イベント企画からSlackの管理人まで。ノンプロ研メンバーに聞く、コミュニティ運営の醍醐味

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イベント企画からSlackの管理人まで。ノンプロ研メンバーに聞く、コミュニティ運営の醍醐味

プログラミングを勉強するノンプログラマーたちのコミュニティ、「ノンプログラマーのためのスキルアップ研究会」(通称、ノンプロ研)。180人を超えるこの一大コミュニティで、運営を担当しているのがきのぴぃさんです。イベントの企画・運営やプロジェクトのコーディネーター、Slackの管理など、いくつもの役割をこなす大車輪の活躍。きのぴぃさんが1から企画したという親子イベントを軸に、コミュニティ運営の醍醐味について聞きました。

親子イベントで「学校でも家庭でもない、第3の居場所を作りたい」

――ノンプロ研で、コミュニティ運営に携わっているきのぴぃさん。具体的にはどんなことをしているんでしょうか?

親子がセットで参加する「ファミプロ」(ファミリーでプログラミング)というイベントをやっています。未就学児から小学校6年生までの子を対象に月に1度実施していて、僕は企画から当日の進行まですべて担当しています。何かしらのテーマを決めて行うイベント回と、参加者が各自の課題に取り組み、最後に成果を発表する「もくもく会」があります。

イベント回は、どんどん内容の幅が広がっています。例えばロボットを作るベンチャー企業に見学に行ったり、You Tube動画を撮って編集したり。タブレットで魚の絵を描き、プログラミングで動きをつけて、“ファミプロ水族館”を作った回もあります。

――プログラミングのスキルだけではなくて、プレゼン力やグループワークのノウハウなど、いろんな能力が身に付きそうですね。

そうなんです! 子どもたちのアウトプットの場も設けています。ノンプロ研で年末恒例となっているイベントのBT(Beerを飲みながらTalkする)にならい、ST(Softdrinkを飲みながらTalkする)大会と称して(笑)、自分の好きなものや頑張ったことを、フランクに発表してもらっています。

ファミプロの特徴は、年齢によらず全員がフラットな立場であること。子どもが大人に教えることも、またその逆もあります。だから逆に、子どもたちを子ども扱いしすぎないことも大事。全員が1から100まで理解できるように説明する必要はなく、みんなで楽しみながら試行錯誤できるレベルを維持することが必要ですね。習い事ではないので、そもそも成果を出すことがゴールではないんです。

――ファミプロを企画したきっかけは何だったのでしょうか?

僕自身が親として、自分の子どもに「自分の親以外の大人と触れ合う場」を作りたいと思ったことです。ちょうどそのタイミングでノンプロ研主宰のタカハシさんに「やってみない?」とお声がけいただいたこともあり、企画をスタートしました。ノンプロ研のような心理的安全性があって、安心して転べる場所を、子どもにも用意したい。子どもにとって、家庭でも学校でもない世界ってすごく貴重ですよね。知らない大人を前にして勉強の成果を発表する機会なんて、ほとんどないでしょう。

イベント企画からSlackの管理人まで。ノンプロ研メンバーに聞く、コミュニティ運営の醍醐味

子どもにとっては、家庭も学校も誰かから与えられた場所。自分で選んだわけではありませんから、当然、楽しく過ごせないケースもありますよね。そういう場合に、家庭でも学校でもない第3の居場所、自分で選んだコミュニティがあることの安心感は大きいはず。興味の矛先を見つけるきっかけとしても、いろいろな大人と触れ合える居場所としても、救いになれたらと思います。

コロナ禍以降はオンラインでの実施が多く、残念なことに、ほかの参加者と会う機会が激減してしまいました。大きな方向性は変えずに、やり方を調整しながら長く続けていきたいと思っています。

当日の司会を子どもたちに任せる、新しい挑戦

――ファミプロの企画において、大事にしていることはありますか?

大人も子どもも、スキルレベルは当然まちまち。全員が楽しく学べるよう工夫しています。だから、ネタ探しは正直大変(笑)。教育系のセミナーに参加したりネットで調べたりしながら、日々必死に探しています。企画から運営まで、試行錯誤させてもらえているのはすごくありがたいことですね。

それからもう1つ、イベントを企画するときは実現可能性を考えすぎないようにしています。「これは無理かも?」と悩むと、可能性が狭まるリスクがあるので。迷ったらエイっと前に進めちゃうのがいいと思います。

――ファミプロの中で、最近新しくチャレンジしていることはありますか?

この数ヶ月、ファミプロ当日の司会を子どもたちに任せています。仕事として依頼しているので、終了後には謝礼をお渡しします。今のところ、毎月参加している常連の子たちが、挙手してやってくれています。

周りの子もだいたいみんな友達同士だし、大人たちが温かく見守っているファミプロの雰囲気を知っているから、安心感があるんでしょうね。運営として大きな挑戦ですが、子どもたちにとっても貴重な機会だと思います。

「ずっと続くように」仕組みを考えるのが好き

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――きのぴぃさんのパーソナリティも、運営という役割にぴったり合っているように見えます。

僕は、新しいことを考えたり企画したりするのが大好きな性格。特に「ずっと続ける前提」で設計するのが性に合っています。組織の中に流れが淀んでいる部分があったら、整理整頓してスムーズにしたくなるというか。

正直、これは特別なスキルではなくて、意識すれば誰でもできること。別に難しいコードを書いているわけじゃないし(笑)、「僕はこんなことできます!」って堂々と口に出していいのかためらうこともあります。でも、この性格はコミュニティ運営と相性がいいだろうし、僕の強みなんだろうなあと最近は思っています。

――コミュニティ運営側として、気をつけていることはありますか?

ノンプロ研に参加するハードルが高い人たちの気持ちを考えることです! 以前高橋さんに言われたのが、「ノンプロ研へのコミットが高い人=正義だと思いがちだけど、必ずしもそうじゃない」ということ。メンバー全員にその人なりの楽しみ方があるし、組織への関わり方のバリエーションは多いほうがいいんですよね。

ノンプロ研は、地域や職種、スキルの高低、コミット度の高さなどすべての条件に縛られずに、みんなが自分のやり方で楽しめるコミュニティでありたい。実際、Slackを眺めるだけで満足しているメンバーが何人もいますよね。“ノンプロ研ガチ勢”たちの熱のせいで、“ゆる勢”が気まずくなってしまうような事態は絶対に避けたいと思います。

ノンプロ研は、5年間かけて文化を築き上げてきた

――ノンプロ研の変化として感じられていることはありますか?

僕は、ノンプロ研が立ち上がった当日、2017年12月に入会した最古参です。あの頃も今も、フレンドリーな雰囲気は変わりませんよ。

今でこそ一大コミュニティのノンプロ研ですが、立ち上げ当時はプログラミング仲間を求めている人たちの集まりという感じで、運営は手探り状態でした。スキルも基礎レベルの人が多数でしたが、なんだか恥ずかしくて(笑)、質問もあまり出なかった。今は「質問は正義」の文化があるから、毎日Slackのいろんなチャンネルで、たくさんの質問が飛び出しますね。

これはもちろん最初からあったものではなく、5年間かけて築きあげられた文化です。タカハシさんの器が大きく、誰かが何かアイデアを出せば「それ、いいですね!」と言って推進してくれる。そうやって、ノンプロ研の心理的安全性が育まれてきたんだと思います。

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――きのぴぃさんから見て、組織としてのターニングポイントはどこにありましたか?

2つあって、1つは講座ができたこと。講座受講を目的に多くの人が入会してくれて、規模が一気に大きくなりましたし、また知識が体系化されるようにもなりました。ノンプロ研でよく言いますが「教える事は2度学ぶこと」。ペアプロをはじめ、教え合う仕組みがあることの価値は大きいと思います。

フォード・モーター創設者、ヘンリー・フォードに「自分で薪を割ると、二重に暖まる」という名言があります。自分から動くと、受動的にいるよりもずっと大きな収穫を得られることの例えですが、これこそノンプロ研に通じると思います!

もう1つは、コロナ禍をきっかけにオンライン開催に舵を切ったことです。これにより、地方の人もより入りやすくなり、組織として可能性が広がったと思います。

実は考え抜かれている、Slackのチャンネル名

――ノンプロ研では、Slackの管理もきのぴぃさんの担当だとか。

当初は違うツールを使っていましたが、私の希望でSlackに移行しました。SlackはUIが優れているし、GAS(Google Apps Script)との互換性があるのでノンプロ研と相性がいいんです。ノンプロ研のみなさんは本当にアクティブで、よく発言されますよね(笑)。今までの累計メッセージ数は45万件ほど。年間10万件(!)ほどの発言がある計算になります。

僕のこだわりは、チャンネル名です。もともと機械的な名前をつけがちな性格なんですが(笑)、ノンプロ研ではなるべくみんなが迷わないように、ぱっとわかるような直感的なネーミングを心がけています。

例えば「#おしゃべり」と「#ひとりごと」という2つのチャンネル。以前は「#おしゃべり」だけでしたが、「#ひとりごと」を追加したところ発言数が激増しました。あくまでもひとりごとだから何を書いてもOKだろう、とハードルが下がったんだと思います。質問するチャンネルも、元々「#質問チャンネル」でしたがあまり発言が出ず、「#今更なことを質問していいチャンネル」に変えたところ、たくさんの質問が出るように。いつも、気になったところはメモしておいて、少しずつ見直しています。

――名前1つで、みんなのマインドがガラッと変わるのは面白いですね!

僕はすべてを正確に管理したい性格なんですが、ノンプロ研に入って、必ずしもそれは正解じゃないと気づきました。きっちりするところとそうでないところを分けて、メリハリをつけないと、みんなが息苦しくなっちゃうなと。今後も運営側として、コミュニティ全体がうまく回るよう、大きな挑戦から小さなポイントまで工夫を重ねていきます!

※記事内の写真はすべてイメージです。

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この記事を書いた人

さくらもえ

出版社の広告ディレクターとして働く、ノンプログラマー。趣味はJリーグ観戦。仙台の街と人が大好き。