書評「定年前と定年後の働き方」その1 エイジズムの罠

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書評「定年前と定年後の働き方」その1 エイジズムの罠

みなさん、おはようございます!タカハシ(@ntakahashi0505)です。

こちらの記事は、タカハシが音声メディアVoicyの「スキルアップラジオ」にて放送した内容から、ピックアップしてお届けします!

今回のテーマは、書評「定年前と定年後の働き方」その1 エイジズムの罠です。

なお、以下で実際にお聴きいただくこともできます!

では、よろしくお願いいたします!

書籍「定年前と定年後の働き方」

書籍「定年前と定年後の働き方~サードエイジを生きる思考」こちらの方を紹介していきたいと思います。著者は、先日ゲストで対談頂いた法政大学大学院教授石山恒貴さんになります。

僕自身とか、あとノンプロ研的には越境学習の第一人者として、大変お世話になっているんです。以前、セミナーもご一緒させていただきました。

越境学習に関しても情報が少ないんですが、石山さんが出されている「越境学習入門」こちらも超おすすめですので、ぜひ興味ある方は手に取っていただきたいなと思っています。

石山さんなんですが、NEC、GEなどを経て現職に就かれていまして、越境学習をはじめコミュニテイ、キャリア、人的資源管理などを研究されています。

書籍内容・構成

今回紹介する書籍は、光文社新書から出されていまして、248ページと、コンパクトに持ち運べるような感じではあるんですけども、内容に関しては、想像以上にごつく感じるんじゃないかなと思っています。

本書では、50代以上の個人をシニアと呼び、60ないし65歳までの定年前、そしてそれ以降の定年後。それぞれの働き方について、研究理論と実例をたっぷり使いながら、個人と組織の働き方を捉え直していく。そういった対応になっています。

構成としては、全8章となってます。

  • 【第1章】シニアへの見方を変える ── エイジズムの罠
  • 【第2章】幸福感のU字型カーブとエイジング・パラドックス
  • 【第3章】エイジング・パラドックスの理論をヒントに働き方思考法を考える
  • 【第4章】主体的な職務開発のための考え方── ジョブ・クラフティング
  • 【第5章】組織側のシニアへの取り組み
  • 【第6章】シニア労働者の働き方の選択肢
  • 【第7章】シニアへの越境学習のススメ
  • 【第8章】サードエイジを幸福に生きる

こういった構成になっています。

冒頭の「はじめに」がインパクト大

こちらの書籍、まず「はじめに」が5ページしかないんですけども、そこだけでかなり持ってかれると思います。

書店で見かけたら、ぜひ、パラパラとめくって見ていただければと思うんですが、一言で言うと、我々が不幸な思い込みをしてしまっているということを指摘されているんです。

まず、前提情報として、2011年の時点で、総務省の労働力の調査によると、55歳以上の労働者の比率がなんと31パーセントもいらっしゃるそうなんです。

今後ますます増えていくというのが予想されています。なので、シニアの活躍は、もうすでに日本をかなり支えていて、そして、これからもっとその活躍が求められていきます。

一方でメディアをよく見ると、シニアの働き方について、悲観的なニュースがたくさん見られるわけなんです。

たとえば、年齢を重ねると学び直しができないとか、働かないおじさん問題とかです。こういったシニアの能力には限界があって、仕事を働くという観点でいうと荷物になっていく。

そのような表現をよくしてしまっているわけなんです。

たしかに身体の衰えは、間違いなくあるわけで、20代・30代のようなガムシャラに学んで働くのは、体力的にできなくなっていくのは、事実としてあるかなと思います。

しかし、本書では、実際にはそうとも限らないということを真っ向から指摘をしています。

U字カーブとエイジング・パラドックス

ヒントは、U字カーブと、エイジング・パラドックスというものが握っているそうなんです。

U字カーブとは

まず、このU字カーブというのは何かと言いますと、年齢と幸福度の関係を表したグラフになります。

20代30代の頃は幸福度が高く、徐々に年齢を重ねるに従って落ちていくんです。そして、40代後半で底を打ちます。しかし、その後、反転して年齢が上がるにつれて幸福度も上昇していくことになるわけなんです。

そして、ちょうどグラフを見るとUの字のような形になるということです。

エイジング・パラドックスとは

つまり、本来であれば身体的に衰えていきますし、死に近づいていくので、幸福度はそのまま下がっていくんじゃないかと思ってしまうんですが、事実としては幸福度がある時から上がっていくわけなんです。

この謎のことをエイジング・パラドックスと言いまして、シニアが幸せに働く鍵となるんじゃないかということなんです。

まずここから言えることは、メディアでよく見かけるほど、そして僕らシニア以前の世代が思うほど、シニアは悲観的ではないという話なんです。

メディアとしては、そういうシニアを揶揄する記事をバンバン出した方が、もしかするとページビューを稼げるのかもしれません。

そして、読者の方もそれに反応してしまいます。シニアの働きがいけてないという情報を見て、自分たちの方がいけていると優越感に浸ることができる。

だからこそ、そういった記事を支持してしまうのはあるのかなと思うんです。

エイジズムへの警鐘

この年齢と能力を関連付けるような年齢差別のことをエイジズムというわけなんですが、本書ではこのような言説を支持することに警鐘を鳴らしています。

なぜかと言いますと、シニアの姿というのは、僕らシニア以前の世代にとっては将来の姿になるわけなんです。

つまり、若い世代のうちに年齢を重ねていくに従って仕事の能力も下がっていき、幸福度も下がっていく。

このようなことを信じていると、自分がその立場になった時に、それが自己成就してしまうわけなんです。それによって、自らを苦しめることになります。

なので、そういったエイジズムを持っているっていうことは、将来の自分に呪いをかけてしまう。そういったものと同じようなものなんです。

これは大変怖いことだなと思います。

U字カーブが示す通り、身体的能力は衰えていくかもしれません。しかし、実際には不幸になっていくとは限らない。むしろ、思ったより幸福になる可能性が高いということなんです。

なので、このエイジズムを持っていること自体は事実でもないですし、未来の自分も含めて、誰もハッピーにならないので、やめておこうという話になります。

シニアの働き方に影響を与える仕組み

とはいえ、これまでの社会とか組織の仕組み、これはシニアの働き方に影響を与える、そういったものも依然残っています。

たとえば、大きなもので言うと定年があります。多くの場合、会社に所属していたとしても、あの60歳か65歳で定年を迎えると、その後は退職をする。

もしくは定年再雇用という制度もあるわけなんですけども、いずれにしても、その後の働き方には、大きなインパクトがあるわけなんです。

あとは、大企業などで言うと、役職定年という制度もあります。

元々管理職でバリバリやっていても、ある一定の年齢が来たことを理由に、その管理職の任から外れないといけない。そういった制度も根強く残ってる会社もあるわけです。

なので、そういったタイミングで、本来発揮できる力を発揮できなくなってしまったり、もしくは仕事満足度が著しく落ちてしまったり、そういった悪い影響を受ける可能性があるわけなんです。

そこを、個人としても組織としても、もちろんお互い避けた方がいいということがありますので、うまく乗り越えるための働き方の思考、これを本書が教えてくれるということなんです。

ぜひ、リスナーの皆さんも手に取って読んでいただきたいんですが、いくつかのトピックについて、このスキルアップラジオでもお伝えできればと思いますので、明日以降、楽しみにお待ちいただければと思います。

まとめ

ということで、今日はVoicy「スキルアップラジオ」の放送から「書評「定年前と定年後の働き方」その1 エイジズムの罠」をお届けしました。

タカハシのVoicyの放送はこちらからお聴きいただけます。

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では、また。

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