みなさん、こんにちは! タカハシ(@ntakahashi0505)です。
先日、データサイエンティスト協会九州支部設立5周年記念セミナーに参加してきました。
第1弾のレポートは以下記事にて紹介しています。
基調講演は、なんとも豪華で、データサイエンティスト協会の理事もつとめていらっしゃる安宅和人さんによるものでした。
たくさんの学び、熱量がこもった素晴らしいお話、今日はその一部でもみなさんにお伝えできればと思います。
ということで、今回は「今が歴史的瞬間!安宅和人さんから学ぶ、これからのAIと我々が身につけるべきスキル」と題してレポートをしていきます。
では、行ってみましょう!
安宅和人さんによる基調講演
安宅和人さんは、慶應義塾大学環境情報学部教授、LINEヤフー株式会社 シニアストラテジストを務められています。
ご著書には「イシューからはじめよ」「シン・ニホン」など多くのビジネスパーソンが手に取ったであろう書籍が並び、そして2023年のVoicyフェスでは、Voicy緒方さんとの「思考で未来を変えられるか」では胸を熱くさせられたのが記憶に残ります。
今回の基調講演の冒頭、「何を話そうか」「もう生成AIは聞き飽きた」とスタートされました。本当にたくさんのことを語っていただいたのですが、やはりAIに関する内容が中心的でした。
AIの今とこれから、そして僕らが身につけるべきスキルについてを中心にお伝えしていきます。
我々はAIの歴史的瞬間にいきている
まず、この2023~2024年はAIの歴史的瞬間であるとおっしゃられていました。
というのも、あらゆるベンチマークテストでAIが人間を超えつつあり、その瞬間がまさに来ているのです。
AIの力により新しい物質の発明など、途方もないハイバリューを出せるようになり、ノーベル賞10本分くらいといってもいい発見ができるようになったとのことです。
また、機械が壊れることや、老化によってボケてしまうこと、そういったこれまでは予測が不可能だったことが可能になります。
こういった歴史的な偉業の数々がまさに起きつつあるわけですが、目の前のことばかりに気をとられていると見過ごしたままでいてしまうかも知れません。気をつけねばです。
マルチモーダルが「すべて」に搭載
AIの流れとしては、すでにテキストOnlyの時代は終了して、マルチモーダルに突入しました。
マルチモーダルというのは、AIとのやり取りにおいてテキストだけではなく、音声、画像、動画など、複数のデータ種類を組み合わせることができることです。
そしてそれが、デバイス、OS、ブラウザに載るという流れは決定的となっています。
安宅さんは、これにより、驚くほどの変化が3~5年のうちに起き、10~15年後、世界時価総額のTop10にはAIに関する会社が多く入るだろうとおっしゃられてました。
AIのローカル化
もうひとつの流れとしてAIのローカル化を指摘されていました。
Googleは、Geminiの小さいモデルを開発しましたし、AppleもApple Intelligenceという方向性を打ち出しています。
つまり、なるべくスマホなどの端末の中で処理が完結するAIが出てきます。
この狙いは、クラウドの負担を減らすというのがひとつ、もうひとつはクラウドに出すことがプライバシー的に困難だった個人のパーソナルな情報をAIで扱えるようになることです。
2013年の映画「her」は、男性が人工知能AI「サマンサ」に恋をしてしまうというストーリーですが、安宅さんはマルチモーダルとローカル化によって、実現可能性が出てきた今、もう一度この映画を観るべきとおっしゃられてました。
生成AIサービスはいくつ使うべき?
たくさんの生成AIサービスが登場していますが、安宅さんは生成AIサービスを最低3つは使おうと勧めていらっしゃいます。
ノンプログラマーでいえば、ChatGPT、Geminiを中心に、調査や検索目的ならPerplexity、文献について調べるならNotebook LMなどが個人的にはおすすめです。
優秀な新人の部下を雇うと考えるなら、最低でも時給1000円はかかります。それが、上記を有料版で登録しても、1日数百円程度。
ハルシネーションがあり、間違えることがありますが、それは人間も同じ。どんな指示をしてもへこまない、いつでも対応してくれる。タスクは間違いなく減るので使わない手はないとおっしゃられてました。
ほんとそうと思います。みなさん、使いましょう。
今後はどんなスキルが必要か
AIを扱う基礎スキル
AIを扱うために必要な基礎スキルとして以下のようなものを挙げられてました。
- 欲しいものが何か探し当てる、決める
- 言語化
- ダメ出し
- パースペクティブ(=ものの見方、価値観)の変化
- モデル理解
テクニカルスキルという感じではないですよね…AIをたくさん使うということはもちろん必要なのでしょうが、それ以外にも鍛える方法があれば知りたいところです。
π型スキル
スキルの方向性としては、π型が理想です。
π型というのは、強みとなるスパイク(=尖った専門分野)を2つ(以上)持ち、かつ、それらをつなぐ広い視野を備えているような状態です。
安宅さんは、スパイクをより深くする必要がある、そして「真の教養の時代」と表現され、教養を身につけることがとても重要とおっしゃられてました。
そのために、友達を増やす、読める本も増やすことだとも付け加えられています。
たしかに、あらゆる専門分野で中庸な知識はAIから取り出せるようになります。それとやり取りができ、かつその上で価値を出せる必要があります。
組織はフロントとバックの時代
組織はフロントとバックの時代になるとおっしゃられてました。
フロントはものを売る側、バックはものづくりをする側です。
組織がでかくなると、たとえば1000人を超すと、統計的にフロントでもバックでもない、ミドルで働く人が50%以上になるそうです。
しかし、AIの力でミドルはリーン化する、つまりムダがなくなりスリム化していく、本来なってしかるべきということです。
その際に必要なのは、インターパーソナルスキル(=他者と効果的にコミュニケーションし、関係を築き、協力して仕事を進める能力)と、ものをつくる能力であるとおっしゃられてました。
今、仕事においてどのようなポジションで時間を過ごすか、これもかなり重要になってきそうな気がします。
未来は読めない、作るもの
「シン・ニホン」の6章は「残すに値する未来」という章タイトルですが、そこでは「暗いことを言っている暇があったら、やれることやろうよ」というメッセージが込められているそうです。
「未来は読めない、作るものだ」
という熱いメッセージとともに、だいぶと時間オーバーした基調講演を閉じられました。
たくさんの学びと勇気をいただきました。安宅さんありがとうございました。
まとめ
以上、「今が歴史的瞬間!安宅和人さんから学ぶ、これからのAIと我々が身につけるべきスキル」についてお伝えしました。
引き続き、みなさんがいきいきと学び・働くためのヒントをお届けしていきます。次回をお楽しみに!
この話を耳から聴きたい方はこちらからどうぞ!