みなさん、おはようございます!タカハシ(@ntakahashi0505)です。
こちらの記事は、タカハシが音声メディアVoicyの「スキルアップラジオ」にて放送した内容から、ピックアップしてお届けします!
今回のテーマは、オフィス出社かテレワークか、企業が取った選択とはです。
なお、以下で実際にお聴きいただくこともできます!
では、よろしくお願いいたします!
オフィス出社かテレワークか一定の答えが出る
5月8日から、新型コロナウイルスの感染法上の分類が「5類」になるということで、企業にとってはオフィス出社か、テレワークか、どちらをメインにするということに、おそらくこの時点での状況で、一定の答えが出るのではないかと思っています。
現時点で出社率は7割
4/23の日経の記事で以下のようなものがありました。
オフィス回帰、出社率7割に 企業は対面重視へ投資
「新型コロナウイルス禍からの経済活動の正常化で、従業員がオフィス出社に回帰してきた。東京都心部のオフィス出社率は7割を超える。」
タイトルのこの一文を見る限りでいうと、今回のタイミングで7割に戻ったような雰囲気がありますが、実はそんなことはなかったんです。
というのも、この日経の記事の中で、オフィス出社率指数の推移が紹介されているんですが、これでいうと次のような推移になっているんです。
2020年4月、緊急事態宣言の直後は出社率が4割だったんです。つまり6割の人がテレワークをしていたわけです。緊急事態宣言が明けてから後、5~6割で推移して、2022年から6~7割で推移、現在7割になっているというわけです。
なので5類に戻るとか、そういうことよりも、徐々にオフィスに戻ってきていて、3割がテレワークのままというのが現状です。
記事では具体的な社名を出して、レゾナック・ホールディングス、GMOインターネットグループは出社に戻す一方で、三菱ケミカルグループやNTTグループはテレワークを推進する方針のままとのことを伝えています。
大企業では企業によって、方針が真っ二つに分かれている状況です。
海外でもエリアによって差が出ている
海外にも目を向けると、これもエリアによってけっこう差がでているようなんです。
オフィス入居率の比較の調査でいうと、アメリカでいうと約45%でテレワークのままでいたい従業員が多く、一方で欧州や中東は約70%、アジア太平洋ではオフィス回帰傾向が強く、85%に上ります。
アメリカでいうとこのようにテレワークの意向がかなり強いんですが、BigTech各社は概ねオフィス出社を強く推奨しています。
GoogleやMetaは在宅勤務者の給与削減をすると発表していたりします。
元Google、Yahoo!のCEOも務めたこともあるマリッサ・メイヤー氏が「人は1人でいる方が生産性は上がるが、集団になった方がイノベーティブになる」と発言しているように、BigTechは総じてイノベーションを引き出すにはオフィスに集まるほうが望ましいと考えているわけです。
生産性の観点ではオフィスワークとテレワークどちらがいいか
一方で生産性の観点でいうと、オフィスワークとテレワークどちらがいいかという話です。
別の記事で次のようなものがありました。
コロナ5類化、いま求められる「シン・万能型オフィス」とは(ITmediaビジネス)
この記事では月刊総務での調査が取り上げられていました。調査対象は総務担当です。
総務担当の皆さんに「オフィスとテレワークのどちらが生産性が高く働けると思いますか。」と質問したわけです。
- オフィス: 74.6%
- テレワーク: 25.4%
ということで、オフィスのほうが圧倒的に生産性が高いと考えている総務担当が多いという結果です。
僕自身は意外だと思ったんです。テレワークのほうが満員電車に乗らなくていいし、電話もじゃんじゃんかかってこないし、テレワークのほうが生産性上がるじゃんと思っていたので、それとは逆で意外な結果でした。
生産性という観点ではオフィス勤務のほうが有利
日経の記事でも、次のように書かれていました。
パーソル総合研究所の調査によると、出社時の生産性を100とした場合、テレワーク時の生産性は89.6%にとどまった。
とのことです。つまり生産性が1割下がるということです。なので、生産性という観点でいうとオフィス勤務のほうが有利ということです。
これはなぜかというとITmediaビジネスには次のように書かれていたんです。
家はそもそも不完全な職場である、働くために最適化されていない
なるほど、僕の場合は独立したときから家で仕事をする前提でしたので、仕事専用部屋もあって、ひかり回線も敷いてあって、モニターも3発追加してあるので、快適に仕事ができるんです。
しかし、一般的にはコロナ禍であわててテレワーク化をしたので、十分な設備が整っていないことが少なくないわけです。
先程の、アジアでオフィス回帰傾向が強いというところでは、狭い住宅事情によるのではないかとの解説も書いていました。これも整合性が取れていると思います。
通勤時間を加味していないので注意が必要
しかし、この生産性の計算として、オフィス出社で増加した通勤時間は加味されていないと思われるので注意が必要かなと思います。
8時間勤務の会社で言えば、通勤1時間必要なだけで1日10時間必要になります。働くために必要な時間が25%増えるという現象が起きているのは忘れてはいけないと思います。
BigTechと日本の企業の多くは前提が違う
別の観点でもう一つ議論したい点があります。
ITmediaビジネスの記事では「在宅ではコミュニケーションが取りにくく、集団で成果を上げる点において課題があるからではなかろうか。」とありました。
これはそのまま鵜呑みにしてはいけないと思いました。
確かに、BigTech各社はオフィス出社によってイノベーションを生み出そう、だからオフィスに戻って来てねと言っていますが、それと日本企業の多くはだいぶ事情が違うと思います。
そもそも前提も違うし、目指しているレベルが違うと僕は思います。
BigTechはそもそも環境が整っている
もっと具体的に言うと、 BigTech各社はそもそもリモートで働ける環境は十分に用意された上で、それでも会ったほうがいいと言っているんです。
みんなテック企業ですから、クラウドを使うのは大得意で、従業員もそれらを十分使いこなせる人しか雇っていないわけです。そもそもGoogleなんてGoogle Workspaceを作っている会社なので使いこなせないわけがありません。
リモートでも十分な仕事ができてコミュニケーションがとれるのが前提で、さらにイノベーションを起こすためには対面のほうが有効だと彼らは言っています。
日本企業の多くはリモート勤務のスキルやリテラシーが醸成されてない
一方で日本企業の多くは、おそらくろくにGoogle Workspaceや、Microsoft 365といったリモートで仕事を推進するとかコミュニケーションをとる環境が用意されていませんし、マネージャーや従業員がそれらを使いこなすためのスキルとかリテラシーが醸成されていないように見えます。
結果どうなるかというと、テレワークでメールとZoomでなんとかやり取りしていて仕事をして、当然オフィスにいるときよりも生産性が下がるわけです。また、オフィスに来る電話や郵便やFAXはそのままなので、当番が出社してなんとかするみたいなことをしているわけです。
緊急事態宣言のときに本気で完全リモートを成し遂げるほど、頑張ってデジタル化を成し遂げていたのであれば、生産性はかなり上げられたのではないかと思います。
数年のコロナ禍を終えて、紙仕事がまだ大量に残っているなど、レガシーな仕事のしかたがそのまま残っている企業は、コロナレベルの厄災でも変えたくない力が強いということなので、そういうつもりで長く働く覚悟をせざるを得ないと思います。
生産性の問題は自宅に働く環境を構築できるかという話
僕自身は、生産性の問題は、自宅に働く環境を十分に構築できるかという話だと思っています。
集中できて、十分な環境があって、しっかりマネジメントがされていれば、どちらでもいいのかなと思います。
かつ、通勤時間の問題とか、育児の問題などを考えると、テレワークである程度の仕事ができる環境というのが望ましいし、企業としてはそういうところに強いニーズを持つ人材や、地方人材などをフラットに募集できるほうが人材獲得としては有利です。
実際、リモートワークができるというのを絶対条件にして求職している人は多いので、そこを取りこぼしているという点でオフィス勤務は不利なのかなと思います。
いざとなったらワーケーション合宿という手も
対面のほうがイノベーションが起きやすいというところは、現時点でいうと、働きやすさや採用のしやすさとトレードオフというところですが、テクノロジーの力で近いところまでいけるかも知れないし、いざとなったらワーケーションなどで合宿してみんなで集まるみたいな手もあります。
それよりも、日本企業の多くでいうと人材不足のほうが喫緊の課題になるんじゃないかなと思うのでテレワークという選択肢は早々に潰さないほうがいいのではないかと思います。
まとめ
ということで、今日はVoicy「スキルアップラジオ」の放送から「オフィス出社かテレワークか、企業が取った選択とは」をお届けしました。
こうしてコロナ禍を振り返ってみると、企業の「変わらないぞ」という意志の強さがすごく感じられるんですね。
もちろん出社しないと出来ない仕事が当然たくさんありますし、オフィス出社のほうが良いことがもたくさんあるので、それを否定するつもりはないんですけど、それ以外に「変わりたくない、変えられない」という力の強さがあって、なかなか変えていくのも大変だなと思ったりします。
ただ逆の視点で言うと、3割の皆さんはテレワークができるようになっているということなので、それは事実としてあるなと思います。
「変化しよう」と思っている皆さんもたくさんいると思いますので、そこをしっかり後押しさせていただきたいと思います。
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では、また。