リスキリングの主体は企業から個人へ、政府の打ち出した施策は?

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リスキリングの主体は企業から個人へ、政府の打ち出した施策は?

みなさん、おはようございます!タカハシ(@ntakahashi0505)です。

こちらの記事は、タカハシが音声メディアVoicyの「スキルアップラジオ」にて放送した内容から、ピックアップしてお届けします!

今回のテーマは、リスキリングの主体は企業から個人へ、政府の打ち出した施策は?です。

なお、以下で実際にお聴きいただくこともできます!

では、よろしくお願いいたします!

「自ら学び直し」が出世・昇給に必須の時代が来る

ハッシュタグ企画 #気になるニュース ということで、こんな記事を紹介します。

東洋経済の「自ら学び直し」が出世・昇給に必須の時代が来る 骨太の方針に盛り込まれた学び直し政策の中身という記事です。

6月16日、いわゆる「骨太の方針」と呼ばれる「経済財政運営と改革の基本方針2023」が取りまとめられました。

その中で岸田首相は

希望する個人が、自ら働き方を選択でき、昇給、転職を通じて、主体的な学びが報われる社会を作っていく

と発言されています。

記事では発言の中の「個人が」という部分に注目しているんです。

政府の施策が個人主体に

そもそもこのリスキリングという言葉なんですが、以前は企業が新しい職場に従業員を配置転換させたりする際に、従業員に必要なスキルを習得させて、成長分野に人材を投入しやすくするというニュアンスで使われることが多かったんです。

僕自身は、企業も個人もみんなリスキリングをがんばらないといけないというスタンスだったんですが、これまで多くのメディアや有識者の発言では、企業を主体にやっていきましょうというメッセージが強かったんです。

ただ、今回の方針から「個人が」という言葉がフォーカスされるようになっています。

これまでは、国の支援策としても企業経由が中心になっていたわけなんですが、「5年以内をメドに過半が個人経由での給付にすることを目指している」とも報じられています。

なぜ企業主体から個人主体に移ってきたのか疑問がありますよね?

もともと国としては労働移動を後押ししたいということがありました。それによって斜陽産業から成長産業へ人が移動する。

それで経済が盛り上がり、活況な市場に人材が移動することで賃上げも発生しやすくなるんじゃないかというねらいがあったんです。

企業主体で発生する問題点

これを企業主導で実現できないのかというと、まあできないことはないという話しだとは思います。

うまく人材育成ができて、その企業の業績が上がり、賃金が上がればそれはそれで政府が目指したいことは達成できるわけです。

ただ、この動きは今のところ一部の大企業が中心になっていて、多くの企業で行われているかというとちょっと微妙なところがあります。

実際、調査によれば中小企業の経営者の9割はリスキリングをうまく説明できないし、6割は知らないとも言われています。

さらに、実際のリスキリング施策というのは、施策をしてからその成果が得られるまでに結構リードタイムが発生してしまうんです。そもそも仕事の内容が変わるほどのリスキリングであれば、どうやっても半年とか1年とかの期間がかかってしまいます。

これまでの企業主導の支援策では時間もかかるし、実施している企業も限定的という問題があるんじゃないかと僕はみています。

そこで個人に向けてもちゃんと支援をしていかないといけないなということなのかなと思っています。

リスキリングを成功させるポイント

東洋経済の記事の中に、リクルートワークス研究所の大嶋寧子主任研究員のコメントがありまして、どうやったら個人主体のリスキリングがうまくいくのかということを説明されていました。ポイントが3つ紹介されています。

  • 一人で学ばないこと
  • チャンスがあれば手を挙げてみる
  • 困りごと起点で学ぶ

これはほんとに素晴らしいアドバイスだなあと思っています。

というのも、以前このスキルアップラジオでも紹介しました、パーソル研究所の小林さんによる「リスキリングは経営課題」という書籍の中でも語られている、リスキリングに効果的な学びの行動とかなり合致しているんです。

どういった行動がいいのかというと

  • アンラーニング(そのためには、ストレッチ経験がよいのでチャンスがあれば手を挙げてみる)
  • ソーシャルラーニング(人を巻き込んで学ぶこと。一人で学ばずに仲間と一緒に学ぼう)
  • ラーニングブリッジング(学びをつなげること、たとえば実務につなげること。つまり困りごと起点で学んで、それを解決するようなスキルを身に付けることができれば実務につながるので、これおを達成することができる)

社会人の「学び直しから転職まで」を政府が一体支援

実際に政府として個人のリスキリングをどうやって支援していくかという話しなんですが、これについては読売新聞の別の記事で具体的な制度が紹介されていましたのでこちらを見ていきたいと思います。

社会人の「学び直しから転職まで」を政府が一体支援、平均24万円助成へ、という記事になります。

事業の担い手としては、人材会社のパーソルテンプスタッフやアデコなど50社超が選ばれているということです。

希望者はキャリア相談や、転職に必要なスキルや職探しの支援をこれらの人材会社から受けることができるということです。

プログラミングやビジネススキルなど専門スキルが身につけられる民間の講座を最大で1年間受けることができ、1人あたり平均24万円を助成します。

この施策を持って、今後3年間で計約33万人の転職を後押ししたい、といった内容になっています。スキルの支援をすることで労働移動を後押ししたいという強いメッセージが感じられる施策になっています。

政府施策の問題点

ただこれに関しては先ほど挙げた、アンラーニング、ソーシャルラーニング、ラーニングブリッジングの要素に関して言うと、ほぼ見受けられないなという感じがします。

キャリア相談の内容にもよるんですが、既存の講座があって、それをインプットするのみに税金が使われるだけとすると、リスキリングの活動としてはかなり微妙なものになってしまうんじゃないかなと懸念しています。

NewsPicksのスタートアップ経営者のコメントが結構あげられていたんですが、この施策には否定的な意見が多かったですね。

というのも、講座を受けただけでは戦力になる人材は育てられないという風に見ていますので、この制度を経由して来た人材は雇えないだろうと回答されていました。

つまりこの制度からすると、人材会社としては、転職先で十分に活躍できるようなスキル習得の支援、ここがちゃんとできるの?というのがポイントになってきます。

ただ普通に考えると、講座の提供をすれば求職者は割安の講座が受けられるので喜んで受けますよね。

人材会社の本当の商売で言うと、転職をさせた時点で紹介料が発生する、こういったビジネスモデルになりますので、スキルの習得云々抜きにして、とにかく転職させたいというところの力学が働いてしまうんじゃないかというのが気になるところではあります。

特にプログラミングのスキルで言うと、あまり大したスキルは持っていなくても喜んで雇いたいという会社が一部いるように思いますので、そこはちょっと心配だなと思います。

これに関しては本題とははずれてしまうので、また機会があればお話したいと思います。

個人主体はよい流れ

個人にリスキリングの主体が移ってきているので、僕としてはいい流れだなあと思っています。ただ、この制度に関しては正直どうかなと思いますね。

というか、学ぶのなんて、そんなにお金をかけずに自分でできるんで、さっさと自分ではじめたほうがいいかなというのが僕の意見です。

まずは、実務の中で小さな課題でいいので見つけてきて、それを解決するスキルは何かなというところからスタートするわけです。小さな成功体験を重ねながらスキルを磨いていくのがいいんじゃないかなと思っています。

他者と一緒に学ぶという環境は必要だと思いますので、仲間を見つけましょうというのは確かにありますね。その場合は社内や社外で仲間をつくっていくのがいいんじゃないかなと思います。

今日はリスキリングに関する2つの記事を紹介させていただきました。

まとめ

ということで、今日はVoicy「スキルアップラジオ」の放送から「リスキリングの主体は企業から個人へ、政府の打ち出した施策は?」をお届けしました。

個人主体でリスキリングしていこうというメッセージを発信するのはすごくいいことだなとは思うんですが、一方で、制度設計は結構難しいですよね。

今回紹介したアンラーニング、ソーシャルランニング、そしてランニングブリッジングがうまく組み込まれたアイデアがあればすごくいいなって思います。ただ、既存の延長線上の発想だとなかなか出てこないんじゃないでしょうか。

僕も個人的に考えてみようかなと思いますので、皆さんもどんな制度があるといいか考えてみていただくといいんじゃないかなって思います。

タカハシのVoicyの放送はこちらからお聴きいただけます。

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では、また。

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