書評「アンラーン戦略」その2 リーダーがまずその手本を見せよ

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書評「アンラーン戦略」その2 リーダーがまずその手本を見せよ

みなさん、おはようございます!タカハシ(@ntakahashi0505)です。

こちらの記事は、タカハシが音声メディアVoicyの「スキルアップラジオ」にて放送した内容から、ピックアップしてお届けします!

今回のテーマは、書評「アンラーン戦略」その2 リーダーがまずその手本を見せよです。

なお、以下で実際にお聴きいただくこともできます!

では、よろしくお願いいたします!

書籍「アンラーン戦略」後半について紹介

今日は昨日に引き続き「アンラーン戦略」という書籍の第2回についてお話をしていきます。

前半のおさらい

前回は前半1~6章についてお話をしました。

ちょっとおさらいをしますと、アンラーン戦略とは脱学習、再学習そしてブレークスルーこの3つのステップを回していく継続的なサイクルであるという話です。

まず最初のステップ、脱学習ですが、これがなぜ必要なのかということですが、いっぱいのお茶の寓話がすごく良く表現していました。

それをしないと次の再学習が上手く行かないんです。

再学習のステップでは、小さな一歩がすごく大事です。B・J・フォッグの行動モデル「行動=モチベーション×能力×きっかけ」この3つの変数の掛け算で行動が起きて、それらが小さくても小さく行動ができます。

この3つのステップが何たるものかを説明しているのが前半1~6章です。

いかにリーダーがアンラーンサイクルを回していくのか

では実際に組織においてリーダー的ポジションにいる人がいかにこのアンラーンのサイクルを回していくのかについては、後半7章からその具体的なシチュエーションごとに様々な事例を用いて解説をしています。

  • 第7章 マネジメントをアンラーンする
  • 第8章 顧客をアンラーンする
  • 第9章 人材と組織をアンラーンする
  • 第10章 インセンティブをアンラーンする
  • 第11章 ビジネスモデルとプロダクト・イノベーションをアンラーンする
  • 第12章 結論

組織をいろいろな角度で捉えたときに、それぞれの視点からいかにアンラーンサイクルを回すのか、通底しているスローガンは「大きく考え、小さくはじめる」。これを事例を交えながら捉えるのが後半です。

しかしこちらの後半に関して言うと、まあ世のリーダーたちへの期待が大きいというか、非常に厳しい投げかけが与えられてるなという印象です。

正直、組織をまとめるリーダー層には耳が痛い話も多いと思います。

能力の限界に達したリーダーが無能の領域で戦うピーターの法則

リーダー自身がアンラーンしていくことが、組織にとっては本当に重要なんです。

たとえば、多くのリーダーは「すべてを知っている、常に答えや解決を持っている」ことを振りかざすことで昇りつめてきたわけです。

本書ではそれで待っているのはピーターの法則であり、無意識的無能への停滞ということで強めに批判しています。

ピーターの法則というのは何かといいますと、能力を発揮した人が、どんどん昇進していくわけです。ただし自分の能力の限界まで昇進すると、そこでは実力を発揮できなくなります。そうするとその地位にとどまるために戦うようになります。

つまり無能の領域で戦ってしまいます。これをピーターの法則といいます。

リーダーが全てを把握することは不可能な時代

そこを打破するには、謙虚になって、勇気を出して、脱学習をしていくしかないのですが、「リーダーがすべてを知っている」という固定観念を、脱学習をしないかぎりはできないわけです。

これに関しては、学習する組織のメンタルモデルの例でも紹介されていました。「なんでも知っているという呪縛」の問題が組織の学習に悪さをするということです。

今の時代、情報が溢れかえっていて変化が激しい時代に、一人の人間がすべての情報を頭に入れておくこと、それをもって的確にスピーディーに判断を下してそれを実行に移していくことは不可能です。

まずはメンバーからの情報をもれなく収集して、共有することが必要です。

心理的安全性の重要さ

そのために必要なのが心理的安全性です。

今や心理的安全性はあちこちで言われるようになりましたが、この書籍の中でも何度も唱えられています。

たとえば心理的安全性が確保されている状態では、情報が十分に共有されている状態であれば、問題も小さなうちに解決できるわけです。小さなミスがあってもほとんどダメージはない状態で解決できます。

むしろそのミスがあったこと自体が次への学びの材料にもなります。

つまり情報が十分に共有されている状態では、リスクを下げることができて、かつ安全な状態でアンラーンサイクルを回せます。

ミスを怒ると隠ぺいする力につながる

一方でミスを怒っちゃだめなんです。

そうすると情報を隠そうとします。そして、ミスが発見されず放置されることになりますので、より大きな事故につながったり、大きな事故がさらに壊滅的失敗に発展するわけです。

事故が明るみになるときは重大事故になっているので、また怖くて隠蔽しようとする悪いスパイラルに入ってしまいます。

こうなると皆萎縮してちょっとしたミスの情報は共有しなくなりますし、さらにチャレンジングな行動を取るのはやめてしまうといった状況になります。

戦術の指揮権を現場にわたす

心理的安全性と合わせて重要なことは、リーダーが自らの指揮権をどんどん手放し、メンバーが自らで決断を下せるようシステムをつくることです。

例としてナポレオンが取り入れた機動作戦というアイデアがあります。

任務についての期待する結果を明確化して、戦術の指揮権を現場にわたすというものです。

つまり「なぜ」「何を」の部分を渡して、「どのように」は現場の裁量に任せるわけです。

現場としては間違った行動を取るのは怖いですけれど、目的がしっかりされているのであれば、それに沿っているのであれば好きにしていいよと言われるのであれば自分で思い切って判断して行動をとれます。

ただし、どのようにやるかまであれこれ上司に言われると自分では考えなくなりますから、それについて都度上司の判断をあおぐようになります。

ミッションコマンドがあると圧倒的にスピードが違う

さらにこのナポレオンの機動作戦を発展させたものがプロセイン軍モルトケの「ミッション・コマンド」です。

これはチェット・リチャーズの書籍「OODAループ」の中で、「リーダーシップ契約」というものが紹介されていたんですが、これと全く同様のものと理解しています。OODAループを回す基礎となる組織文化4つのうちのひとつとして大事です。

組織が柔軟に迅速に意思決定、行動に移す中で、そのようなミッションコマンドがあると圧倒的にスピードが違います。

リーダーがまずその手本を見せよ

他にもリーダーに対する痛烈なメッセージがこの書籍には含まれています。

その中で重要なメッセージが、こちらです。

リーダーのもっとも重要な
行動の一つは、まず自分が
手本を見せることだ。

これに尽きます。

上司の探索行動が重要

パーソル総合研究所のリスキリングに関する調査でいうと、メンバーのリスキリング行動には、上司の探索行動が影響を与えているという結果があります。

探索行動がどういったものかというと、常に新しい市場やサービス領域について調べていたり、柔軟に仕事のやり方や範囲を変更する、これはまさにアンラーンです。そしていつも新しい知識やスキルを学んでいる、こういった上司の探索行動があると、そのチームはリスキリング行動を取っている可能性が高くなります。

自らの上司がこのアンラーン戦略にかなり乖離していたらどうするかという問題

こうしてアンラーン戦略においてリーダーが取るべき行動をいくつか紹介してきて、他にもたくさん紹介されているんですが、世の中のリーダーと比べると、なかなかに真逆の行動をとっている人が多いのではないかと思うわけです。

もちろんリーダーとしてのポジションについてる人はもちろんその行動を見直してほしいし、そうでないビジネスパーソンの皆さんもリーダー的な視点でこのアンラーンサイクルを意識して行動するといいと思います。

一方で自らの上司がこのアンラーン戦略にかなり乖離していて、むしろ真逆の行動をとっていて、そしてその改善が見込まれない、そんな時にどのような行動をとればいいのか、皆さんも考えてみたらいいのかなと個人的には思います。

何らかの選択肢を取れるようにした方がいいし、実際に行動を起こしたほうがいいケースも多いのではないかなと思います。

これについてはまた別の話になるので、また機会がありましたらお話したいと思います。

まとめ

ということで、今日はVoicy「スキルアップラジオ」の放送から「書評「アンラーン戦略」その2 リーダーがまずその手本を見せよ」をお届けしました。

僕の最近のテーマで言うと、小さく行動することの重要性がけっこうなテーマだったりします。僕が大好きなOODAループでも、OODAループの回転数は多いほうが望ましいので、その意思決定も軽く、行動も小さいほうが望ましかったりするんです。

ただこの小さく行動するということの可能性はけっこうあちこちに広がっていると感じていまして、この書籍はその点をより強固に裏付けしてくれたところがあってよかったなと思います。

ただ、自分のリーダーがこのピーターの法則状態になってしまったときにどういう行動を取るかというのはすごく悩ましいところかなと思います。

そのあたり、また何かいいヒントが見つけられたら別の放送でお話できればいいなと思っています。

タカハシのVoicyの放送はこちらからお聴きいただけます。

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では、また。

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