みなさん、こんにちは! タカハシ(@ntakahashi0505)です。
香川県高松市にあるオープンイノベーション拠点「Setouchi-i-Base」で、デジタルリスキリング実践講座を担当しました。
前回、レポート第1弾をお送りしました。
今回はその取り組みを振り返り、地域の学習コミュニティづくりの秘訣について考察します。
とうことで、「地域の学び場づくりの秘訣とは!?Setouchi-i-Baseデジタルリスキリング実践講座開催レポートその2」をお送りします。
では、行ってみましょう!
デジタルリスキリング実践講座とは
デジタルリスキリング実践講座は、香川県のみなさんにデジタルリスキリングの方法を学び職場で実践してもらうとともに、地域にリスキリングを目的とした学習コミュニティを形成することも合わせて目指す取り組み。
9~10月にかけて全6回の講義と、Slackでの交流などを通して、取り組んできました。
参加者のみなさんからは「今後もこのコミュニティで活動を続けたい」「Slackのスペースは残してほしい」といった声もいただくことができ、新しいチャレンジではあるものの成功といっていいのではないかと思います。
なぜ学習コミュニティが必要なのか?
そもそも、なぜデジタルリスキリングに学習コミュニティが必要なのかを先に確認しておきたいと思います。
リスキリングはとくに中小企業でうまくいっていない
リスキリングは大企業では進んでいるものの、中小企業ではなかなかうまくいっていないのが現状です。
実際、株式会社4COLORSの調査によると、300名以下の企業でリスキリングを「実施した」と答えた企業はわずか10%、逆に「取り組んでおらず予定もない」という企業は52%に上ります。
リスキリングに取り組まないさまざまな理由
先ほどの調査では、67%の企業でリスキリングの明確な基準がないとされており、リスキリングの目的が不明確であるというのが一つの理由として挙げられます。
また、企業側も従業員側もリスキリングの取り組みに対してモチベーションがない、もしくは維持できないという点も挙げられます。
よく予算や人材の不足、時間の不足と言われていますが、お金をかけなくても、人材がいなくても、1日15分からでもできることはあります。
おそらく、先ほどの「目的が不明確」ともつながっていますが、売上や利益にすぐにつながるイメージが湧かないというのは、取り組まない理由としては大きそうです。
また、個人としては、学びに対する固定観念、すなわち「ラーニング・バイアス」が悪さをしているという可能性が高いです。たとえば、学びとは学校でやるものだ、若者がやるものだ、現場で必要なことだけやるものだ…そういったバイアスです。
そして、学びは一人では苦しく、孤独です。
学習コミュニティはこれらの問題を解決する
こういった問題は、学習コミュニティにより解決することができます。
まず、学習コミュニティでの目的は、学習ですから、「利益」にすぐにつながらなくても問題ありません。そこでは成果が出るまでに時間がかかる学びにも取り組むことができます。
また、仲間とともに学ぶことで、学びの苦しさや辛さや和らぎ、むしろ楽しいものに変わります。それ自体がモチベーションとして活動の源泉になります。これは、コミュニティ「ノンプロ研」やデジタルリスキリング実践講座のみなさんが証明してくださっています。
中小企業向けに地域のコミュニティが求められるのでは
大企業であれば、社内でそういった学習コミュニティを構築することが可能です。
しかし、日本の企業の99.7%を占める中小企業でいうと、単体ではなかなか自発的に参加するメンバーが集まらないという問題があります。
そこを解消できるのが、地域の学習コミュニティです。
地域に根づいたコミュニティがあれば、たとえ自社で取り組むのが自分ひとりからだとしても、そこに参加して、仲間とともに学ぶ活動を開始することができるのです。
地域の学習コミュニティ成功の秘訣
さて、そのような狙いからはじまったSetouchi-i-Baseでのデジタルリスキリング実践講座。その成功要因を紐解きながら、地域の学習コミュニティ成功の秘訣を探っていきたいと思います。
1. 定期的なリアルでの交流
今回の講座では、毎週リアルに集まる機会が設けられました。
やはり、リアルでの交流は強力です。仲間との親密度が高まり、学びへのモチベーションも向上しやすいです。
さらに、懇親会も頻繁に行われ、参加者同士のつながりが一層強化されました。
地域で行うことの強みは、こうしたリアルなつながりが持ちやすい点にあります。
今回は、講師である僕は糸島から通う必要がありました。
しかし、地域に根づいて活動できる、コミュニティコーディネーターや専門家がいることで、このような場づくりはできるものと思います。
こうした人材を育成し、誘致していくことが、地域での学び場づくりの近道といえます。
2. 事務局の積極的な参加
今回の講座を成功に導いたもう一つの要因は、事務局のみなさんの積極的な姿勢、行動といえます。
一般的に講座のような場は、講師対参加者という1対Nの構図になりがちです。
その構図を崩すには、提供側でありつつも、講師ではない立場の人たちの振る舞いが鍵になります。
少なくないケースで事務局のみなさんは、黒子に徹して、目立たないようにしようとされるのですが、それはコミュニティ形成でいうと逆効果です。なぜなら、それは「消極的な行動」のお手本になってしまうからです。
それを見て、参加者も思い切った発言やアウトプットを控えたくなってしまいます。
今回、事務局のみなさんは第3の立場として積極的に参加されました。具体的には、担当者さんはほぼ毎週懇親会にも参加されましたし、みなさんSlackでも積極的に投稿したり、スタンプを押したりされました。
予定していなかった、最後の成果発表プレゼンも率先して登壇してくださるほどでした。
参加者のみなさんがその姿をみて、では自分も一歩踏み出してみよう、そういう気持ちになりやすかったはず。
事務局のみなさんも、コミュニティの大事なメンバーであり、その言動にはみんなが影響を受けるのです。
3. Setouchi-i-Baseの環境
Setouchi-i-Baseの環境も、この学び場づくりに大きく貢献したと考えます。
そもそも、本講座以外にも様々な講座が常時開催されており、参加者のみなさんの多くは、リピートしたり、もしくは同時に複数の講座に参加されています。
コワーキングスペースなど、他の目的の利用もあります。
そもそも、IT関連に興味を持つ意欲的な人々が集まっているのです。
そういった人たちに向けて、参加者の募集をかけることができたので、スタート地点から良いモチベーションだったということが予想できます。
川崎市武蔵小杉の市民大学「こすぎの大学」を運営されている、オカポンさんこと岡本克彦さんが、「コミュニティがうまくいくには、それを包含する地域の特性も大事である」とおっしゃっていたのを思い出しました。
Setouchi-i-Baseの中で参加者を募集し、講座を開催できたというのは大きなアドバンテージだったといえます。
まとめ
以上、「地域の学び場づくりの秘訣とは!?Setouchi-i-Baseデジタルリスキリング実践講座開催レポートその2」についてお伝えしました。
今回の試みは僕にとっても新しいチャレンジでしたが、地域で学習コミュニティをつくる際のポイントをつかみ、そしてそれを実践を通して経験できる価値ある機会となりました。
まずは高松をうまく持続させること、またそれ以外の地域にもぜひこのような輪を広げていきたいと思っています。
引き続き、みなさんがいきいきと学び・働くためのヒントをお届けしていきます。次回をお楽しみに!
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