書評「定年前と定年後の働き方」その3: ジョブ・クラフティングとは

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書評「定年前と定年後の働き方」その3: ジョブ・クラフティングとは

みなさん、おはようございます!タカハシ(@ntakahashi0505)です。

こちらの記事は、タカハシが音声メディアVoicyの「スキルアップラジオ」にて放送した内容から、ピックアップしてお届けします!

今回のテーマは、書評「定年前と定年後の働き方」その3: ジョブ・クラフティングとはです。

なお、以下で実際にお聴きいただくこともできます!

では、よろしくお願いいたします!

書籍「定年前と定年後の働き方」第三回

今日は引き続き「定年前と定年後の働き方」の書籍について話をします。

コンパクトな書籍ですが皆さんにお話したいことがいっぱい入っていて、今日もその中からひとつトピックを紹介します。

50代を越えたシニア世代の働き

これまでのおさらいですが、50代を越えたシニア世代の働き方について論ずる書籍です。

昨日の放送では、役職定年・定年再雇用などの制度により処遇が下がったからといって必ずしも幸福度や熱意、ワークエンゲージメントが下がるというものでもないということが、調査結果と2つの理論によって説明されています。

SSTとSOC理論

2つの理論とは何かというと、SSTとSOC理論です。

SST理論とは、年齢を重ねると残りの人生が短くなってくるので、残りの人生をより意義のある活動に絞ろうとするようになるという理論です。

SOC理論とは、自らの衰えを自覚して、それに代わる目的を選択したり、新しいことの獲得を最大化したり、衰えによる喪失を最小化したりしようとするという理論です。

いずれも目的の再設定をするという点で共通だという話です。

年齢を重ねる中で、その目的の再設定と働き方の移行がスムーズにできるようにすることで、幸福度や熱意・エンゲージメントを維持向上し得るという話がされています。

目的の再設定の過程と同時にやるといいジョブ・クラフティング

ここからが今日の話ですが、目的の再設定の過程と同時にやるといいことが紹介されています。その名をジョブ・クラフティングといいます。

今日はこのジョブ・クラフティングに関して中心に話をしていきたいと思います。

ジョブ・クラフティングは皆さんも時々目にしているかもしれませんが、僕もときどき目にしていましたがどういった概念なのかはあまり理解できていなかったんです。

今回「定年前と定年後の働き方」の中にしっかり紹介されていたのでラッキーというかんじでした。

2001年にエイミー・レズネフスキーらが提唱

ジョブ・クラフティングは2001年にエイミー・レズネフスキーらが提唱した考え方で、新しい考え方です。

定義としては、「従業員が、自分にとって個人的に意義のあるやり方で、職務設計を再定義し再創造するプロセス」です。

仕事で何をどうやるかというのは本来、職務設計は会社がトップダウンで行うものです。

ただ、その職務設計を個人の意義にしたがってボトムアップでやろうという考え方がジョブ・クラフティングです。

ジョブ・クラフティングの例

東京ディズニーランドのカストーディアル

ひとつのわかりやすい例として、東京ディズニーランドのカストーディアルという職種の皆さんが紹介されています。

パークの清掃人の皆さんです。

ディズニーランドに行かれた方はよく見かけられたかもしれませんが、掃除をされる方がすごく楽しそうに掃除をされていて、ゲストのおもてなし精神を発揮されているわけです。

ときに落ち葉やぬらした箒で地面にミッキーの顔を描くという才能を発揮されていて、ずっとその作業に魅入ってしまいます。

このアート作品をカストーディアルアートといいます。

パークの楽しさの大事な要素になっていると感じます。

もともとは人気がないものだったが今では人気職種になった

実はこのカストーディアルという職種はもともとは人気がないものだったそうです。

なにせパークを掃除するだけという、非常に地味な作業というのが容易に想像できるわけでして、他の職種に比べたらどうやっても面白みに欠けると感じてしまいます。

そこでディズニーランドの運営の皆さんは、仕事は清掃だけとは限らないよ、その仕事の解釈を広く自由に捉えてほしいというメッセージを送りました。

そうするとそれが功を奏して自発的に業務の工夫をするようになった結果が、カストーディアルアートにつながるわけです。

他にもゲストの道案内や、写真を撮るなどのサービスなど非常にホスピタリティあふれる仕事をされていて、ゲストもそのおかげですごく満足してディズニーランドを楽しめるわけです。

そして今となってはカストーディアルは人気職種のひとつになりました。

ボトムアップで仕事の捉え方とかやり方を変えていくことができた

もともとはトップダウンでパークの掃除をするんだと伝えられていて、その枠内で捉えられていたわけです。

そうすると、仕事の満足度とかやる気もそこまで上がらない状態だったわけです。その枠組みを広げて自由に発想していいよということで、自分で意義を見つけて仕事のやり方も変えていいよというメッセージをディズニーランド側から発することによって皆さん自身がボトムアップで仕事の捉え方とかやり方を変えていくことができたということです。

そしてそれが仕事への満足度アップとかモチベーションにもつながっていくという話です。

SST・SOC理論とジョブ・クラフティングを組み合わせるといい

このようなジョブ・クラフティングですけれど、本書ではSST・SOC理論とジョブ・クラフティングを組み合わせるといいよという話をしています。

つまり、目的の再設定がSST・SOC理論で行われるといわれています。

その再設定された目的に基づいて、今の仕事を捉えなおして、やり方も変えていくわけです。そして新たに再設定した仕事の職務設計について周囲にも十分にその理解を得る活動をしていこうということです。

これによって、カストーディアルのみなさんと同様に、働くことに意義を見出すことができて、幸福度と熱意を持てるようになるという話です。

全てのビジネスパーソンにとって実現できたらいい

このジョブ・クラフティングはシニアに限らず全てのビジネスパーソンにとって実現できたらいいよねという話になるわけです。

たとえばエクセルのつまらないコピペ作業を毎日やっているとします。それには意義が感じられないんです。

ただ、それについて、たとえばプログラミングを学ぶことでそれを自動化することができます。それによって時間を生み出すことができるし、密度を減らすことができます。

エクセルファイルを作るという最終的なアウトプットは一緒なんですが、その捉え方とかやり方を変えることで仕事の意義とか満足度、意欲が変わってくるということです。

有名な3人のレンガ職人と3人の石工の話

そんなジョブ・クラフティングですが、この書籍では、有名な3人のレンガ職人と3人の石工の話をもとに面白い話がされていたので紹介します。

3人のレンガ職人の話

まずレンガ職人の話ですが、旅人が三人のレンガ職人に会って、何をしているか尋ねます。

最初の一人は目の前のレンガを積んでいる、与えられた仕事をしているだけといいます。

二人目は家族を養うためにレンガを積んでいる、つまり収入のためにやっているといいます。

そして三人目は大聖堂をつくるためにレンガを積んでいるといいます。

一人目と二人目はしぶしぶ仕事をしているんですが、三人目は同じ仕事だけれども歴史に残る大聖堂をつくるという意義を感じているよという話で、三人目のように働けという寓話です。

3人の石工の話

3人の石工の話についてはピーター・ドラッカーが紹介しているんですが、

同じように三人の石工に何のために仕事をしているか尋ねます。

一人目は暮らしのため、つまり収入のためと答えます。レンガ職人の二人目と同じです。

二人目の石工は石切としての最高の仕事のため、と答えます。これと同じ回答をしたレンガ職人はいなかったわけなんです。

三人目は教会を建てるためという回答なので、三番目の石工は三人目のレンガ職人と一緒で、みんなが集まり礼拝する教会をつくる、全体性のある目的、意義を感じているということなんです。

三番目だけがいいのかもうちょっと考えようよという話

この石工の話も三番目の石工がいいよねという話なんですが、「定年前と定年後の働き方」の書籍の中では、もうちょっと考えようよという話の展開です。

もちろん三番目の石工が全体的な目的・意義のために働くということがすごくいいことだと認めつつ、一番目の石工が回答した、収入のためとか、二番目の石工が回答した、最高の仕事のため、幸せに働くためにはこれらの目的も合わせて持っていていいんじゃないかという話です。

当然生きていくためには収入が必要ですし、自己の成長と専門性の追求も仕事には良い影響を与えることもたくさんあるわけです。

ということで収入を確保するということはもちろんなんですが、ジョブ・クラフティングの際には全体性のある意義や目的に加えて自分の成長とか可能性を追求するということを組み合わせていくといいということをこの書籍ではアドバイスしています。

レンガ職人の話と石工の話はよく聞く話なんですが、これらの寓話と関連付けてジョブ・クラフティングという考え方を覚えていただくといいと思います。

まとめ

ということで、今日はVoicy「スキルアップラジオ」の放送から「書評「定年前と定年後の働き方」その3: ジョブ・クラフティングとは」をお届けしました。

今日はジョブ・クラフティングという考え方を中心にお話したんですが、シニアに限らずビジネスパーソンが幸せに熱意を持って働くヒントがすごく込められていたんじゃないかなと思います。

そしてこちらの書籍のどこをとっても皆さんにお伝えしたい内容ばかりなので困っているんですけれど、あと一回お伝えしたいことがあるのでぜひ次回をお楽しみに。

タカハシのVoicyの放送はこちらからお聴きいただけます。

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では、また。

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