書評「コミュニティ・オブ・プラクティス」その3: 実践コミュニティの3つの構成要素とは

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書評「コミュニティ・オブ・プラクティス」その3: 実践コミュニティの3つの構成要素とは

みなさん、おはようございます!タカハシ(@ntakahashi0505)です。

こちらの記事は、タカハシが音声メディアVoicyの「スキルアップラジオ」にて放送した内容から、ピックアップしてお届けします!

今回のテーマは、書評「コミュニティ・オブ・プラクティス」その3: 実践コミュニティの3つの構成要素とはです。

なお、以下で実際にお聴きいただくこともできます!

では、よろしくお願いいたします!

実践コミュニティを作る

引き続き「コミュニティ・オブ・プラクティス」についてお送りしていきます。今日は実践コミュニティの3つの要素について話していきたいなと思っています。実践コミュニティづくりの指針になればと思いますのでぜひ参考にしてください。


これまでのおさらいなんですが、すなわち実践コミュニティとは何かということでした。

(前回までの投稿はこちら↓)
#465 書評「コミュニティ・オブ・プラクティス」その1: 今、実践コミュニティを学ぶ意義とは
#466 書評「コミュニティ・オブ・プラクティス」その2: 知識と情報の違いは何か

実践コミュニティとは、あるテーマに関する関心や問題、熱意などを共有し、その分野の知識や技能を持続的な相互交流を通じて深めていく人々の集団のことを言います。

僕が主催している学習コミュニティ「ノンプロ研」は、まさに実践コミュニティだと言えますね。

今僕としては、企業・組織に実践コミュニティをつくっていくことでリスキリングが加速し、その取り組みを持続的にすることができるのではないかと考えていまして、改めて実践コミュニティについて学びなおそうということで再度本書を手に取っています。

なんとなく存在する実践コミュニティ

この実践コミュニティなんですが、わざわざ作らなくても各組織・企業の中にはふわふわした状態で非公式に存在していたりします。

先輩が後輩を集めて何かレクチャーしたり、ちょっとした勉強会を開いたり、そういったものも実践コミュニティの1つと言えると思います。

それをさらに意図的に繁栄させて持続させていくためには方法や理論がありまして、本書「コミュニティ・オブ・プラクティス」の中にはその理論・ノウハウがたくさんつめこまれているわけです。

実践コミュニティの3つの構成要素

実践コミュニティの輪郭をよりはっきりさせようということで参考になるのが、2章で伝えられている実践コミュニティの構成要素です。

実践コミュニティを構成する要素は3つあって、1つ目は領域、2つ目がコミュニティ、3つ目が実践となります。

実践コミュニティを立ち上げたいときとかより明確に発展維持させたいときとかは、この3つが何か、それぞれについてどのような工夫をしていけばいいか、を考えると良いということになります。1つずつ見ていきます。

①領域~メンバーに共通する課題や問題

まず、領域です。メンバーに共通する課題や問題のことをいいます。もしくはテーマと言ってもいいかもしれません。

これがまさにコミュニティの存在理由に直結する部分になります。そしてそのメンバーが抱えている課題とか問題を解決することができる、解決を目指すんだということになれば、それがエネルギー源となってコミュニティが活発な活動をできるというわけです。

ノンプロ研の場合の領域

ノンプロ研の例で言うと、ノンプログラマーがデジタルスキルを学ぶということがテーマになるわけですが、課題や問題としては結構はっきりしていたんです。

というのもノンプログラマー、ITを職業としない人たちのことなんですが、この方たちがプログラミングとかデジタルスキルを学ぶときの学習環境の厳しさ、これが大きな課題になっていたわけです。

1人で学習しようと思ってもどうやって学習すればいいのかわからないし、まわりに聞ける人がいない、孤独なわけですね。

せっかく学習したものを実務で使おうとしても、上司から何遊んでるんだ仕事しろと言われてしまったりして、なかなか過酷なものがあるわけです。

ノンプロ研に加入することで、そのつらさとか過酷さとかが克服できるということを期待してみなさんコミュニティに参加してくださっているわけです。

組織の実践コミュニティの場合

では組織に実践コミュニティを作ろうとした時にどういう課題設定ができるかというと、デジタルリスキリングという視点で言うと、おそらくノンプロ研のようなニーズはあるかもしれないですね。

何か学びたいという気持ちはあるけどどうしていいかわからない、苦手意識がある、仲間が欲しい、こういったことは結構あるような気がします。

そういったニーズにこたえようということで、小さく非公式ではじめるていることも割と多いんじゃないでしょうか。

ただ、結構ふわふわとなんとなく勉強会をやろうみたいな感じのことが多いんじゃないかと思うんですが、僕はこの領域についてもっと具体的に言語化する努力をしていった方がいいんじゃないかと思うんです。

なんでやっているのか、なんのためにやるのか、どういうことを実現したいのか、みたいなことをきちんと言語化することで自分たちもエネルギーを増すことができますし、発信していくことで仲間を増やすことができるかもしれません。

ふわふわしたままだと最初はいいのかもしれませんが、持続的に活動すると考えるとエネルギーを維持するのが難しいくなるのではないかと思います。

時々見返すことも重要

この領域に関してはコミュニティのサイズが大きくなるにしたがって変わっていく可能性も十分にあるので、時々見返すといいんじゃないかなと思います。

さらに組織の場合は、コミュニティが大きくなると組織に対して何らかの公認を得たり援助をしてもらうタイミングがくる可能性があるかと思います。その場合、この領域が組織の実際の目指したいことや戦略とどう結びついているか、組織にどんなメリットをもたらすのか、これも合わせて考える必要がでてくるかなと思います。

②コミュニティ~何をもってメンバーとするのか

次の要素はコミュニティです。メンバーの集まりなのでコミュニティが必要と言うのは確かにその通りですね。

ここで考えるべきは、何をもってメンバーとするか、メンバーの役割は何か、こういったことななのかなと思います。

ノンプロ研の場合

例えばノンプロ研の場合は、月額制でSTORESというシステムで決済しているので、そこで決済してくれているメンバーがメンバーとなります。これは非常にわかりやすいですね。

メンバーの役割は本来であれば学び・教え合うこと、これをノンプロ研のプラットフォーム上で実現していただければなんでもいいという感じです。

人によっては毎日にようにアクティブに参加していますし、中にはROM専もいたりしますが、そのやり方はそれぞれのスタイルに合わせてなんでもよしということにしています。

組織にコミュニティを作る場合

では組織で実践コミュニティを作る場合はどうかということですが、多くの場合は、希望する方はメンバーに入れるのが基本なのかなと思います。

例えばSlackとか、Teamsとかの専用のチャンネルスペースがあって、そこに入るとメンバーですよみたいなやり方もあるかもしれませんね。

もしくはメンバーかどうかというところも明確にせずに、イベントを開いていて、社員であれば誰でも自由に参加できるようにするみたいなやり方もあります。

ただ1点注意が必要なのは、障壁を低くして誰でもござれとしてしまうと、振る舞い的に望ましくない人が入り込んだときにどう対処するかという問題も少しあるのかなと思います。

その点ノンプロ研は有料制のコミュニティなので、変な人がふらっと入り込んでこないというメリットは結構あるなと感じています。特に心理的安全性に関しては実践コミュニティの運営においてすごく重要なファクターだなと思っていますので、メンバーが何かしら参加するときに最初にそういった行動指針を伝えておくというのも割と大事なのかなと思っています。

③実践~生み出され共有されるもの

そして3つ目の構成要素が実践になります。 コミュニティで生み出され、共有されるもの、これを実践と言います。

つまりどんな活動をするのか、どんなツールを使うのか、そして何を生み出すしていくのか、そういうことを考えるというのが必要になってきます。

ノンプロ研の場合

ノンプロ研の場合なんですが、最初の立ち上げの時は月数回のイベントしかなかったんです。僕が話すイベントともくもく会イベントと2回だけというスタートでした。

この実践内容に関してはほんとにコミュニティの成長にしたがってどんどん変わっていったなあという感じです。まず僕だけがしゃべっていたイベントもメンバーのみなさんもプレゼンするようになりましたし、そのあと講座なんかも始まりました。

イベント自体も、メンバーのみなさんが企画して開催できるようにルールを決めてマニュアルを整備したりしてきたわけです。

それによって、どんどん自走するコミュニティに生まれ変わっていったというところはありますね。

ツール系も変わっています。最初はFacebookグループを使っていましたが、すぐにSlackを導入して、そのあとDIscordなんかも導入して、この辺りはメンバーからの意見をよく汲み取ってコミュニティ運営に反映していくと、どんどん変わっていくものなのかなと思います。

あとはイベントの発表スライドとか動画ですね、これは基本は全部保管するようにしています。もう膨大な量になっていますが、やはりその実践の積み重ねがコミュニティの現在地を表しているのかなと思いますので、きちんと保管しておくのがいいかなと思っています。

組織の中に実践コミュニティを作る場合

組織の中に実践コミュニティを作る場合なんですが、これも週1回とか月1回のイベントから入るといいのではと思っています。

さらにできればチャットグループなんかを用意して、そこで相談・コミュニケーションが取れるのが理想ですね。

そのイベントの記録とかブログを書いたりとかもしくは動画を残しておくとか、そういったこともしておくと発信材料としてものすごく有効です。

実践コミュニティが徐々に大きくなってきたとしたら、組織側とのルールとり決めが必要になってくるかなあと思います。

例えば業務時間内に活動してもいいのかとか、会議室を定期的に使用してもいいのかとか、どのように活動の成果を組織に還元していくのかといったことも考えていく必要があるかなと思います。

番外編~コーディネーター

実践コミュニティの構成要素としてはこの、領域、コミュニティ、実践の3つと伝えられていますが、コミュニティの立ち上げの際にもう一つ必ず設定しておく必要があるものがあるんです。それはコミュニティのコーディネーターと呼ばれる役割の人です。

これに関しては4章で言及があるので、また後日話ができればいいかなと思っています。

どうやって決めていくか

ここまでコミュニティの構成要素の3つについてお伝えして来たんですが、これらをどうやって決めていくのかということです。

コミュニティの立ち上げ前にこれらの3つをすべてをカチッと決めるのは、僕の感覚としてはほぼ不可能なんじゃないかなと思っています。

「コミュニティ・オブ・プラクティス」の中でもコミュニティは生き物と表現されていますし、この3つの要素はコミュニティの成長や時期、外部環境などによって変化し続けるものであると語られています。

そしてこの3つを同時に発展させていくというのは、一種の綱渡り芸だと表現されていますね。

走りながら決めていく

ではどうしたらいいのかと言うと、領域、コミュニティ、実践に関してはそれぞれ決めないと活動はできないわけですが、一旦決めて走りながらその活動の様子とか成果を見てまた改善していく、こういったループをがんがんまわしていくのがおすすめかです。

これは「デルリスキリング入門」の方でもがん押ししてますOODAループ、実践コミュニティ運営でもまさにマッチすると思っているんです。

コミュニティコーディネーターの方を中心にコアメンバの方でコミュニティの活動をよく観察して、情勢判断して、問題があったらなんらかの意思決定して、コミュニティの設計に手を入れていく、こういった行動をおこすんです。

OODAループをまわす

そしてまたその結果を観察してOODAループにフィードバックしていくと、そういうのをなるべく細かくたくさん回して実践コミュニティを運営していきます。

今のノンプロ研はまさにそのようにしてできあがっていて、どんどん発展してますし、メンバーのみなさんもきっちり熱量を維持して活動できているなと感じています。

なのでぜひ実践コミュニティを運営される方はこの3つの構成要素を理解しつつそれぞれをじっくり観察してOODAループをガンガン回して、コミュニティの設計をどんどん改善して言っていただければいいんじゃないかなと思っています。

まとめ

ということで、今日はVoicy「スキルアップラジオ」の放送から「書評『コミュニティ・オブ・プラクティス』その3: 実践コミュニティの3つの構成要素とは」をお届けしました。

タカハシのVoicyの放送はこちらからお聴きいただけます。

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では、また。

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