2022年6月30日に越境学習プロジェクトの中間報告会として、「【越境学習×DX】学習コミュニティ「ノンプロ研」を組織として活用する秘訣」が開催されました。
本記事ではイベントレポートとして、イベント参加者からの質問に対して、フロント・ワークス代表取締役社長の江藤さん、株式会社ファンテック常務取締役の加藤さん、一般社団法人ノンプログラマー協会 タカハシが回答した内容をご紹介します。
越境学習者の周りの理解と影響
—就業時間中に勉強を認めるのって、周りの理解が無いと難しくないですか?
加藤さん:これ僕は、「周りの理解を得るために、敢えて認める」ということが必要なんじゃないかなと思います。上の人間の理解がないと絶望的だと思うのですが、就業時間内に勉強を認めつつ、「頑張ってるね」とか「こういうことに取り組んでます」と、上の人間が社員に向けて発信すると、空気が変わってくるんじゃないかと思います。
タカハシ:就業時間中に学習してOKとされていましたが、それは他のメンバーも見ている感じですか?
加藤さん:見てはいると思います。「なんかややこしいこと、やらされているねえ」という視線で見られていると思いますけど。みんな仲良いので、「大変そうだね」と見えていれば見えているほど、「頑張ってね」となっていると思います。
タカハシ:就業時間に学習している姿やどういうことをしているのかを見せるのは良いと思います。逆に「就業時間内の学習はちょっと・・・」となるとどうなると思いますか?
江藤さん:うちは1名は就業時間中に学習OK、としているのですが、もう1名はクライアントとの契約で仕事をアサインしているので、時間が取れないんですよね。勉強している姿も見せられなくて。就業時間中OKのメンバーも、テレワークなので横で勉強している姿は見せられないですね。
タカハシ:そこはちょっと工夫が必要そうですね。
加藤さん:うちは事務メンバーの方が業務時間中に時間が取れるんですよね。現場メンバーだと業務時間中、現場にいるので無理なんですよね。現場メンバーは「仕事終わったあとも勉強させられているんですか?」という、しんどい目で見られていたところはあったんじゃないかなと思いますね。事務メンバーも、「仕事中にはやらないで」とすると、大変そうなイメージが出ちゃうかもしれません。
タカハシ:やっている仕事で結果的に差別になってしまう、ということは出てきてしまうかもしれませんね。
越境学習者へのサポートや仕掛け、効果は?
—越境学習者へのサポートって、実際どんなことをされてきましたか?
江藤さん:聞かれるまでは口出ししませんでした。講座の宿題の質問も、最初は一対一で対応していたんですが、「あれ?これ越境学習じゃないよね?」と気づいて、それからはノンプロ研Slackで全部聞いてもらうようにしました。LT発表の相談は受けますが、それ以外はほとんどやっていないです。「会社の中でアピールする場を作りなよ」と言ってますが、それも本人に任せています。
加藤さん:社内ペアプロだったり、時間の許す限り、ガッツリサポートするということをしてきました。うちの会社、というか業界自体のITスキルがそんなに高くない中でのスタートだったので、僕がもし突き放すようなことをしていたら、プログラミング学習に対して心が折れてしまう人が多かったんじゃないかな、と思います。そのさじ加減はちょっと悩みました。
タカハシ:理想としては「アウェイ」であるノンプロ研の知らない人にどんどん質問したり、一緒にやってもらうほうが越境学習としては効果がありそうな気はしますよね。ただ、そこで放り投げて本当にできるかは疑問なので、伴走者がどう見極めるかが悩ましいところですね。
—(加藤さんへ)社員のITスキル向上には効果がありましたか?
加藤さん:ぶっちぎりであると思います。今まででは考えられないようなスキルが身についたと思います。
タカハシ:ファンテックさんの事例でいうと、越境学習の初期にエクセルのペアプロをやったのが大きかったのではと思います。ノンプロ研というと「いきなりプログラミング」になりがちなので、その前のステップがあったのは良かったのではと思います。
なるべくスモールステップを用意して取り組んでもらう、というのは越境学習の課題としても考えているところです。
越境学習にかけられる費用はどのくらい?
—越境学習を本運用するなら、いくらまで出せそうですか?
加藤さん:会社規模にもよると思いますが、うちの会社は「社員教育は自分たちでやるものだ」と思っていたので、前はほとんど(外部に)お金をかけていませんでした。といっても、立派な教育ができていたわけではないですが。そこからお金をかけるようにしましょう、と考えを変えていく中で「いくらまで出せるか」と聞かれると、キツイんですが(笑)…費用対効果で考えると、社員一人あたり月1〜3万円ぐらいまでなら、かけた費用分は十分効果が返ってくるのでは、とは自信を持って言えます。
タカハシ:越境学習はまだトライアル運用なので、本運用の価格をリリースしていないのですが、普通にノンプロ研に入るのとそんなに変わらない価格で提供しようと思っています。越境学習やノンプロ研に参加してスキルアップを考えている企業さんだと、やらない理由が無いぐらいの金額で提供予定です。
江藤さん:以前タカハシさんと話をしたとき、コンサル入れるのと費用同じくらい、と考えると月額5万くらいなら出しても良いんじゃないかなぁ、とは伝えたと思います。
タカハシ:特に中小企業だと、越境学習の予算はとっていないと思います。その中で予算を通そうと思ったときに、リターンはいつかえってくるか?は越境学習の場合、ほとんど証明できないと思うんですよね。なので、手が届く範囲で参加いただきたいなと思っています。
それと、越境学習ではノンプロ研以外にも色々取り組みがあって、会社2社同士でメンバーを交換したり、地方を行ったり来たり、という大掛かりなものが多くて、中小企業だとほぼ無理なんですよね。
そこで「ノンプロ研だけでも越境学習に参加できるようにしたい」という思いがあるので、期待していただけるのではと思います。
まとめ
業界も社風も異なる二社の越境学習参加エピソードは、越境学習の活用方法、影響や波及効果も様々で、これから取り組みを検討されている方にも大変参考になったのではないでしょうか。
これからどんな成果が生まれてくるのか、とても楽しみですね!
YouTubeでも当日の動画を公開しています。こちらも併せてぜひご覧くださいね。