日本ならではのリスキリング施策とは

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日本ならではのリスキリング施策とは

みなさん、おはようございます!タカハシ(@ntakahashi0505)です。

こちらの記事は、タカハシが音声メディアVoicyの「スキルアップラジオ」にて放送した内容から、ピックアップしてお届けします!

今回のテーマは、日本ならではのリスキリング施策とはです。

なお、以下で実際にお聴きいただくこともできます!

では、よろしくお願いいたします!

学びたくない日本人2000億円の投資で給料が上がる仕組みを作れるか

まず、ある記事を紹介したいなと思っています。

ITメディアの記事でして、タイトルは「学びたくない日本人2000億円の投資で給料が上がる仕組みを作れるか」このタイトルになります。

こちらの記事、かなりよくまとまっているなという印象でして、これまで、リスキリングについての流れとか、あと、日本の現状とか、きっちり整理されているなという感じです。

それで、今、リスキリングに関しては、大手企業を中心に取り組みが進められているっていうことなんですけれども、この記事の中でも、それについて言及されています。

ただ実際に、その取り組みがそんなにうまくいってないんじゃないかという指摘をしてるわけなんです。

記事の中で、大手企業の管理職研究を手掛ける外部講師のコメントが紹介されています。

この方がなんとおっしゃってるかというと、以下のようなことです。

大手企業はそうした研修を結構やってるが、実際に社員が学んでいるかと言えば別の話です。現実的にe-ラーニングを利用して勉強している社員、ほとんど見たことがない。おそらく8割以上はやってないと思う

リスキリングの必要性

それとは別に、ある調査結果が紹介されています。

連合総合生活開発研究所の「第45回『勤労者の仕事と暮らしに関するアンケート(勤労者短観)』調査結果」なんですけれども、会社施策によるリスキリングの必要性について、必要だと答えた人は全体で46.1パーセントです。また、自発的に行うリスキリングの必要性、これについても必要と答えた人は46.3パーセントでした。

ということで、半数近くの人がリスキングが必要だと回答しているんです。

しかし一方で、リスキリングが実施されたら参加するか、この質問に関しては、参加したいと答えたのはわずか16.5パーセントだったということなんです。

なので、皆さん必要性は感じているけれども、本当はやりたくないというのが本心ということなんです。

先ほどの外部コーチの方のコメントも、この調査結果も、僕が観測してる感じでいうと、まさに残念ながらそういう状況なんじゃないかなと思っているんです。

ただ一方で、最近、リスキリングが進んでいるとか、効果が出ている。そういった調査結果も出てるんですが、これはポジショントークに繋げるためのものなんじゃないかと感じています。

ドイツの「リスキリング」政策について

さて、現状の確認をしたところで、別の記事について紹介をしたいなと思っています。

そのタイトルは、「「今はすべて上手くいってます」…工場を解雇された52歳男性が「華麗なる転身」をしたドイツの「リスキリング」政策」こちらの記事になります。

どういった話かと言いますと、ドイツ南部の自動車部品工場で30年間働いてきたマーティン・コペツキーさん。52歳の方の事例が紹介されてるんです。

今、自動車業界で言うと、業界構造として、ガソリン車に代わって電気自動車への大転換が押し進められている状況なんです。

EVシフトとよ呼んでるわけなんですけれども、そのコペツキーさんが勤めてきた自動車部品工場は、この流れを受けて、3年後の工場閉鎖を決定したということなんです。

それを受けて、コペツキーさん含めて工場で働く人、450人いらっしゃったそうなんですが、その労働者の多くが解雇されることが起きてしまったわけなんです。

ただ、このコペツキーさん、ドイツの職業訓練制度を使って華麗なる転身を遂げます。

まず、半年間のビッグデータを分析する講座、これを学びます。ビッグデータの資格を習得するわけです。それによって、企業の経営管理システムなどの保守、構築を行うシステムエンジニアとして働けるようになったということなんです

ドイツとしては、インダストリー4.0というテーマを掲げて、従来のものづくりを中心にした産業から、インターネットやビッグデータ、AIなどを活用した、生産の効率化を進める。このようなスマート工場の実現に、取り組んでいきたいわけです。

コペツキーさんは、このような流れに乗って、国の制度を用いて、見事転身をすることができたということなんです。

日本も国としてリスキリング政策を進めている

一方で、日本も国としてこのリスキリング政策を進めています。

政府としては、従来の産業から成長産業に人が移動していくことで、経済の活性と賃金上昇を目指していきたいと考えています。

では、日本において、このドイツと同じような職業訓練制度。こういったものを充実させれば、リスキリングが加速していくのかという話なんです。

これについて、リスナーの皆さんはどうお感じになられますでしょうか。僕は、そうそう簡単にはうまくいかないんじゃないかなと思っているんです。

シンガポールの全国民リスキリング計画について

理由を説明する前に、もう1つ、事例を紹介します。これは、以前、55回の放送でもお伝えしている、「#55 シンガポールの全国民リスキリング計画について解説します」です。

シンガポールの全国民向けの、リスキリング制度、スキルズフューチャーというのがあります。これは、シンガポールの国として、直接、国民を支援する仕組みになっているんです。

これを実施したところ、2021年に、支援を受けた人は、なんと、66万人いたということなんです。

シンガポールの、人口570万人ということで、実に、生産年齢人口の25パーセントの人たちが、この制度を利用したということなんです。

ただし、この制度が活用された背景には、コロナ禍による経済悪化があったそうです。実際に、50代を中心としたミドル世代。彼らの多くが、リストラにあってしまったそうなんです。

それを受けて、スキルズフューチャーが提供されて、多くの人たちが、利用したということになります。

ドイツとシンガポールの事例の共通点

そもそもこのコロナ禍による経済悪化、それに連動して起こったリストラ。この危機がなかったら、スキルズフューチャーが提供されていたとしても、それほど多くの方が利用しなかったんじゃないかと思うわけです。

これに関しては、ドイツのコペツキーさんの例も同じです。EVシフトによる、リストラ、まさに目に見える危機があったわけです。

それで、このドイツとシンガポール。2つの事例で言うと、人々の目の前に大きな危機があった。こういった共通点が見受けられるわけなんです。

これはマズローの欲求階層説でいうと下から2番目の安全欲求。ここに該当するわけなんです。そこが強いトリガーになって、リスキリング活動にビジネスパーソンたちを駆り立てたんじゃないかと予想もできます。

ただ、この安全の欲求のような欠乏欲求は、満たされてしまうと、そのモチベーションは失われてしまうわけなんです。

コペツキーさんの記事を見る限り、今は全てうまくいってますと答えてらっしゃいます。うまいことその欠乏の欲求から、自己実現の欲求、成長欲求にモチベーションをスイッチさせることができているように見えます。

行動をおこすための数式とは

これについて以前紹介した、アンラーン戦略の、行動を起こすための数式を思い起こすわけです。

どういった数式かというと、以下のような数式です。

行動B=能力A×モチベーションM×きっかけP

つまり、能力も高くてモチベーションも高くて、そしてきっかけも大きい。この状態であれば、大きな行動を起こせるということなんです。

ドイツやシンガポールの例でいうと、外発的な危機がきっかけだったわけなんですが、これによって、モチベーションMときっかけPが大きかったわけです。

なので、能力Aが低かったとしても行動を起こすことができた。そういったビジネスパーソンが多かったと考えられます。

日本の雇用状況は非常に安定している

一方で、日本ではどうかという話なんです。

日本の雇用状況は非常に安定してますので、その安全な欲求を脅かすような、そういったきっかけ、モチベーションは得られないわけなんです。

しかし、日本政府とか、リスキリングを推進している有識者の皆さんは、リスキリングを通して、転職とか職種の変更、これを実現してほしいと訴えているわけなんです。

ただ、多くのビジネスパーソンからすると、職種を変えられるような、そこまでの学習になってみんながやってきていないわけなんです。そうなると、そもそも現実味がありませんし、ハードルが高いと感じて、1歩目を満たすのも躊躇してしまうことは確かにあるんじゃないかと思うんです。

目標とする行動Bを小さくする

ではどうすればいいかという話なんですけれども、その目標とする行動Bを小さくすればいいんじゃないかなと僕は思っています。

つまり、今仕事の中で抱えてる課題。その中で、ちょっとした努力で解決できるようなものを見つけて、それを目標として行動することです。

たとえば、今やっている仕事で、なんかコピペが辛いなというのがあったとします。

そしたら、マウスではなくて、キーボードで操作できるように、いくつかのショートカットキーを使えるようにしようとか、あとは、計算結果を貼り付けしなくてもいいように、エクセル関数を1つ覚えてみよう。そういう小さなステップを目標に据えるわけです。

であれば、そんなに時間もかからないだろうし、自分にもできそうということで、行動に移してもらいやすくなります。

その効果もすぐに出てきますので、成果を味わえて、次のモチベーションにも繋がるメリットがあります。そして、そのような小さな行動だったとしても、毎日積み重ねていくことで大きな積み重ねになることを期待できるわけです。

なので、日本でいうと、そういった危機を煽るとか、大きな目標を掲げるよりは、小さなステップを用意して、そこで一歩踏み出してもらう。そういった積み重ねをしてもらう方が有効なんじゃないかと思っています。この方針を、僕自身は強く発信していきたいなと思っています。

まとめ

ということで、今日はVoicy「スキルアップラジオ」の放送から「日本ならではのリスキリング施策とは」をお届けしました。

タカハシのVoicyの放送はこちらからお聴きいただけます。

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では、また。

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