ジョブ型雇用推進で賃金は上がるのか

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ジョブ型雇用推進で賃金は上がるのか

みなさん、おはようございます!タカハシ(@ntakahashi0505)です。

こちらの記事は、タカハシが音声メディアVoicyの「スキルアップラジオ」にて放送した内容から、ピックアップしてお届けします!

今回のテーマは、ジョブ型雇用推進で賃金は上がるのかです。

なお、以下で実際にお聴きいただくこともできます!

では、よろしくお願いいたします!

ニュース「ジョブ型で、賃金が上がる」をどこまで信じていいのか

今日はニュースを紹介したいなと思っています。タイトルは「ジョブ型で、賃金が上がる」をどこまで信じていいのかー政府方針に大きな矛盾です。

この記事では、政府がジョブ型雇用の推進に積極的だということを伝えています。

5月16日に、岸田首相が議長を務める政府の「新しい資本主義実現会議」というのがありまして、そこが「三位一体の労働市場改革の指針」というのを打ち出したんです。

その中でこのように書かれています。

リスキリングによる能力向上支援、個々の企業の実態に応じた職務級の導入、成長分野への労働移動の円滑化、三位一体の労働市場改革を行い、客観性、透明性、公平性が担保される雇用システムへの転換を図ることが急務である。これにより、構造的に賃金が上昇する仕組みを作っていく。

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用

欧米で普及するジョブ型雇用

ここで職務給という言葉が出てくるんですが、これは職務、すなわち仕事の種類とか役割に賃金が紐づいているということを表しているんです。これがジョブ型雇用の賃金の決め方になります。

このジョブ型というのは何かと言いますと、あらかじめ職務内容が規定されていて、その職務を実行するために必要なスキル、経験、資格などを持つ人材をそこに当てはめるように作用していく、このような雇用の方法になります。

欧米諸国では、これが広く普及しているんですね。

日本はメンバーシップ型雇用

一方で日本では、ジョブ型雇用ではなくメンバーシップ型と呼ばれる雇用の仕方が中心と言われています。

こちらは職務内容を限定しないで雇用し、入社後に職務や就業場所を割り当てます。

イメージとしては、新卒一括採用なんかがまさにその通りなんです。

とりあえず採用することだけを決めて、しばらくトレーニングを施したのちに、配属場所を決めるのが、まさにメンバーシップ型のわかりやすい例と言えるかなと思います。

メンバーシップ型は職能給

メンバーシップ型で言うと、その支払える賃金は職能給になるわけです。つまり、人の能力に賃金が紐づいているというのが基本になります。

給料の決め方に関しては、おそらく会社によってかなり違うのかなと思うんですが、管理職とか役割に応じてプラスになっていく仕組みを取っているところもあれば、目標管理制度に従って毎年の査定をするというパターンもあると思います。

もしくは、昔ながらの年功序列というところもあるのかなと思います。

政府の狙い

個人に対してはリスキリング推進

まとめると、政府の狙いとして個人に対しては、時代が求めるスキルを習得するリスキリングを推進していくわけです。

時代が求めるスキルとは、わかりやすいもので言えばプログラミングなどのデジタルスキルになります。

企業に対してはジョブ型雇用の職務給の導入を

一方で企業に対しては、求めるスキルを明確にした職務給の導入を促すわけです。

これによって、特定のスキルを持った人が転職しやすくなりまた賃金が上がりやすくなる、こういった仕組みを作っていきたいという狙いなわけです。

グローバルの優秀なITエンジニアの転職を見ると、明らかにこれが起きているわけですね。

ジョブ型雇用で言うと、ジョブディスクリプションという書類がありまして、そこに担当する業務内容とか、範囲とか難易度とか必要なスキル、これが決められているんです。

それが求人情報として出回っていますので、自分ができるなと、かつ今よりも給料いいし、将来性が良いとなった時には、その求人に申し込むわけです。

スキルがものすごく高い人は、このような転職とかもしくは引き抜きなんかもあるですが、これを繰り返すことによって給料が上がっていきますし、市場としてもそのポストの市場価値が高騰していくということに繋がるわけです。

政府のもくろみは実現するのか

おそらく政府は、この状況をイメージしているのではないかなと思っています。

実際一部の企業では、ITスキルを持った人向けに、通常の報酬テーブルとして運用しているものとは別に魅力的な報酬テーブルを用意して、それによってそういったスキルを持った人たちの採用、獲得を有利にしていこうという動きがあります。

ただ政府のニュアンスで言うと、IT職とかそういった人たちだけの範囲ではなくて、もっと全体的にジョブ型にシフトしていく必要がある、このようなニュアンスが感じられます。

困難なジョブ型へのシフト

それについては、こちらの紹介した記事でもそうですし、他の記事でもジョブ型へのシフトは難しいんじゃないかという反応が多いなという印象があります。

というのも、やはり既存の業務を職務給に切り替えていくのは非常に困難なわけです。

既存のメンバーの業務をきっちり棚卸しして、職務を定義していく必要があります。そこに相当の労力がかかるんじゃないかなと思うんです。

また日本で言うと、自分の役割から少し外れているところにも手を出していこうとか、もし手が空いたら他の人を助けようとか、そういったことが美徳という文化もあるわけです。

運よくジョブディスクリプションを定義できたとしても、切り替えるタイミングで減給になってしまうビジネスパーソンも出てきくるでしょう。

これは大きな反発を生むことになるので、かなり慎重に進めるというか、なかなか進められないんじゃないかなと思います。

中小企業の実態は

ここまでメンバーシップ型かジョブ型かといった話を中心にしてきたんですが、リスナーさんの中に、あんまりピンとこない方もいるんじゃないかなと思うんです。

その感覚は結構正しいわけでして、実はこの議論というのは、結構大企業を中心とした議論な気がするというのが僕の意見なんです。

フレキシブルな求人

例えば中小企業なんかで言うと、なんとなくこういうポジションが欲しいみたいな感じで求人広告を出して、良さそうだったら採用するみたいなことを結構していると思うんですよね。

そして、例えば事業に変化があったとか、誰かが辞めたとかの時は、相談の上役割を変更したり、移動したり、そういったことをフレキシブルにやっているわけです。

給与の決め方も様々

一方で給与の決め方に関しては、本当に色々あるかなと思います。

ある程度大きな組織であれば、報酬テーブルとか、目標管理制度とかあるとは思うんですが、小さい会社の場合は社長の一存で決めていくことも結構あるんじゃないかなと思うんです。

それであれば、今欲しい人材について、こんな人材が欲しいと募集をかけて、魅力的な給与で採用したらいいんじゃないかなと思ったりしています。

ノンプログラマーの雇用はねらい目

その点、僕がいつも支援しているノンプログラマーの皆さんは、すごく狙い目だと思っています。

というのも、皆さんはスキルがあるにも関わらず、スキルがない人と同じ給与しかもらってないことが、かなりのケースで起きているからなんです。

それはなぜかというと、会社とかそのマネージャーがそのスキルをマネジメントする、もしくは評価する能力がないからなんです。

ノンプログラマーの皆さんの多くは、ブーブー言いながらも自分のお金で学習活動をして、なんとか職場の仕事が良くならないか、時には職場の抵抗を受けてもそれを推進している、そんなことをしているわけなんです。

こんなにいい人材なのに、報われていないということがよく起きています。

だとすると、そういったデジタルに強いノンプログラマーをちゃんとマネジメントをして活用する、そしてきちんと評価する、そんな会社があれば、そういう人材が集まるチャンスはかなりあるんじゃないかなと思っています。

こんな人をとればいい

例えばオフィスツールとして、Googleワークスペースを導入している会社であれば、総務、人事、経理などの管理系の仕事で、Google Apps Scriptというプログラミング言語のスキルを持っている人を優遇して採用するといいかなと思うんです。

管理部門の仕事はかなり会社の重要なデータが集まってくるんですが、そういったデジタルの素養がある人がいると、会社のデータが整備されてそれを活用できる土壌が一気に整うというのは期待できるんじゃないかなと思います。

また、そういった人たちが各現場に増えてくると、情シス担当さんの仕事は一気にワンランク上の仕事ができるようになったりするわけです。

このような企業が増えていき、そういった事例がどんどん世に出ていくようになれば、そのようなスキルを持った人たちの賃金が徐々に上がっていくんじゃないかなと僕は期待していたりします。

問題は管理職がマネージメントできるかどうか

ただやはりネックになりそうなのは、会社もしくはそのマネージメント層の人たちがデジタルスキルをマネージメントできるかどうかということなんですよね。

ですからやはり推進していくのは、経営者やマネージメント層のデジタルスキル、これを身につけるためのリスキリング、ここがすごく重要なんじゃないかなと思っています。

多くの職種で賃金アップは簡単な話ではない

ということで、今日はジョブ型雇用の推進に賃金は上がるのかどうかということについてお話をさせていただきました。

僕の考えで言うと結論としては、一部ITの専門技術を持った人たちについては、賃金が上がってくる可能性は十分にあるかなと思うんですが、それ以外の多くの職種でそれが実現されるかというと、それは簡単な話ではないかなと思っています。

ただ、自分がアクションを起こすことで、収入を増やしていくこともできる選択肢が増えてきているかなと思いますので、そういったものをコツコツ皆さんで続けていくことで、全体の収入が上がっていくってことは期待できるんじゃないかなと思うんです。

そういった情報も、こちらのスキルアップラジオでお伝えしていきたいなと思っていますので、ぜひ引き続き活用いただければ嬉しく思います。

まとめ

ということで、今日はVoicy「スキルアップラジオ」の放送から「ジョブ型雇用推進で賃金は上がるのか」をお届けしました。

タカハシのVoicyの放送はからお聴きいただけます。

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では、また。

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