去る6月22日、ノンプロ研では「どうする?デジタルリスキリング」というテーマで定例会が開催されました。
この定例会では、長年「デジタルリスキリング」に携わってきたノンプロ協会代表理事 兼 ノンプロ研主宰タカハシさんが、リスキリングの最初の一歩から、ビジネスパーソンが成功するポイントをお伝えしました。
本記事ではイベントレポートとして当日の内容をお伝えします!
リスキリングって?
リスキリングとは、「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされる大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」(リクルートワークス研究所)や「市場ニーズに適合するため、保有している専門性に、新しい取り組みにも順応できるスキルを意図的に獲得し、地震の専門性を太く、変化に対応できるようにする取り組み」(IBM調査)などと言われています。
これまで、過去には存在していたが現在には絶滅している職業がたくさんあります。
例えば、電話交換手のような仕事は昔はありましたが、今はシステムが代替しているため、この仕事はありません。
技術や社会が進歩すると、生まれる仕事・失われる仕事が出てくるのです。
「仕事の未来レポート」によると、”労働の自動化により、2025年までに8,500万人分の雇用がなくなり、9,700万人分の新しい仕事が生まれる”と言われています。
例えば、今話題の対話型生成AIのChatGPTですが、どんどん利用者を伸ばしています。
GoogleCloudやAppleを導入をするという話も出ているので、オフィスでAIにタスクをお願いできるようになってくる未来も近そうです。
このように、技術革新のスピードが早くなっているので、それに対してスキル獲得(リスキリング)のスピードも早くしなければ…という話の中で、リスキリングが話題となっているのです。
リスキリングは会社がやるべき?
ではリスキリングはどうやってやれば良いのでしょうか?
巷では、「リスキリングは会社主導でやるべき」という声がよく聞かれます。
なぜなら日本では、諸外国の中でも「社外学習・自己啓発を行っていない人の割合」が半数にも上るから。
自発的に学ばないので会社主導でやるべき。というわけです。
しかし、企業での取り組み状況は…というと、
大企業は進んでいて、中小企業では進んでいない。
さらに、9割の経営者は「リスキリング」を説明できないという実態のようです。
定年後はみんな「フリーランス」
調査によると、だいたい70歳くらいまで、定年後も少しは働きたいという意見がほとんどだそう。
元いた会社に再雇用される人も一部いますが、ほとんどみんな、定年後は「フリーランス」となります。
では、そのためのスキルはどこで手に入れるのでしょうか?
・・・なんて話をしていると、嫌な気持ちになってしまいます。
「仕事を失う危機・脅威を避けたい」という欲求のために動くとなると、マイナスをゼロにしたいという「欠乏欲求」であるマズローの欲求段階説でいう、「安全の欲求」を満たすことばかりに焦点が向いてしまいます。
そこで、このチェックリストです。
これは、「自己実現 欲求の充足度チェック」です。
この「自己実現欲求」は「成長したい」「能力を発揮したい」という欲求で、欠乏欲求とは対照的に、成長したいという欲求が拡大し、どんどんプラスの方向に働いていくものになります。
上のチェックリストは「リスキリングをしていれば全てYESと回答できる」内容だそう。
なので、「リスキリングを進めていくことで、”働く”を幸せにする」ことができるということです。
タカハシさんはリスキリング力を「働くことで心理的成功を収められる状態をつくること、またそれを維持するために、スキルをアップデートし続ける力」と定義されています。
世の中だと、「(リスキリングは)やらなきゃいけない」「やらないとやばい」のようなイメージになっていますが、「リスキリングを進めていくことで心理的にハッピーな状態になれる。心理的な成功を収めるためにリスキリングを進めていきましょう」とタカハシさんは提案しています。
リスキリングを進めていくにあたって
ではうまくリスキリングをするにはどうしたら良いでしょうか。また、何から始めたら良いでしょうか。
例えば、学校とビジネスで学習比較をしてみると、ビジネスだと、いつどこで学びなさいと指定はされていないので「自律的に学べない」や、「環境の力を借りれない」などが違いとして挙げられます。
戦略を立てる
孫氏の兵法で言われる「勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝を求む」。勝つ人は、先に勝てる状態になってから戦い始める。事前準備をどれだけ準備しているかを説いている一節です。
リスキリングにおいても、失敗してしまうのは、やり始めてからどうすればよいか?を考えるから。
リスキリングを始める前に、うまいスキルの付け方、学び方を考えておいたほうが良い、というのがタカハシさんの考えです。
そのため、リスキリングにおいて勝利したければ、リスキリングに有利な状況を作る、つまり「リスキリングの戦略を立てる」と良いと言います。
例えば、何かをやろう!としたときに、たくさん制約があることに気づきます。
「時間がない」とか「お金がない」とか「モチベーションが続かない」など。
人が持っているリソースには、制約があるのです。
このリソースのやりくりも戦略の一つになります。
リスキリングも、戦略を土台にして、学習&実践を繰り返していくことで、効率よくスキルの獲得をしていくことができるのです。
なお、戦略を考えるにあたっては、「思考と行動の型」や成功率や効率を上げるための「5つの原則」があります。書籍「デジタルリスキリング入門〜時代を超えて学び続けるための戦略と実践」ではこの考え方や原則が詳しく紹介されていますのでぜひ手にとってご覧になってみてください。
デジタルリスキルを身につける
ノンプロ研でも扱われている、プログラミングなどに代表される「デジタルスキル」。
「デジタルスキル」を身につけることで大きなメリットがあります。
デジタルに作業を任せることで時間のリソースを確保できたり、デジタルツールの技術のアップデートもされるので、どんどんできることが増えたり、仕事が生まれたりします。
そのため、この周辺に身を置くことによって成長も感じられるし、仕事もできるという安心感も確保できる可能性があります。
仕事を「転写型」「創造型」に分けてみると、この「転写型」はAIやロボットに置き換わる可能性が高く、デジタルスキルを使えることで、これらの仕事を圧縮できたり、他の方の仕事を手伝ってあげたりすることができます。
その中で、時間を生み出し、さらに学習に時間を投下することでスキルや信頼などを積み重ねていくことができるようになります。
日本の「働く」はこれでいいの?
調査によると、働くことを通じて幸せを感じている人の割合や「現在の勤務先で働き続けたい」と考える人は他国と比べて低い一方で、「転職」や「企業」意向を持つ人も少ないようです。
働くことに幸せを感じられない、でも転職も独立もしたくない。
がんばって勉強してきたのに、頑張って行き着く先は、やる気のない大人がいる社会、というのは残念な現状です。
そうしたなか、対照的なのがノンプロ研での活動です。
2017年12月に発足したノンプロ研ではお互い学びを発表する活動をしたり、書籍を執筆して販売する活動(技術書展参加)をしたりと活発に活動しています。
活動を続ける中で、タカハシさんはメンバーから「学ぶのは楽しい」や「学んだことを活かして働くことも楽しい」という声を聞くことがおおく、いろんな研究結果も参照する中で、そのような状態になるための「方法」もわかってきた、と言います。
この、「学ぶことが楽しい」。そしてそこに至るまでの方法があるということをまとめたのが7月20日発売の「デジタルリスキリング入門〜時代を超えて生き抜くための学習の原則」となります。
「学ぶのは楽しい」「学んだことを活かして働くのは楽しい」となるための道筋を紐解いています。
書籍出版記念全国ツアー開催
出版に際して、7−9月にかけて、本に込めた思いを届けるために全国ツアーを実施予定です。
これまではブログやサイト、Voicyなどマスに対してアプローチをしていましたが、これだと届かない人には永遠に届かなそさそう…と感じたそうです。
そこで、今回はノンプロ研メンバーの身近にいる方々(半径5m以内にいる方々)に対してアプローチしてみよう!と各地でイベントを企画しています。
北から南まで、全13日程、リスキリングに込めた想いを届けに行きます!
いつもはオンラインでイベントを開催していましたが、今回は直接会ってのオフライン開催となります。
参加者の方と直接会って、書籍に込めた思いを届けるイベントとなります。
皆さんと会えることを楽しみにしています!という言葉で、タカハシさんは締めくくられていました。
本定例会はYoutubeにもアップされています。
Twitterにも実況ツイートがまとめられていますので、合わせてご覧くださいね。