目の前にある課題を無視してリスキリングはできない

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目の前にある課題を無視してリスキリングはできない

みなさん、おはようございます!タカハシ(@ntakahashi0505)です。

こちらの記事は、タカハシが音声メディアVoicyの「スキルアップラジオ」にて放送した内容から、ピックアップしてお届けします!

今回のテーマは、目の前にある課題を無視してリスキリングはできないです。

なお、以下で実際にお聴きいただくこともできます!

では、よろしくお願いいたします!

政府のリスキリング施策は役立つのか

今日のトークテーマは#成果を出すには ということなんですが、僕が主戦場としているリスキリングでどうやったら成果出せるのかという話をしたいと思います。

まず、BUSINESS INSIDERさんの 「リスキリング支援に「ズレている」との声。政府の補助制度が不発な理由」という記事を紹介します。

政府が、リスキリングに対して国が補助していきますと宣言してから様々な補助が出てきています。この政府の補助に関して、あるスタートアップに勤務する従業員の方はこのように言っています。

リスキリングに取り組もうと思っても、役に立つような政府の補助って全くないんですよ。なんなら転職までおすすめされるので、制度設計がちょっとずれているなと感じます。

転職者が対象のリスキリング施策

これは何を伝えているかと言うと、第495回の放送リスキリング講座「費用の7割」を国が補助、ただし条件は転職することでお伝えしている通り、経済産業省の補助に関しては転職する人が対象になっています。

つまり転職しない人、今の会社で働き続けながらリスキリングに取り組みたいという人は対象から除外されてしまっていると伝えているんです。

確かにほとんどのビジネスパーソンで言うと、新しいスキルをどんどん身につけていって時代についていかなきゃいけない、なのでリスキリングしなきゃいけないという話なはずなんですが、なぜかその補助の対象が転職を前提にしている人だけになってしまっています。

会社に勤務し続けながらそういったスキルを身に付けていく人に補助はないのかというのは、確かにまっとうな意見だなと思いますね。

政府のねらいは成長産業への移動と賃上げ

ただ、このリスキリングに関して政府がやりたいことと言うと、とにかく人材の成長産業への移動とそれによる賃上げなんです。そこに関しては結構一貫してメッセージは伝えているので、確かにその通りやっているだけの話のようにも見えます。

では、有識者はなんと言っているのか。有識者の多くは、リスキリングに関して言うとスキルを身につけることによって転職する、もしくは他の業務に就く、これが目指すことだと伝えているんです。

転職というゴール設定で言うと、政府のもくろみと合致している部分があります。

他の業務につくという話は、例えば部署移動だったり、新しいプロジェクトに参加するとかいったことが想定されるかなと思います。

企業の立場からのリスキリング

対して企業の立場で言うとどうなのかを見ていきます。

政府からも有識者からも、企業は主導権を握ってリスキリングをしていきましょうと言われているんですが、企業からすると、政府から実際に得られる補助は転職がゴールになっている従業員個人向けなわけです。そして、有識者も転職がゴールと言っています。

いやいや、企業からしたら自分の社内の人材を育てて転職されたら困っちゃうわけですよね。なので、その出口戦略は取れない。じゃあどうするかというと、部署の移動だったり新しいプロジェクトへの参加だったりするわけです。

これに関して言うと、企業は部署移動を可能にするような制度を作ったり、新しいプロジェクトを立ち上げたりといったことをする必要があるわけです。それにはそれなりの戦略が必要ですし、時間も労力もかかります。

そもそも、それなりの規模感がある企業じゃないとそういったことはできないのが普通だと思うんです。

そんな出口を用意することができないような小さい規模の中小企業に関して言うと、じゃあどうしたらいいか全く見えてないというのが現状なのかなという気はします。

企業がどのようにリスキリングに取り組んで、それを通してどんな成果を出すことができるのかということを考えると、今のところ政府の施策でのみだとちょっと難しいのかなという印象はあります。

そこでちょっと考えてほしいのが、企業の経営者はそもそも真正面のルートをもう1回考え直す必要があるんじゃないかということです。

企業の課題を解決する

なぜ従業員は新しいスキルを身につける必要があるのか、例えばちょっと発想を変えてみましょう。

自分たちの顧客や自分たち自身の課題が全部解決していて、常にそれら関係者、ステークホルダーが満足していて、そして業績も右肩上がりに上がっているような状態が続いているのであれば、別に新しいスキルなんていらないです。

新しいスキルを獲得する活動は企業にとっても従業員にとってもコストが発生しますので、わざわざそんな余計なコストをかける必要はないんです。しかし、おそらく多くの場合はそういう状態ではないはずなんです。

顧客もどこかに課題を感じていますし、自分たちもその経営活動の中で課題はあるわけなんです。もちろん、業績はずっと右肩上がりということも簡単ではない。そういった話になるわけで、おそらくどこかには課題があるわけです。

課題解決の手段、リスキリング

じゃあ、その課題を重要なところから片付けていこうとした時に、その課題を解決する方法の1つとしてスキルという手段があるわけです。

2011年、WebブラウザNetscape Navigatorの開発者であったマーク・アンドリーセン氏のコメント、「ソフトウェアが世界を飲み込む」が大きく話題になりました。

その予言の通り、今、世界はまさにソフトウェアに飲み込まれている状態になっています。

もしそれを言い換えるのであれば、世の中の多くの課題をデジタルが急速に解決をしていった、それによってそういったデジタルを強みにするビックテックが上位を席巻しているわけです。

全ての課題がデジタルスキルで解決できるとは言いませんが、その課題の解決方法としてデジタルスキルを検討するというのは、当然あるべき方向性なのかなと思います。

顧客や自分たちの身の回りにある課題を見つけて、それを例えばデジタルスキルなどのスキルで解決をする。その結果、収益性が高まり会社の業績も上がって、従業員の賃金も上がっていく。

これが、企業がリスキリングに取り組んだ結果で進むべき本来のルートなんじゃないかなと僕は思います。なんとなく、それが横に置いておかれてしまっているんじゃないかなという気がしています。

建設業界の事例

わかりやすい例を挙げると、今、建設業界は未曽有の手不足になっています。特に現場の皆さんは、新しい方の採用がなかなか難しい中、ぎゅうぎゅうのシフトで働いているわけです。

しかし、現場で仕事を終えた後に、手書きの書類が求められているわけです。

それを手書きで書いてファイリングするために会社に戻り、そしてそれを取引先だとか行政に提出するために、事務員さんたちが再度その書類を見ながらExcelに入力する、こんな仕事をしているわけです。その仕事の仕方には、大いに課題があります。

今で言うと、ノーコドツールを使ってスマホで入力できるようなアプリを社内でも開発できるわけです。現場の職員さんたちは、現場にいながらそのままスマホで入力をして現場から直帰することができ、ゆっくり明日に備えることができるわけです。

さらに事務員さんたちはオフィスで待っている必要はなくて、スマホから入力したデータは勝手にデータベースに蓄積され、そこから必要な書類も自動で生成される。そういったことは、今の技術で十分に実現できるわけです。

そこで必要となってくるのは、そういったアプリや業務表を構築するスキル、そして、それを使いこなすスキルになります。

Excelのコピペ作業の例

また、別の例も見てみましょう。

大量のExcelファイルのレポートを作る必要があります。コピペとフィルターの嵐で、これで残業祭りをしている。時に人の手だとミスをするので、ミスをしたところからやり直し、レポートができるのには何日もかかります。

そのレポートが出てこないと、経営者だったりとか取引先は、そのレポート見ての判断だったりそこから先のアクションが取れないわけです。

ここにも十分に課題があるわけです。

それであれば、例えばExcel関数とマクロを組み合わせることで、レポート作成をコンピューターに任せることができるわけです。おそらく間違いなく、コンピューターの方が人よりも早く正確に仕事をこなすことができます。

早くレポートが提出されることで、経営者だったりとか取引先はそのレポートを早く受け取って、次のアクションを早く起こすことができるようになります。

人の手は空きますので、その時間は創造性の豊かな人にしかできないような仕事に従事ができるようになるわけです。

身近な課題を解決し続ける

このような形で、僕たちの周りには様々な課題が存在しているはずなんです。そこを無視して、リスキリングという話を進めないようにしていただきたいなと思います。

そういった課題をひたすら見つけて、優先順位の高いすぐになんとかできそうなものから、必要なスキルを身につけながらどんどんと業務を変え続ける、おそらくそれを1年でも続けたら、1年前に比べたら業務の仕方全く変わっているはずなんです。

そして、チームメンバーが保有しているスキルセットも大きく変わっているはずです。

僕はリスキリングというのはこういうことなんじゃないかなと理解しています。

企業が目指すべきこと

とにかく今の時代は先が見えず何が正解かわからないので、とにかく目の前にちゃんとある課題に対して行動を積み重ねることなんじゃないかなと思っています。

なので本来、政府とか企業に期待したいことは、そういったことが実現できるような環境作りをするのがいいんじゃないかなと思っています。

今日は、企業はどうやってリスキリングの成果を上げるかという話をさせていただいたんですが、とにかく、リスキリングというワードだったりとか、他の動きにまどわされないことです。

本来企業がやるべきことというのは、顧客を中心に関係する皆さんに貢献すること。それをきちんと続けられるように、もしくは、もっと大きな規模でできるように、収益をちゃんと上げていくことだと思うんです。

リスキリングという活動はあくまでその手段なので、必要であればどんどんやればいいですし、必要でなければ別にやらなくていいという話なんじゃないかなと思います。

ただ、多くの場合で解決されていない課題があちこちにあると思いますし、そのスキルを獲得するという活動は、特に日本のビジネスパーソンはあまりやってきてなかったわけなので、それをちゃんとできるようになることで解決できるようになる課題がどんどん出てくるんじゃないかと期待感があるわけです。

簡単ではないんですが、そこの成果がちゃんと見えてない限りはうまくいかないんじゃないかなと思いますので、この放送を機に、ぜひ1度考えてみていただければ嬉しいなと思います。

まとめ

ということで、今日はVoicy「スキルアップラジオ」の放送から「目の前にある課題を無視してリスキリングはできない」をお届けしました。

タカハシのVoicyの放送はこちらからお聴きいただけます。

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では、また。

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