2023年4月ノンプロ研定例会では、鈴木院長ほか越境学習支援プロジェクトに参加された吉田さん、戸田さんに、1年間の越境学習による病院DXの成果について、またその取り組む際の秘訣、今後の展望についてお話いただきました。
前回は鈴木院長の発表をお伝えしました。
今回はリハビリテーション科吉田さんの発表「越境学習者の第3の壁とブレイクスルー」をお伝えします。
越境学習での学びと部署での業務改善
吉田さんは2023年3月から 越境学習プロジェクトに参加。 GAS初級講座、中級講座を受講し、GASについての基礎知識を学びました。
越境学習後は得た知識を活用し、自部署で手間がかかると感じていた ルーティン業務を抽出しツールを開発して、主にコピペ作業を減らすことで業務の効率化を進められました。
導入当初は 部署のメンバーに戸惑いがあったものの、 1ヶ月程度で本稼働することに成功。ツールを活用して業務効率化を進められていました。
越境学習に参加して順調に成果を出し、学習者が経験すると言われている「越境学習者は二度死ぬ」ことはなかった、と吉田さんは感じられていたそうです。
越境先での学習もクリアし、自部署で学んだスキル・知識の展開もクリア。
順調に進んでいると思っていたところが・・・同様の取り組みを他部署・院内に広げていこうとしたところで、「第3の壁」にぶつかったそうです。
理解を得られないという、第3の壁
「第3の壁」とは、他部署の、特に課長クラスの方々の理解が得られなかった、ということ。
「GASを使って部署内の業務を効率化できたのに、なぜこんな便利なものを受け入れてくれないんだ!」というモヤモヤしたもの感じたそうです。
他部署の方々からの反応は以下のようなものだったそうです。
対立状態は険悪で一触即発状態。
これではDXを進めていけるような状態ではなかったそうです。吉田さんは「院内に広げていこう、と思っていた矢先に壁にぶち当たり、『静かに死んでいた』」と振り返られていました。
ブレークスルー
しかし、吉田さんは「どうにかしないと!」とブレークスルーのために動き出しました。
まず、院内の協力を得るために、現状起こっている問題の焦点化を行いました。
問題を分解していくと、個々の問題に対して解決の糸口が見えてきました。
「DXがわからない」「何かできるのかわからない」「何が変わるのかわからない」という意見に対しては、「みんなで理解していきましょう」と呼びかけ、吉田さんがやろうとしていることの説明機会を作ったり、新しい機能やツールを一緒に使ってみる取り組みを始めたりしました。
説明の機会を作る取り組みでは、「 DX導入研修会」を開催し、今後のDX導入に向けた病院の方針を院長先生から話をしてもらい、DXへの理解を深めてもらうことにしました。
次に、「Google WorkSpaceの機能を一緒に使ってみましょう」という場も設けました。 新しい機能への抵抗が強く、説明だけだとなかなか便利さを分かってもらえないことが多かったので、実際に操作してみる場を設け、使ってもらいながら新しい機能に慣れてもらうようにしました。
すると、以前は「どうすんのこれ?」「DX担当は吉田くんだから、やっといて!」と言われていたことが、一緒にやってみて「できる」ということと、「こんなに便利だ」ということを体感してもらったことで「一旦やってみますか」と着地。
少しずつですが変化が起こり、対立が和らいでいったそうです。
これらの取り組みの結果、少しずつではありますが、「院内でDXへの理解が進んできた」と吉田さんご自身が実感されるまでに至ったそうです。
反省点も
一連の壁にぶつかったことで、吉田さんは「自分視点が強く、相手の理解に対する配慮が欠けが欠けてた」ことが反省点として強く感じられたそうです。
自分と相手が同じ視点ではないことを認識し、相手に理解してもらうためには「価値観のズレを埋めていく対話を繰り返すこと」「課題を一緒に乗り越えていく共通体験を作っていくこと」が大切だと振り返られていました。
現在は院内でDXの役割分担をするようにもなりました。今後は仲間を増やしながらみんなで一丸となって病院DXに取り組んで行きたいという言葉で締めくくられていました。
次回はリハビリテーション科吉田さんの発表の様子をお伝えします。
本定例会はTwitterにも実況ツイートがまとめられていますので、合わせてご覧くださいね。