福岡県糸島市で、企業向けのチームコーチングやパーソナルコーチングやイベントのファシリテーターなどを手がけるわおん(栗原和音)さん。2024年、「読書」と「対話」をテーマにしたオンラインコミュニティを立ち上げました。今回タカハシノリアキが、コミュニティ主宰者の仲間として、わおんさんが始めたコミュニティの活動や、かける思いについて聞きました。
※本記事は、2024年8月24日、Voicyチャンネル「『働く』の価値を上げるスキルアップラジオ」で行われた生放送の内容から制作しています。
ふとよぎった「私は読書会が好き」という思いがきっかけに
タカハシ わおんさんは、2024年3月にオンラインコミュニティ「おとのわダイアローグ〜今日を生きる人たちの対話の場〜」(以下、おとのわダイアローグ)を立ち上げました。コミュニティには、以前から興味があったんですか?
わおん コミュニティに所属した経験はあったんですが、正直、がっつりハマったことはなかったんです。周りから「あなたは自分に合うコミュニティを探すよりも、自分でつくるほうが向いてるよ」と言われたのが印象的で、ずっとコミュニティを主宰してみたいとは思っていました。ただ、どういう理由でどんなコミュニティをどうやって立ち上げたらいいか、具体的にはわからなくて。しばらくあれこれ考えながら、様子をみていました。
タカハシ その状態から、おとのわダイアローグを形にしていったのはすごいですね。きっかけは何だったんですか?
わおん 2023年7月に勤めていたIT企業を辞めたのがターニングポイントでした。会社員時代に時間をつくって読書会を開いていたんですが、退職後はストップしていました。どうして時間が増えたはずなのに、好きだった読書会をやめてしまったんだろうと思って。
そこからさらに後押しされたのは、当時習っていたオンライン英会話の先生の言葉でした。その先生は、英語だけじゃなく生き方の話もしてくれる先生で、私が読書会への思いを話したところ、「読書会の話をしているあなたがいちばん生き生きしている。ものごとはシンプルだ。なんでもその延長だと考えたらいい」と言ってくれて。それで、コミュニティをつくろうと決めました。
コミュニティの名前は、私の名前「和音」と「対話」を表すdialogueを掛け合わせて、「おとのわダイアローグ」に決めました。
朝の読書会から始まる1日が、心地よかった
タカハシ 読書会への想いが、きっかけになったんですね。活動は、いつからどんなふうにスタートしたんですか?
わおん 2023年12月ごろに、自宅の近くで読書会をやったのが前身になりました。場所は、福岡県糸島市にある前原商店街の「SAZANAMi」というコーヒー屋さんです。とても良い空間で、コーヒーだけじゃなくて本も置いてあるカフェなので、読書会に興味あるお客さんもいるんじゃないかと思ったんです。実際にお店のSNSで告知してもらったら、常連さんを中心に5人ほど参加者が集まりました。
時間帯の設定は、迷った末に「火曜日の朝9時30分から11時」としました。平日の午前中では参加できない人ばかりかなと思いましたが、午後から仕事をしている人やフリーランスの方などが来てくれました。
タカハシ 意外と、いろんな時間帯で生活している人がいるんですね。僕も夜は予定がびっしり入っているので、午前中の方が参加しやすいです。それにしても、なぜ平日の午前中だったんですか?
わおん 自分がいちばん気持ちよくできる時間帯だからです。朝から読書会をやるとその日1日じゅう気持ちよく過ごせると知っていたので、どうしても午前中にやりたくて。
タカハシ 朝からカフェに集まるという、リアルの場所で始めたからこそしっかり手応えを感じられたのかもしれませんね。今のおとのわダイアローグは、オンラインコミュニティとして活動されていますよね。メンバーの方は、どういう導線でいらしたんですか?
わおん おとのわダイアローグのサイトを作って、糸島市のコミュニティスペースやイベントでお会いする方々に直接伝えました。その方々がFacebookでシェアしてくれたのを見て、参加してくれる方が多かったですね。こうして1回目(0期)、2回目(1期)と2段階で募集をかけました。2024年10月にスタートした2期では、「共にいる」をテーマに、5名のメンバーが参加してくれています。
タカハシ “コミュニティあるある”として、具体的に何をしているのか外からはよくわからないんですよね。サイトで具体的な活動内容や雰囲気を伝えると、参加者側のハードルが下がりそうです。今いらっしゃるメンバーの方は、どういう方が多いんですか?
わおん コミュニティにも読書会にも初参加という方が多いです。参加したきっかけを聞く「よくわからないけど面白そうだったから、とりあえず飛び込んでみました」というお返事をいただきます。HPに「こういう人におすすめのコミュニティです」と書いていたので、それに当てはまる方が参加してくれたのかなと思っています。
オンラインコミュニティなので、福岡県内の方は半分ほど。関東や関西の人も複数いらっしゃいますし、直接会ったことがない方も多いです。
荒削りなこともシェアできるように、場所を整えている
タカハシ おとのわダイアローグは読書会がコンテンツの中心ですよね。ほかにはどんなことをしているんですか?
わおん 読書会で読んだ本のテーマそのものについて、みんなで話します。本を起点として、例えば「時間の使い方」「創造性」などの身近なテーマを取り上げて、自分の考えをシェアするんです。本の内容に加えて周りの人の言葉にも触れることで、それまで見えていなかった視点や、自分自身の感情を掘り起こすことができます。
また、私はプロコーチの資格を持っているので、コミュニティ内での公開コーチングもやっています。クライアント(コーチングを受ける人)として自分の大事なテーマをみんなの前で話したり、オブザーバー(観察者)として参加したりと、形態は自由です。これによって自分自身の気持ちに気づいたり、傾聴のスキルを身につけたりできます。
タカハシ 他のメンバーと理解を深めるきっかけにもなりそうですね。メンバーの皆さんがする日常的なコミュニケーションの中で、工夫していることはありますか?
わおん いつもは、Discord上のチャットを使って会話しています。その中で「自分にやさしくする日記」というコーナーを設けて、皆さんに日々のできごとを書いてもらっています。書く内容はなんでもよくて、例えば何かの成功体験でも、新しいことをやりたいけどできないというもどかしさを語るのでも、イベントに参加して感じたことでも。
体裁も、下書き的な状態でOKです。雑でも未完成でも荒削りでもいいから、誰でも気軽にアウトプットできる場所であってほしいので。普段自分一人で考えていることを文字にして外に出すと、行動も変わってくるんじゃないかと思うので。
タカハシ なにげない気持ちやひとことを残しておける場所って大事ですよね。日記とは違って、コミュニティのみんなとつながっているDiscordだからこそ、書く意味があるのだと思います。
わおん はい。InstagramやXは基本的に不特定多数の人に見られているので、どうしてもマーケティング的な視点が入ってしまい、発言を制限してしまいがちです。例えば私なら、コーチングやファシリテーターの仕事に関連する内容にすべきだなと思うと、自分の中でハードルが上がっちゃう。その一歩手前で、半クローズドな発信の場として「自分にやさしくする日記」を使ってもらえたらと思います。
タカハシ 僕も、ブログやVoicyをはじめあちこちでアウトプットをしていますが、カッコ悪いことはあまり出せないんですよね(笑)。失敗経験も率直に話せば誰かの役に立てますが、そもそも「誰かの役に立つこと」を想定して書くという意味で、マーケティングの視点が入っていますよね。コミュニティの中では雑談もできるし、何の役にも立たないけど誰かとしゃべりたいことを共有できます。それができたときってすごく気持ちいいんですよね。
わおん 本当にそうですね。おとのわダイアローグは「対話」がキーワードのコミュニティなのに、たまに「まとまらなくてすみません」「長くてすみません」と言う方がいます。でも、まとまっていない状態で何ら問題なくて、何でも自由にしゃべっていい場所なんです。
ここでは、ビジネスシーンで一般的に良しとされる「結論から述べる」「この場にふさわしいことだけを、わかりやすく、簡潔に」などの発想はいりません。これからも、そういう場所としてあり続けていきたいです。2024年11月には、東京・飯田橋で開催されるイベント「学習コミュニティフォーラム」にも参加します。ほかのコミュニティの方々と意見交換するのが今から楽しみです!
>【2024年11月16日(土)】学習コミュティ同士がつながり、学び合い、共創するイベント「学習コミュニティフォーラム2024」の詳細はこちら。リモート参加もあり、現在ご参加受付中です!