出たものなんですが、それまではリスキリングしないとやばいよ、こんな大雑把な推進の仕方だったんです。

組織で進める場合にどういった課題があって、それをどの方向で対処していくのか、そういったリスキリングの解像度を1段高めてくれた画期的な書籍だったんじゃないかなと思います。

アンラーン戦略

続いて紹介しますのが、「アンラーン戦略」です。

こちらの著者はビジネスアドバイザー、起業家のバリー・オライリーという方です。出版社はダイヤモンド社で、2022年11月に出版されています。ページ数は340ページとなっています。

こちらは、組織としてどうやって変革をしていくかということを解説する書籍です。

3つのステップによる継続的なサイクル

「アンラーン戦略」と呼んでいるのですが、このアンラーンという活動は、3つのステップによる継続的なサイクルであると定義しています。

その3つのステップが何かというと、脱学習→再学習→ブレイクスルーの3つであると伝えています。

脱学習

脱学習というのは、世間で言われているアンラーニングとほぼ同義なんですが、これまで蓄積した考え方、行動様式を手放すということです。

そうしないと、新しいものは入ってきません。

再学習

無事に脱学習ができれば、再学習ができるわけです。

今までとは違う行動をして、実践的、経験的な学習をしていくといったステップに入ることができます。

ブレイクスルー

そして、この脱学習、再学習をすることによって得られる結果が、ブレイクスルーということになります。

このブレイクスルーの結果を、きちんと内省して、再度アンラーンのサイクルにフィードフォワードしていくわけです。

これによって、アンラーンをずっと継続的にしていこうという考え方が、このアンラーン戦略になります。

B・J・フォッグの行動モデル

僕は個人的にこの書籍で最も収穫だったのが、B・J・フォッグの行動モデルです。

B=MAP、このスキルアップラジオでも何回も紹介しているのですが、Behavior、行動を起こすためには、MとAとPがどれも必要だよと。

Mはモチベーションで、Aがアビリティ能力で、Pがプロンプトきっかけになります。起こしてほしい行動が大きいと、MやAが大きくないといけないわけです。つまり、モチベーションが高くて能力も高いといった状態でなくてはいけないと。

行動のステップを小さなものにしよう

この書籍では、行動のステップをとにかく小さなものにしようと伝えています。それによって、その行動を起こす労力、心理的負荷、想定されるリスク、これらが小さく抑えられるわけです。

これは本当にリスキリングやDXでいうと、すごく大きなヒントになるなと思っています。すごく大々的な物事の動きがあるよといった説明の仕方だと、すごくみんな不安になっちゃいます。しかも、そんな時間も労力もないよとなります。

ただし、最初の1歩をものすごく小さくしてあげることで、それであればできそうだなというふうに思ってもらえるわけです。

脱学習の事例

あと、この書籍で印象的だったエピソードがありまして、航空会社グループのIAGという会社があるのですが、そこでの脱学習の事例です。

経営陣6名を脱学習しようとした時にどうしたかというと、その6人を完全に現場から外したのです。

足元の実務に関わってはいけないとしました。では、代わりに何をするかというと、2ヶ月間、新規事業だけを考えるということをミッションとして与えたのです。ただ、ここまで大掛かりなことはなかなかできないというところもあるかもしれません。

越境学習がオススメ

その場合は、越境学習がいいんじゃないかなと僕は思っています。

ホームとアウェイを、行ったり来たりするわけなのですが、アウェイで十分に活動する必要はありますが、固定観念を解きほぐすような効果はあると言われています。

それほど思い切った負荷をかけずに脱学習をしたいのであれば、越境学習が向いているんじゃないかなと思います。

リーダーがすごく大事

最後に付け加えると、この書籍でもリーダーがすごく大事と言っていて、とにかく「リーダーが全てを知っている」といった固定観念を持ってしまっていると、ピーターの法則によって、リーダーの能力の天井で全ての成長が止まってしまうわけです。

なので、リーダーの出す学習の環境をいかに用意するか、これがすごく大事という話なんじゃないかなと思います。

「変化を嫌う人」を動かす

最後に紹介する3冊目が「「変化を嫌う」人を動かす」です。

著者は、経営学者のロレン・ノードグレンさんと、ディヴィット・ションタルさんのお二方になります。

出版社は草思社で、2023年2月に出版されています。ページ数は312ページとなっています。

変化を嫌う人を動かす、つまりDXとかリスキリングで言うと、ここが本当に本丸の活動と言ってもいいんじゃないかなと思うのですが、ここに正面から切り込んだ書籍です。

たとえば、お客さんに商品を売ろうと考えた時に、こんな割引もありますよ、こんなおまけもつきますよといったメリットを増し増しにするというやり方を多くの人は好んで使います。ただし、なぜか売れないということはあります。

魅力的なはずのアイデア、製品、サービスがなかなか相手に受け入れてもらえないといったことがあるのはなぜかという話です。

「抵抗」を減らすアプローチを考えるべき

この書籍によると、相手が受け入れたくない理由がある、それを「抵抗」と呼んでいます。

人に動いてほしいのであれば、その魅力を増し増しにするという、これを著者は「燃料」と呼んでいるのですが、そのアプローチではなくて、その受け入れたくない理由、「抵抗」を減らすアプローチも考えるべきだというのが、この書籍の主張になるわけです。

「抵抗」には4つの種類がある

そして、この書籍によると、その「抵抗」には、「惰性・労力・感情・心理的反発」の4つの種類があります。

この4つの分類それぞれについて、その正体を分析して、対処法を提供することがこの書籍の主旨になります。

たとえば、あるITツールがあって、それを入れることで、みんなの仕事が楽になって、残業も減る。

今まで可視化されていなかった情報がデータとしてリアルタイムに可視化される。そしてそれが毎月ユーザーあたり1000円ぐらいで使えるよ、そんな合理的に考えたら、やらない理由はないぐらいの魅力的な提案があるとします。

ただ、その変化を嫌って動かないといった人も、一定数必ずと言っていいほどいるわけです。その理由は、「抵抗」があるからです。

感情と心理的反発

特にDXやリスキリングとかいった文脈でいうと、この4つの「抵抗」のうち、感情と心理的反発、この2つにケアできてない例がとても多いように見えるわけです。

まず、感情ですが、これまでのやり方を否定しなきゃいけない自分がいる、自分が知らないといった状態とも向き合わないといけない。

これは年配のビジネスパーソンほどやはりそうなると思うんですが、ITや新しいことに取り組む場合は、若い人たちとよーいどんで一緒になっちゃうわけです。なので、より一層今まで蓄積してきたものを捨てる量が多く見えちゃうというのはあると思います。

ただ、外から変化をしなさいといった圧力が来ると、変化をさせられまいとする衝動が湧いてくるわけです。これを心理的リアクタンスとも言います。

ビジネスの現場でいうと、感情とか心理的状態をやる・やらないの判断材料として持ち出すというのは、基本的にはナンセンスなことなんです。

変化を嫌う人たちは、感情とか心理的反発が反対する理由なのですが、実際に議論に乗せる場合は、ひとまず別の理由を付けて反対を示します。なので、動かない真の理由みたいなところがとても発見しづらいといった傾向があると言えるんじゃないかということなんです。

他の書籍でもそうなんですが、DXやデジタルリスキリングでいうと、デジタルに関する知識やスキルの高さといったところにフォーカスが当たりがちなのですが、DXで言えばXの部分ですね。

とにかく、どうやって変化を起こしていくのか、変化をマネージメントしていくのか、そういった能力がすごく求められているというのがわかるんじゃないかなと思います。そして、その際にこちらの書籍がものすごく役に立つんじゃないかなと思っています。

まとめ

ということで、今日はVoicy「スキルアップラジオ」の放送から「今年読んでよかったビジネスパーソン向け書籍3選」をお届けしました。

タカハシのVoicyの放送はこちらからお聴きいただけます。

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では、また。

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