仕事にはなくてはならない存在のスプレッドシート。
リアルタイムの共同編集が可能で、作業履歴を残すことができたり、データの記録、集計に大変便利なツールです。
しかし、その機能の豊富さから、スプレッドシートの真の力に気づかないビジネスパーソンも多数いるはず…。
そこでノンプロ研3月定例会では「すごいぞ!スプレッドシート」と題して、ノンプロ研を代表するスプレッドシート猛者の3名の方に、その真価について語っていただきました。
この記事ではイベントレポートとして、定例会当日の内容をご紹介します!
「スプレッドシート関数勉強会で社内に起きた変化」
えばたさんからは「スプレッドシート関数勉強会で社内に起きた変化」というテーマでお話をいただきました。
大阪の三和建設株式会社で勤務されているえばたさん。
昨年、各所で取り上げられている「関西建設業界勉強会」の立ち上げや企画運営役もされています。
勉強会の概要
この関西建設業界勉強会は、関西の中小建設企業の ITリテラシー向上を目的として立ち上げられました。現在は2期が開催され、今は3期目の準備をしている段階です。
1期あたりの受講生は7〜8人、 全4日間で構成されています。初日のイントロダクションではGASを使って何が出来るのかを説明し、2、3日目にはスプレッドシート関数を学び、最終の4日目では受講生による卒業ライトニングトーク(プレゼンテーション)があります。
目標は、GASでできることを自分で説明できる、基本的な関数を使える、自ら調べ使える力を身につけること。
※詳細は昨年8月のノンプロ研定例会でもお話しされていますので是非ご覧くださいね。
ノンプロ研定例会vol.67「業界DXを目指す!『関西建設業界合同勉強会』のつくり方」
講座では、基本的なスプレッドシート関数や、構造化データについて言及したり、業務での使用を想定した条件付き書式なども扱いました。宿題ではARRAYFORMULA関数やIMPORTRANGE関数など、スプレッドシート特有の関数にも取り組んでもらったそうです。
勉強会後の社内の変化
えばたさんは、元々GAS仲間が欲しいという強い思いがあり、勉強会でスプレッドシート関数を扱うことにはあまり積極的になれなかったそうです。
しかし、勉強会後に起きた、社内の想像を超える大きな変化によって、その考え方は間違っていたと気づいた、とおっしゃっていました。
ではその変化とはどのようなものだったのでしょうか。
まずは、構造化データへの意識が高まったこと。
これまでは、構造化データの重要性を伝えても周囲はピンときておらず、非構造化データが量産される毎日だったそうです。それが今では構造化データへの関心が高まり、データの整備が進むようになっています。
次にマスターデータの整備が進んだそう。
以前は、同じようなリストが複数存在する状況で、どれが最新かわからない状態でしたが、マスタデータの一元化が進みました。IMPORTRANGE関数でマスタデータから必要なデータを読み込める社員が増えてきているそうです。
また、「転写型業務はなくせる」という発送が広がったそうです。これは勉強会でも強く訴えたことで、勉強会の見学者からも反響が大きく、色々な部署の方から「この業務、もっといい方法はありませんか」と声をかけてもらえることが多くなったそうです。
そしてついに、えばたさんの念願だったGAS仲間も誕生したということ!
勉強会後、GASを勉強したいという方がノンプロ研に入会し、GAS初級講座を受講。そして先日、毎月手作業で行なっていたリストの作成を自動化するツールを開発!えばたさんご自身も、業務ではそのツールに助けられているそうです。
勉強会後のえばたさんの変化
ここまでは組織に起きた大きな変化でしたが、えばたさん自身にも変化を感じられたそうです。
それは「スプレッドシート関数のすごさ」に気づいたこと。
スプレッドシート関数でできることは限られている、と見くびっていたそうですが、勉強してみるととんでもなく多機能で頼りになる存在だと感じるようになったそうです。
勉強会を通し、人に基礎を教えることによって自身の基礎を最強にすることができたから、と振り返られていました。「演算であれば、どんな複雑なものでも、スプレッドシート関数でできる!」という自信がついたそうです。
これからのえばたさんの計画
最後に、今後の計画について話をしてくださいました。
これまでは日常的にスプレッドシートを使っているメンバーを対象とした勉強会でしたが、今後はそうではない方々も対象にして開催をしていきたいとのことで、現場メンバーが参加しやすい夕方以降の開催や、Gmailやドライブ、カレンダーの活用方法なども盛り込むことを検討しているそうです。
またGAS学習者のフォローアップも検討されています。
そして、GASが使える方やスプレッドシート関数が使える方が社内に増えていく中で、えばたさんご自身は「(当社においては)GASのコードはシンプルにする」重要性を感じているとのこと。
ノンプロ研の中でもクラスに難しさを感じる人がいるので、初学者の多い社内では、ツールのメンテナンスを分業したり、みんなにコードを読んでもらうにはクラスを使わずにシンプルなコードにする必要があるのではないかと考えられています。
「これはオブジェクト指向とは相反する考え方ですが、中小企業において必要なのは、オブジェクト指向の強いプログラマーではなく、誰かに聞かずとも業務に活かせるコードを、自ら調べて効率よく書ける力であり、そういう人が一人でも多くいることが大切なのではないかと思います」と、えばたさん。
使用割合についても言及されていて、「完全に持論なんですけども、業務ツールはスプレッドシート関数7割、GASは3割まで。これぐらいの比率で作るツールが当社の身の丈に合ったちょうどいいツールなのではないかと思っています」と考えられていました。
そのほか、今は一元管理されていないデータもあり連携が困難に感じる場面もあるため、データで部署をつないで解決していきたいという話もされていました。
勉強会前は「スプレッドシート関数をみんなで勉強しなきゃダメ?」と疑問を感じていたえばたさんでしたが、今では「みんなでやったからこそ、良かったのだな」と感じられているそうです。えばたさんの大好きな言葉、「早く行きたければひとりで行け、遠くへ行きたければみんなで行け」が現れたご経験だったようです。
そして最後に、「スプレッドシート関数勉強会から始めるDX、ありだと思います!」と皆さんに改めておすすめされていました!
次の記事では、カワムラさんパートをご紹介します!
本定例会はYoutubeでも当日の動画がご視聴いただけます。
当日の実況ツイートもまとめられていますので、合わせてご是非ご覧くださいね。