【第2弾】ノンプロ研主宰・タカハシノリアキさん×パラナビ編集長・岡部のぞみさんの特別対談「幸せに生きるため、居場所はいくつあってもいい」

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ノンプロ研主宰・タカハシノリアキさん×パラナビ編集長・岡部のぞみさんの特別対談

ノンプロ研(ノンプログラマーのためのスキルアップ研究会)主宰のタカハシノリアキさんと、Webメディア「パラナビ」編集長の岡部のぞみさんによる対談、第2弾。家庭と職場以外の居場所「サードプレイス」を持って、パラレルキャリアで活躍しているお二人。複数のコミュニティに属することは、人生の幸福度を上げるためにも、キャリアアップのためにも、大きな意味があるようです。

自分のテーマに沿って、いろんな手段を試している

――お二人のパラレルキャリアについて教えてください。

タカハシ 実は「僕はパラレルキャリアに挑戦している!」という意識はあまりなくて。僕のテーマである「働くの価値を上げる」に沿って、いろんな場所に出掛けていき、いろんな手段を試しているという感覚です。だから、アウェイを感じることもあまりありません。

岡部 タカハシさんは「働くの価値を上げる」とやわらかい言葉で表現されていますが、実現するのはすごく難しそうです。

タカハシ 本当にそうなんです! 決まった成功方法はなく、お金をかければいいわけでもなく……今、あの手この手で試しているというのが正直なところです。中でもコミュニティ運営は効果的だと改めて感じますし、メディア出演や書籍執筆もそうです。岡部さんのパラレルキャリアはどうやって始まったんですか?

ノンプロ研(ノンプログラマーのためのスキルアップ研究会)主宰のタカハシノリアキさん
ノンプロ研主宰・タカハシノリアキさん。株式会社プランノーツ代表取締役。一般社団法人ノンプログラマー協会代表理事。「ITを活用して日本の『働く』の価値を高める」をテーマに、プログラム言語に関する研修やセミナー講師、執筆、メディア運営、コミュニティ運営などを行う。東京都板橋区から2022年4月に福岡県糸島市に移住。

岡部 今振り返ると、偶発的なことの積み重ねです。私は3回転職しているんですが、だいたい前職の同僚から「こんな仕事があるんだけど、やってみない?」と声をかけてもらって始まっています。人同士のつながりがベースになってキャリアが出来上がり、今に至っています。

タカハシ 人とのつながり、コミュニティの話とも通じますね。パラレルキャリアの第一歩は、どんなお仕事をされたんですか?

岡部 忘れもしない、「ABEMA(当時AbemaTV)でレポーターとして番組の進行をしながら、複数のママタレントにインタビューして、記事を書く」仕事でした。それまで私は、女性誌の編集や動画のディレクターなどをしていて、レポーターという人前で喋る経験は0だったんです。でも、上司に私のことを思い出して仕事を振ってもらえたことがうれしかったし、「岡部さんならできる」と思ってもらえている、その自分に賭けてみよう! と思ってチャレンジしようと決めました。

自分が思う「やりたいこと」にとらわれすぎないで

タカハシ 岡部さんの仕事ぶりが、周りから評価されているからこそ生まれたキャリアですよね。「また一緒に働きたい!」と思ってもらえる関係性がベースにあるのだと思います。

岡部 ありがとうございます! それから、自分のやりたいことに囚われすぎないのがプラスに働いたと思います。自分が周りからどう見られているか、どんなイメージを持たれているかが意外と大事で、あとはそこに乗っかっていく勇気さえあれば、いろんなことが前に進んでいきます。種蒔きとして、興味があることや好きなことは口に出して発信しておくといいですね。「カレーマニア」でも「サウナが好き」でも「マンガオタク」でも何でもいいので、いろんな種を蒔いておくと、それがいつかどこかで実を結ぶと思います。

「パラナビ」編集長の岡部のぞみさん。
「パラナビ」編集長の岡部のぞみさん。出版社で広告の仕事に携わりながら、個人としても、WEBメディアでアドバイザーや企画編集としてパラレルキャリアを実践。「女性×働き方」の多様性のあり方を発信したいとの気持ちから、「Paranavi」プロジェクトの立ち上げを企画。1児の母。

タカハシ ノンプロ研でも今、似た現象が起きています。メンバー同士の信頼関係をベースにして、好きなことや興味から仕事に発展しているケースが複数あるんです。初対面の方といきなり一緒に仕事をするより、ずっと安心できますよね。ノンプロ研にはいろんなメンバーがいますが、勉強熱心で、心理的安全性が高いところが共通点。そもそも学ぶ気持ちが強い人、しかも学ぶことに対してお金を払う人たちの集まりですから、信頼関係を構築するにはうってつけの環境だと思います。

岡部 私がライターさんに仕事をお願いするときも「そういえば、あの人はこれが好きって言ってたな」と思いついて連絡することが多々あります。そうするとよりいい仕事ができるし、相手とも濃い関係性を築けます。例えばサウナの連載を始めるとき、趣味で毎日サウナを巡っている一般の方と一緒に企画を立てるのと、ちょっとハードルの高いサウナの専門家に頼み込んで記事に出てもらうのとでは、全然違うコンテンツが出来上がるはず。だからいつも周りの話にアンテナを張って、聞いたことを忘れずに心に留めておきたいなと思います。

タカハシ ああ〜、とってもよくわかります! 僕も最近はありがたいことにいろんな場所に呼んでいただきますが、僕が目指している「働くの価値を上げる」に共感してくれる方々と一緒でないと、何かしらひっかかりが起きてしまうことがあって。“好き”とか“共感”の気持ちってすごく大事ですよね。

仕事は「あなただからこそお願いしたい」と依頼する

タカハシ 僕がパラナビを見ていて驚かされるのが、コンテンツの質量ともにすごく充実していることです。パラレルキャリアで運営されているとは思えないくらい……高いクオリティを維持するには、関わる方々にモチベーション高く働いてもらう必要がありますよね。工夫されていることはありますか?

岡部 webメディアにおいて、コンテンツの肝になるのはなんといってもライターやデザイナーの方々です。今まで「パラナビで記事を書きたい!」「パラナビでデザインをやりたい!」という熱意ある方々と大事に関係性を築いてきました。パラナビと相性がよさそうな方をスカウトすることもありますよ。ライターさんに仕事をお願いするときは、「これはあなただから書けるテーマ。パラナビに書くことにこそ意味があるので、お願いしたい」という伝え方をしています。パラナビの考え方やマインドに心から共感してくれる方々と一緒に作り上げていきたいので、例えば知名度が高い方、SNSのフォロワーが多い方なら誰でもいいというわけではありません。

ノンプロ研主宰・タカハシノリアキさん×パラナビ編集長・岡部のぞみさんの特別対談

タカハシ 仕事を受ける側としても、「あなただからこそお願いしたいんです!」と言われたらきっとうれしいですね。自分の実力を発揮しながら、好きなメディアに貢献できるという達成感もあるでしょう。逆に、これまでパラナビを続けてきて大変だったのはどんなところですか?

岡部 いいコンテンツを生み出し続けるのは、すごく大きなエネルギーが要ります。それから、人員の確保も難しいですね。パラナビの運営メンバーは30〜40代の女性がメインで、結婚・妊娠・出産などのライフイベントを迎える時期。サポートしあえる関係が理想だからこそ、みんながどれくらいコミットできるか見えず、采配に迷ったこともありました。

「家庭、職場」に続く3つめの居場所を持つと、人生の幸福度が上がる

――ノンプロ研のようなコミュニティとパラレルキャリアの共通点として、「サードプレイス」としての価値があると思います。家庭でも職場でもない3つめの居場所には、どんな意味があるのでしょうか?

タカハシ 最近ようやくパラレルキャリア(副業)やリスキリング(学び直し)が注目されるようになってきましたが……日本ではまだまだ、「家庭」「職場」という2つのコミュニティにしか属していない人が圧倒的多数だと思います。家庭と職場は、どちらも「逃げ場がない」んですよね(笑)。両方うまくいっているときはいいですが、つまづいた瞬間に幸福度ががくっと落ちてしまう。だからもう1つの居場所を持つと余裕を持って生きられるし、それが気楽に出入りできる場所だとなおいいですね。人生全体の幸福度が増すと思います。

岡部 「家庭か職場か」の2択以外の居場所があると、単純に気が紛れるし、精神的なバランスを取りやすくなりますね。私がビジネスコンテストに参加したとき、プライベートでは離婚したばかり。でも、あまりの忙しさに、感傷に浸っている暇がありませんでした(笑)。これは子どもも同じで、家と学校以外の居場所があったほうが、子どもにとっても気が楽になる場面があると思います。何なら、サードプレイスに限らず4つ、5つと増やしたいくらい。またスキルアップの意味でも、面が増えれば掛け算できる要素が増えるし、キャリアの希少性が高まりますよね。

タカハシ キャリアの面でもメリットがありますね。サードプレイスで得たスキルや知識は、職場にも還元できます。そのサイクルを回せたら、自分と職場の関係性が少し変わるのではないでしょうか。

――ゆるくつながっていられる、という気楽さが重要なのでしょうか。

タカハシ そうだと思います! 実際にノンプロ研は、来るもの拒まず去るもの追わずがモットー(笑)。実際、一度抜けた人が舞い戻ってくるケースも多いんです。それもアリなのだと思って、気楽に参加してもらえたらと思います。

岡部 ノンプロ研に戻ってくる方々は、どんな理由があるのでしょうか?

タカハシ プログラミングの勉強をやり直したいという人もいれば、なんとなく寂しくなっちゃって……という方もいます(笑)。ノンプロ研は活動内容がどんどんブラッシュアップされているので、そのときどきの自分の生活に合っていると思えたとき、そのタイミングで来ていただけたらと思います。

岡部 コミュニティをつくる人間としては、メンバーが増えればうれしいし、誰かがいなくなると寂しいです。でも、誰かが抜けるのは悪いことではありません。「うれしい、寂しい」の感情表現はたっぷりしますが、「善か悪か」の判断はしません。というか、そんなおこがましい存在ではないので(笑)。この姿勢はずっと大事にしていたいです。

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この記事を書いた人

さくらもえ

出版社の広告ディレクターとして働く、ノンプログラマー。趣味はJリーグ観戦。仙台の街と人が大好き。