書評「アンラーン戦略」その1 なぜ脱学習が必要なのか?

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書評「アンラーン戦略」その1 なぜ脱学習が必要なのか?

みなさん、おはようございます!タカハシ(@ntakahashi0505)です。

こちらの記事は、タカハシが音声メディアVoicyの「スキルアップラジオ」にて放送した内容から、ピックアップしてお届けします!

今回のテーマは、書評「アンラーン戦略」その1 なぜ脱学習が必要なのか?です。

なお、以下で実際にお聴きいただくこともできます!

では、よろしくお願いいたします!

書籍「アンラーン戦略」のご紹介

今日は書籍を紹介します。アンラーン戦略 「過去の成功」を手放すことでありえないほどの力を引き出すです。

著者はバリー・オライリーという方で、ビジネスアドバイザー、起業家、作家として活躍されているそうです。

破壊的イノベーションを手がけるスタートアップからフォーチュン500の巨大企業に至るまで、世界をリードする多くの企業をサポートされているということです。バリバリの実務家と言う感じですね。

出版社はダイヤモンド社で、ページ数は340ページとなっています。

きっかけはflier book labo

僕が6月ぐらいから参加しているflier book laboというコミュニティで、Voicyのパーソナリティーとしても有名な荒木博行さんの講座を受講しているんですが、それがきっかけでこちらの書籍を手にとったんです。

最初の講座の時だったと思うんですが、自己紹介のときに、僕がノンプログラマー向けのデジタルリスキリング支援とか組織のDX推進のサポートをしていますという話しをしている中で、組織がいかに変わらないかという課題について話したんです。

そのときに紹介してもらったのがこの書籍になります。

荒木さんのVoicyチャンネル博行のbook cafeの中でも放送されていましたので、合わせてお聴きいただくと良いかなと思います。

書籍の構成

書籍全体の構成は1章から6章までが前半で、7章以降が後半という感じです。

前半の各章のタイトルで言うと

  • 第1章 なぜアンラーンするのか?
  • 第2章 いかにアンラーンするか
  • 第3章 アンラーンの障害となるものをアンラーンする

ここまでが導入と言う感じですね。そして、

  • 第4章 脱学習
  • 第5章 再学習
  • 第6章 ブレークスルー

この3つがアンラーン戦略の根幹の部分になるかなと思います。

というのも著者はこのアンラーンという活動を、脱学習+再学習+ブレークスルーという3つの継続的なサイクルであるという風に定義しているんです。

この3つは何かというのを簡単に説明します。

脱学習

まず脱学習なんですが、過去に役に立ったが今や成功の障害になっている考え方や、身につけた行動様式、パターンとかを手放して、見直すことを脱学習と言います。

これは世間一般で定義されているアンラーンとかアンラーニングとほぼ一致するかなと思います。

手放すとか見直すとか、ちょっとイメージがわかない方もいらっしゃるかもしれません。

「いっぱいのお茶」の例え

この書籍の中では「いっぱいのお茶」という寓話で例えていて、すごくわかりやすいのでご紹介します。

ある大学教授が、禅の僧侶である南隠(なんいん)さんという方をを尋ねたそうなんです。そこで「禅とは何ですか」と質問しました。

南隠さんは客人にお茶をいれていたんですが、器にお茶がいっぱいになっても、お茶を注ぎ続けたていたんです。

教授がそれを見かねて、「もう入りませんよ」と伝えたところ、南隠さんはこう言いました。

「お前さんはこの器と同じなんですよ。自分の考えや意見で満ち満ちている。なのでその器を空にしなければ、禅を語ったとしてもわかってもらえないんじゃないか」と伝えたそうです。

つまり新しい学びを得るためには、それを受け入れる器が必要という話しなんですね。

これは職場でも結構あるかなと思います。

職場の場合の脱学習

例えば部下が新しいやり方やデジタルツールを上司に提案したとします。

上司はそのやり方の費用対効果が合うかかどうか、セキュリティは大丈夫なのか、関係各所に変な影響を与えるんじゃないかなど、いろいろと言い訳をすることがあるんですね。

この言い訳をする背景には、そもそもその提案を受け入れるつもりがない、器がいっぱいになっている、だからこそそういう風に色々と言い訳をしている、というのはよくある話しだったりしますよね。

著者としてはまずこの受け入れる体制、器を空にする作業が必要だと、それが脱学習であると伝えています。

そのためには自分の今までの行動に効果がなかったことを認め受け入れて、それを捨て去り、違うことを始める。そういった謙虚さや勇気が必要と伝えています。

学習する組織

そしてこの活動に関しは、ピーター・センゲという方が書いた「学習する組織」という名著があるんですが、それの成功させるための最後のピースであるという風にも述べています。

組織が学習をして知識を獲得したとしても、現実の変化に伴ってその学習した内容というのは時代遅れになっていくので、それを捨て去るという活動もが必要だよということなんです。

学習する組織の中では、固定観念、世の中の見方であるメンタルモデルが組織の学習において悪さをすることが指摘してされていて、ピーター・センゲも脱学習の必要性を暗に指摘していたんじゃないかとも見えます。

この書籍では、捨て去ることをアンラーンのサイクルに入れることで、より重要視しているのかなと認識しています。

脱学習がうまくいくことによって、新しいデータや情報、視点を受け入れることができるようになります。そして次のステップである再学習に入れるわけなんです。

再学習は小さなステップで

ここでは今までとは違う行動をして、実践的、経験的な学習をしていくステップとなります。

ここで著者が何度も何度も言っていて重要なのは、ステップを小さく踏み出すことなんです。

心理的、肉体的、経済的にも小さな安全なステップを踏み出そうということを何度も何度も伝えています。

例えば1つのモデルとして紹介しているのが、B・J・フォッグと言う方が唱えた行動モデルです。

人の行動がどういった時に起きるのかという数式なんですが、行動Behaviorは、モチベーションMotivation、能力Ability、きっかけPromptの3つがあるときに起きるというものです。

数式で言うとB=M×A×P。

これは掛け算になっていますので、例えばモチベーションがすごく低い状態で能力がまだ足りていない状態でも小さなきっかけで動き出せるように、行動Bの大きさを小さくしておけば十分に行動が起きるというわけなんです。

マインドセットの前に行動を変える

マインドセットを変えよう!という言説をよく聞きますが、この著者は、マインドセット=考え方を変える前にまず行動を変えようという風に言っています。

行動が変わることによって、世界を違った視点で見られるようになり、結果、考え方が変わると伝えています。

つまり順番がマインドセットから行動が変わるのではなくて、行動が変わるから視点が変わってマインドセットが変わるんだということなんです。なのでまず行動を起こす必要があります。

ただ、不確実な未来に向かって行動を起こすのは、大きな一歩だとリスクが大きく見えてしまって行動にうつし切れないかもしれないし、実際に行動を起こして失敗したときのダメージも大きいとですよね。

なのでとにかくリスクの小さい一歩を踏み出そうと、著者は伝えています。そしてこのような小さな一歩を踏み出して行動に移したあかつきには、ブレイクスルーのステップがくるわけです。

ブレイクスルー

ブレークスルーというのは脱学習と再学習により得られた結果のことを言います。

このブレイクスルーの結果をきちんと洞察、内省し、再度アンラーンのサイクルにフィードフォワードしていく。これを繰り返すことによってアンラーンを継続的にしていこうといった話になるわけです。

これは本当に僕が愛用しているOODAループともすごく相性が良い話だなあと感じながら読んでいました。

リスクがないことで、かつ自分の影響の輪の範囲にあること、自分の時間とかモチベーションのリソースを大いにくわないようなことを見つけて、小さな意思決定をしそれを行動に移していく。

それによって環境に影響が与えられ、局面が変わっていくわけです。その変わった局面をまた観察して方向づけし、意思決定する。そういった小さなループを高速に大量に回していくという話しになります。

これによって少しずつではありながらも、環境の局面もどんどん有利な方向に変えていくといった話しです。

まとめ

よし、じゃあアンラーンの3つのステップをサイクルで回していくということはわかりました。

では、いざ組織としてアンラーンを進めていくにはどうしたらいいかといった話がありますので、これは次回に続きます。楽しみにお待ちくださいね。

ということで、今日はVoicy「スキルアップラジオ」の放送から「書評「アンラーン戦略」その1 なぜ脱学習が必要なのか?」をお届けしました。

タカハシのVoicyの放送はこちらからお聴きいただけます。

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では、また。

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