最近、大人気のプログラミング。ちょっと興味を引かれるけど、未経験の私には正直難しそう……と感じる人が多いようです。そんな初心者の第一歩としてオススメなのが、スプレッドシート関数(以下、スプシ関数)。ノンプロ研(ノンプログラマーのためのスキルアップ研究会)でスプシ関数の初心者向け講座が開かれると聞き、プログラミング経験0のライター・さくらもえが体験してみました!
「事前課題」と資料で、予習もしっかりできる仕組み
日常業務でスプシを使った情報共有、タスク整理などをしていますが、関数を使ったことはない。そんな私が、ノンプロ研の「初心者IT基礎講座【スプレッドシート関数コース】」通称「スプシ講座」に参加したのは2023年3月のことでした。
ノンプロ研では、受けたい講座が決まったらまず「仮申し込み」をします。催行可能人数に達すると、開講準備が始まるという仕組み。仮申し込みをした人は、優先的に本申し込みの案内を受けられます(受講までの流れについて、詳しくはこちら)。
講座は平日の20:00〜22:00にオンライン講義形式で行われ、その後は懇親会へ、という流れです。回数は全2回(講座により異なります)、参加しやすい時間帯で、しかもすべてがオンラインで完結。このハードルの低さと、プログラミングの世界を覗き見できる期待感に背中を押され、参加を決意したのでした。
開講の2週間ほど前、講師から参加者全員宛てにSlackが。全6項目の「事前課題」が送られてきました。自己紹介&学習の動機発表から、スプシの基本的な操作、Excelからの変換まで、情報量がたっぷり。「範囲指定のショートカットキーを使ってみる」なんて課題もあり、1つひとつこなしていきました。また、講座で使う資料も、1週間前ごろからSlack上で共有されます。予習がてら、学習の心づもりをしておけるので非常にありがたい仕組みでした。
いざスタート、最初の驚きは「VLOOKUP」の概念
3月に入り、いよいよ講座がスタート。今日のアジェンダはこちらです。
どれもこれも、私には初めて聞く単語ばかり。難なくついていけたのは「1.数式の基本」の中盤「四則演算の記号」まででした。そこから後は、講義についていくのに精一杯。
1日目に習った中でいちばんの驚きは「VLOOKUP関数」の概念で、データから何かを検索するときに「ctrl+F」以外の選択肢があるなんて思いもしませんでした。しかも、ただ検索するだけでなく数をカウントしたり、数値と掛け合わせて検索したり、さらに別シートの情報を参照したりと、いろいろな応用が可能。関数だからこそできることは数多いのだと、奥深さを知りました。
例えば「$」でセルの行や列を固定する「絶対参照」もまったく新しい発見でした。集計上、特定のセルを固定することは必ず必要になりそうです。読みも書きもほぼ日本語だけで暮らしている私には、初めてキーボードで「$」を打ったかも! という謎の感慨もありました(笑)。
講座終了後は、習った関数を実践。講師から出された「宿題」を、資料を見返しながら実践していきます。せっかく教わった内容も「習って終わり」ではすぐに忘れてしまいそうですが、宿題を通してすぐに実践に移せました。宿題の内容も、いかにも日常業務で発生しそうな計算や集計ばかりでリアリティ満点です。
さらに、ノンプロ研では「15分以上悩んだら迷わず質問」というルールがあるため、不明点はSlackで質問すればすぐに解決します。的外れな調べ物で時間を浪費せずに済みました。成果物を講師やTAが採点、フィードバックまでしてくれるのも、コミュニティならではのメリットです。
2日目「構造化データ」のすばらしさを知る
1日目にかなりの手応えを得た私ですが、講座2日目はさらにハイレベルに。アジェンダはこちらです。
SUMIFS、COUNTIFSなど「条件に合うものだけを集計する」発想、そしてデータを抽出する関数がたくさんあることを知りました。例えば、別のスプレッドシートから値を参照する「IMPORTRANGE関数」、複数セルへ関数を一気に反映する「ARRAYFORMULA関数」、参照範囲の配列を集計する「QUERY関数」など。別のドキュメントと連動できると、主にデータ集計が捗りそうです!
もう1つ大きな学びとなったのが、「構造化データと非構造化データ」という考え方。構造化データを整えているからこそ、「IMPORTRANGE関数」や「QUERY関数」の便利さを享受できるんですね。なお、構造化データを入れるシートと人間が見てわかりやすいビジュアルに整えたシートは、別々に持つのが正解。1つのシートに全てのデータを詰め込むことが正義だと思っていた私には、目から鱗でした。
そして、最後に習った「条件付き書式」は、日本語で表現されているためあまり“関数っぽさ”がなく、初心者も扱いやすいものでした。指定した文字や数値が入ったセルに色をつけたり、太文字にするなどの装飾を入れることができます。スプシで表を作ったり、大量の情報を整理する業務が多い人は、知っておくと便利です。私もさっそく、スケジュールの作成などに使っています!
調べればわかることを、脳に転写する必要はない
講座を通し、大量の情報をシャワーのように浴びた私。大量の情報を消化しきれないまま演習の時間に入り、「この計算をしたいとき、どの関数を使えばいいんだっけ……」「あれも覚えなきゃ、これも覚えなきゃ」と焦っていました。そんなときに講師が一言「関数をすべて暗記する必要はありません。必要なときに、都度調べましょう」。これが目から鱗でした。
スプシ関数の一覧とその書き方、使い方は、調べればすぐ出てきます。公式の「Google スプレッドシートの関数リスト」はもちろん、ネット検索やYouTubeにも情報があります。もしかするとChatGPTも教えてくれるかもしれません。
調べればすぐ答えにたどり着けることを、すべて自分の脳みそに転写する必要はない。なんでもかんでも丸暗記する能力よりも、正しい情報にたどり着く方法を知っておくリテラシーこそが役に立つ。こんな当たり前のことを、初めて肌で感じた瞬間でした。
十数年ぶりに思い出した、「勉強する楽しさ」
もう1つ、受講しながら気づいたのが「新しく何かを知るって、すごく楽しい!」ということ。関数を1つ知るごとに「こういう発想で関数を書くんだ」「この関数は、あの作業に活かせるかも」と想像が広がり、もっと詳しくなりたいという気持ちが生まれ、ワクワクしている自分がいました。講座の同期のように一緒に学ぶ仲間がいると心強いし、楽しさも倍増でした!
思い返せば学生の頃、好きな科目を勉強する時間はドキドキ、ワクワクしていました。社会人になってから、忙しさを言い訳にして、いかに学ぶことから遠ざかっていたか……改めて痛感したのでした。
また受講前は「プログラミング=理系のもの」という思い込みがありましたが、文・理の区別はまったく関係ないとわかりました。理系科目が苦手な私も、スプシ関数の面白さを実感しましたし、むしろ数字に苦手意識のある人こそ、関数をフル活用して集計を自動化するといいのではないかと考えるようになりました。
アウトプットする機会がたっぷり与えられるコミュニティ
試行錯誤しながらなんとか2日目の宿題を乗り越えた私を待っていたのが、「卒業ライトニングトーク大会」(通称、卒業LT)です。これは、講座の受講生が同期や聴衆の前で自分の学びを発表するというもので、ノンプロ研では講座終了後の恒例となっています。決められたのは、1人あたり数分の制限時間のみ。内容は完全に自由演技のため、卒業制作をするもよし、使えるノウハウや感想をまとめるもよし。振り返り力が問われます(笑)。
卒業LTでは、同期のみなさんがスプシ関数をさっそく実務・実生活に生かしていることがわかりました。スプシ関数を使った家計簿をつくったり、業務のツールにスプシ関数を導入して業務効率化したりと、それぞれの目的に向かって動いている姿が印象的でした。明確な目的意識を持って講座に参加することで、最終的な制作物にもつながりやすく、学習の効果が倍増するのではないでしょうか。
卒業LTは受講生にとって、自分の学びをアウトプットするいいチャンス。インプットした内容を、どんな形であれ自分の言葉でアウトプットしてこそ、使えるノウハウとして定着していくのでしょう。私も、今回学んだことを消化し、継続して勉強していきたいと思います!