「一般社団法人ノンプログラマー協会」…このネーミングに違和感を覚える方も多いのではないでしょうか。
「Non」という打ち消し意味を添える文字列が含まれることから、なんとなくネガティブな印象を持たれる方も多いかも知れません。
今回は、当協会設立にあたり、なぜ「ノンプログラマー」という単語を選択したのかについてお伝えします。
「ノンプログラマー」とは
当協会では、ノンプログラマーとはITを専門職としない人々のことを指して使用しています。
ですから、「ノンプログラマーだからITスキルがない」と考える方もいらっしゃるかも知れませんが、それは成立しません。
ITを専門職としていないノンプログラマーだとしても、高いITスキルを保有している場合があります。私の知る範囲では、経営者、経理、人事、総務、営業、教師、医者、さまざまな職種の方がプログラミングスキルを活用して仕事をされています。
もちろん、ノンプログラマーの中には、ExcelやGoogleスプレッドシートの基本機能の使い方もまだまだこれから…というような、IT全般を苦手とする方も多くいらっしゃいますし、そういう方が大半を占めるかも知れません。
一方で、プログラミング初心者であったとしても、プログラミングの専門職として入社したばかりの方であれば、それはプログラマーなので、ノンプログラマーには当てはまりません。
ノンプログラマーというネーミングの理由
あなたは「市民開発者」ですか?
たとえば、ノーコード/ローコードツールを活用して、アプリケーションを開発するプログラマーではない人々のことは「市民開発者(citizen developer)」と呼ばれており、このワードは徐々に浸透をしていきているようです。
MicrosoftはローコードプラットフォームPower Appsを使って開発を行う人を「市民開発者」と、GoogleもノーコードプラットフォームApp Sheetで開発を行う人々を「市民デベロッパー」と呼んでいます。
ただ、日本の一般企業の非IT職の皆さんに「あなたは市民開発者ですか?」と尋ねても、多くの場合は「No」と答えるでしょう。
なぜなら、多くの皆さんは「市民開発者」の意味がわからないと予想されますし、意味を知っていたとしても市民開発者になるための何らかの行動(たとえば学習をはじめる、など)があって、はじめて市民開発者になります。
つまりその単語を聞いたときには、自分ごとにはなっていないのです。
ネーミングは領域を決める
ネーミングは、それが何者かを表すのにたいへん便利ですが、ときには役割や可能性についての枠を設けてしまうというデメリットがあります。
たとえば、社内に「IT推進部」という部署があったり、「DX推進プロジェクトチーム」というプロジェクトチームがあったとします。
その場合、その部やチームの「外側にいる人々」は、ITやDXを推進することはわれわれの役割だ、ぜひ率先して推進しようと思うでしょうか?
そういうことをメインの役割とする部やチームがあるのだから、それは自分たち重要な課題ではない、むしろでしゃばってはいけないのでは?などと感じてしまうのは自然なことです。
線引きをせずに門戸を開く
そこで、「ノンプログラマー」というワードを使うこと「自分は関係ない」という線引きをさせないという効果を期待できます(実際に聞いてもらえて、行動してもらえるかは、また別の難しさがありますが)。
今、ITとそれに関するスキルは職種問わず強力な武器になります。個人にとっても、組織にとってもです。
誰でもすぐにできる!と言いたいですが、実際のところ、その道は決して平坦でラクなものではありません。
ですから、興味を持ってくださった方には、なるべく広く門戸を開いておけるようにしておきたい…「ノンプログラマー」というネーミングにはそのような願いを込めています。
まとめ
なぜ「ノンプログラマー」という言葉を選択したのかについてお伝えしてきました。
しかし、ネーミングとしては、「プログラマーではないすべての人々」を対象にできているとしても、そのすべての人々に自分ごとと思って話を聞いてもらい、行動してもらえるかどうかというのはまた別の問題です。
困難で、長い道のりになるとは思いますが、ひとりでも多くのノンプログラマーがITを武器にして、よりいっそう組織や社会に貢献できるよう、サポートをしていきたいと思います。