なぜノンプログラマーに大きな期待を寄せることができるのか

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当協会「一般社団法人ノンプログラマー協会」は、非ITエンジニア職、つまり「ノンプログラマー」のIT学習を促進・啓蒙する団体です。

「ITに関することはIT専門職にやってもらうのが一番」と考えている方も多いかも知れません。しかし、将来の予想からそうとも言ってられない事情があります。

むしろ、IT専門職ではないノンプログラマーが、それら将来の課題を解決し、「働く」の良い未来を築く鍵を握っていると考えられます。

この記事では、なぜノンプログラマーに大きな期待を寄せることができるのか、それについてお伝えしていきます。

これからの「働く」の予想

まず、準備としてこれからの「働く」がどうなるかについて、その予想について見ていきたいと思います。未来が予想できるのであれば、それに対して備えるという行動をとることができるからです。

そもそも、未来のことはわからないと思われるかも知れませんが、そうではありません。

以下3点については強く予想することができます。

  • 国内既存・成熟市場の縮小
  • 労働力不足
  • 社会・産業の急速なデジタル化

なぜ、そう予想できるのか、その予想に対してどのように備えることができるのかについて以下で見ていきましょう。

人口減少による「働く」への影響

「国内既存・成熟市場の縮小」と、「労働力不足」については、日本の人口の推移から見て取ることができます。

以下は、内閣府による「令和3年度少子化社会対策白書」によるグラフです。

日本の人口は2010年をピークに明らかに減少していき、2050年代半ばには1億人を切ると予想されています。

少子化をめぐる現状
出典: 令和3年版少子化社会対策白書(内閣府)

人口が減れば市場は小さくなりますから、国内成熟市場は縮小をせざるを得ません。国内市場が縮小すれば、そこで商売をしている企業の売上は縮小します。おそらく、それに関わる社員の給料を順調に上げていくのはそう簡単ではありません。

また、より顕著なのが、15~64歳までの働く世代を多く含む「生産年齢人口」です。65歳以上がほぼ横ばいなのに対して、その比率は激減していきます。中心となって働く世代の減少率が高く、産業によっては労働力の不足が強く予想されます。企業にとっては人材確保が困難になること、従業員としては生産性を上げるプレッシャーを強く受けるようになるでしょう。

人口動態についての予想はかなり的確と言われています。これらは、ほぼそのとおり実現する前提で備えておくのが懸命といえるでしょう。

社会・産業の急速なデジタル化

それらの課題を解決するために、「ITの活用」が期待されています。

これまで人が担ってきた多くの定形業務はITによって自動化・効率化をすることができます。また、AIなどの新技術の登場は、コンピュータに任せられる範囲をどんどん拡大してくれています。

さらに、企業はデジタル領域に本格的に取り組むことで、新しいビジネスの創出を実現することができます。

実際、GAFAと呼ばれる巨大企業はすべてデジタルを主戦場としてそのポジションを築いていますし、Netflixはレンタルビデオ事業からストリーミング配信に大きく素早く舵を切ることで、それら巨大企業に匹敵するほどに成長を遂げました。

そのような、IT企業が既存市場の様相を大きく変えていくという現象があちこちの業界で起きています。

2011年、ネットスケープの創業者マーク・アンドリーセンは、そのような現象が起こるということを以下のように表現していました。

ソフトウェアが世界を飲み込んでいっている

Why Software Is Eating The World(2011)

スマートフォンやIoTの普及で、あらゆるデータを用いてビジネスができるようになりました。つまり、オフラインの世界がオンラインのデータで把握できるようになってきたのです。それにより、社会・産業の急速なデジタル化がいっそう進んでいるのです。

ITの活用は、既存事業の縮小も、労働力の不足も、解決してくれる可能性があります。むしろ、デジタル領域での競争という観点ではゆっくり構えてもいられないという状況になっています。

IT人材の不足

さて、ITを十分に活用するには、「IT人材」が不可欠ですが、どこにでもいるわけではありません。IT人材の不足が予想されています。

以下は、経済産業省の試算ですが、中位のシナリオで2030年には約45万人が不足するとされています。

IT人材需給の試算結果
出典: IT人材需給に関する調査(概要)(経済産業省)

IT人材の確保は必須であり、急務であるわけですが、明確に不足すると予想されています。

では、これらのIT人材の供給は、どのように増やすことができるのでしょうか。

IT人材供給力の強化

経済産業省による「IT人材需給に関する調査(2019年)」では、IT人材の供給力を強化するために、以下のような施策が挙げられていました。

  1. プログラミング教育などによる新卒人材の供給力を強化
  2. 外国人IT人材
  3. リスキル機会の提供等により非IT人材をIT人材化

プログラミング教育については、すでに学習指導要領に加えられて、2020年から小学校、中学校、高校と順次強化されているところです。しかし、その教育を受けた子どもたちが社会で活躍するのは、早くて数年後のことですし、すべての子どもたちがある程度のプログラミング教育の機会が与えられますが、高度なIT教育を受けるというわけではありません。おそらく、人材の確保としては限定的と考えられます。

外国人IT人材については、言葉の壁もありますし、上記調査報告の中でも具体的な施策については触れられていません。さらに、今の状況でいうとコロナ感染拡大の影響でなかなか進めづらいことは想像できます。

そこで、期待できるのが非IT人材、つまりノンプログラマーのIT人材化です。

このところ、大企業や派遣会社などで、従業員にリスキリングの機会を提供するという動きも見られています。

ただ、まだそれら一部の企業のみで、大半の(とくに中小企業)については、まだまだこれからというところはないでしょうか。

ノンプログラマーに強く期待ができる理由

なぜ、ノンプログラマーに強く期待ができるのか、その理由は即効性です。

労働市場にいるノンプログラマーの母数

以下グラフは、労働政策研究・研修機構による職業別就業者数です。おそらくIT専門職は「専門的・技術的職業従事者」に含まれているものと思われます。

ここで、たとえば「事務従事者」に注目してみましょう。2020年時点で1351万人がそれに従事しています。

2020年職業別就業者数
出典: 2020年職業別就業者数(労働政策研究・研修機構)

事務といっても、総務、経理、商品管理、営業アシスタントなどさまざまな職種が含まれていると想定されます。とはいえ、彼らの多くはExcel、Word、OutlookといったOffice系アプリケーション群、Googleスプレッドシート、Gmail、GoogleカレンダーといったGoogle Workspace系アプリケーション群を主に使用しているはずです。

たとえば、1,351万人のうち3%でも、それらOffice系、Google Workspace系アプリケーションを自動化するVBAやGoogle Apps Scriptといったプログラミングスキルを習得したらどうでしょうか?

その数は、40.5万人に上ります。

もちろん、最先端のAIの活用や、Web・モバイルサービスの構築はできませんが、本業の専門知識とデジタルを組み合わせて考える能力を持ち、業務の自動化・効率化を実現することができます。

プログラミングまでいかずとも、Office系、Google Workspace系アプリケーションのスキルを向上したり、ノーコード・ローコードサービスを使えるようになるだけでも、一定のビジネスへのインパクトは得られます。

すべてのノンプログラマーがIT学習に適しているわけではありませんが、今市場で従事しているノンプログラマーは数千万という桁の数に上ります。

数%でも、IT学習に成功すれば、大きなインパクトを生み出すことができるのです。

ITの学習に必要な学習時間は多くない

もうひとつ見るべき視点は、IT学習に必要な学習時間が多くないという点です。

たとえば、プログラミングでいうと、実務である程度使えるようになるまでに必要な学習時間は200~300時間といわれています。

まったくの初心者であったとしても、毎日2時間確保できれば、4~6ヶ月で成果が出てきます。

プログラミングの学習時間
プログラミングの学習時間

毎日2時間の確保はたいへんと思われるかも知れませんが、ITスキルの学習は、実務に効果があります。

プログラミングによりルーティン作業を効率化できれば、新たな時間を生み出すことができるのです。その生み出した時間で、さらなる学習を重ねることもできますし、より本質的なことに時間を投下することができるようになります。

プログラミングの前に、ExcelやGoogleスプレッドシートの基本機能の使いこなしだけでも、そのような効果は十分に狙えますし、その場合に必要な学習期間はより少なくて済みます。

なお、比較として、日本人の英語の学習には1000時間の単位の学習が必要と言われています。

IT学習ほど、実務に直結していて、かつ短期的に成果が出る学習対象は、なかなか見つけられないのではないでしょうか。

まとめ

将来の日本の「働く」を予想したときに、市場縮小や労働力不足といった課題は強く予想されています。

しかし、今労働市場で活躍しているノンプログラマーが、IT学習をする機会を得て、それを習得することができるのであれば、その課題を解決することはもちろん、さらに明るい未来を築くことができる、それは明確に期待することができます。

なぜなら、対象となるノンプログラマーがたくさん存在していて、短期的に学習の成果が出すことができるからです。

そのような理由から、ノンプログラマー協会は、ノンプログラマーのIT学習を促進、啓蒙する活動をしています。

もし、この活動に賛同していただける企業さま、事業者さまがいらっしゃいましたら、ぜひご参画くださいませ。

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