みなさん、おはようございます!タカハシ(@ntakahashi0505)です。
こちらの記事は、タカハシが音声メディアVoicyの「スキルアップラジオ」にて放送した内容から、ピックアップしてお届けします!
今回のテーマは、 書評「定年前と定年後の働き方」その2: シニアの幸福度と仕事への熱意です。
なお、以下で実際にお聴きいただくこともできます!
では、よろしくお願いいたします!
定年前と定年後の働き方~前回の続き
前回に引き続き石山恒貴さんが書かれた書籍「定年前と定年後の働き方」からお話ししていきたいと思います。
#457 書評「定年前と定年後の働き方」その1: エイジズムの罠の放送では、シニアの働き方について我々がちょっとした勘違いをしているんじゃないかという話しをさせていただきました。
今日はそこから発展して、シニアのみなさんが幸せに働きつづけるためにヒントとなる2つの理論について紹介したいと思います。
定年前と定年後の働き方~2つのキーワード
定年前と定年後の働き方について話をしていきます。
昨日は、はじめに、から1~2章あたりのトピックについてお話ししました。ちょっとおさらいします。
50代を過ぎたシニア世代について仕事と言う観点で言うと、能力がどんどん下がっていってしまうとか、働くことへの意欲や幸福感も下がっていくのではないか、そんな黄昏的な悲観的なイメージがあったりするわけです。
実際にはそうとも限らないということを本書では指摘しています。
そのヒントは、U字カーブとエイジング・パラドックス、この2つのキーワードが握っています。
U字カーブとエイジング・パラドックス
U字カーブというのは年齢と幸福度の関係を表したグラフで、年齢とともに幸福度は下がっていくんですが、40代後半からまた上昇するU字カーブを描くよという話しだったんです。
そしてなぜ、幸福度が途中から上がっていくのか、この謎がエイジング・パラドックスということです。
本書の中では、これに関連して面白い調査をしていますので、ここから話を再開していきたいと思います。
幸福度・仕事への熱意=ワーク・エンゲージメントの調査
どんな調査かと言うと、役職定年と定年再雇用、この2つのタイミングで幸福度や仕事への熱意は下がるのかどうかを調べたものになります。
役職定年と定年再雇用
役職定年とは何かというと、一定の年齢で管理職というラインから外れるしくみのことです。
中小企業ではシニアになっても活躍してほしいということから導入率はそれほど高くないと言われていますが、大手企業で言うとなんと48.3%も役職定年を導入しているそうなんです。
ばりばりやってきて役職街道を上がってきた人も、このタイミングで年齢によってそこからはずれなければいけないということですね。
そしてもう1つが定年再雇用です。こちらに関してはみなさん60歳、65歳で定年を迎えることが多いわけなんですが、希望があれば同じ会社に再雇用してもらえる制度になります。
この役職定年と定年再雇用、いずれにしてもこのタイミングで仕事の役割は変わりますし処遇は低下するわけなんです。
一見して、シニアにとっては望ましくない制度に見えます。
役職定年と定年再雇用で仕事の幸福度はどうなる?
ここで先ほどの調査結果に戻っていきます。
まずシニアを4グループに分けるんですね。1つは定年再雇用者になります。こちらは定年後の方なので60歳もしくは65歳以降で再雇用された方になります。
2つ目のグループは役職定年者になります。おそらく多くは50代になるかなと思うんですが、役職定年という制度によって、以降は管理職になることはないという方です。
3つ目のグループはそのいずれでもない管理職の方です。会社によっては役職定年という制度がない場合もありますので、そのまま管理職として働いてらっしゃるシニアの世代の方になります。
そして4つ目のグループが、いずれでもない非管理職の方ですね。3つ目のグループと同じように役職定年がないといった会社もありますので、その中で非管理職であるシニア世代の方になります。
この4つのグループで幸福度と熱意=ワーク・エンゲージメントを測定したら面白い結果がでたそうです。
まず幸福度なんですが、定年再雇用者・役職定年者・いずれでもない管理職、この3つのグループに関して幸福度に差はなかったという結果だったんです。
唯一、いずれでもない非管理職の4つ目のグループだけが得点が低い状況だったわけなんです。
幸福度もワーク・エンゲージメントも下がらない
一見すると定年再雇用者とか役職定年者のグループは処遇が低下するわけなので、幸福度が低くなるだろうと想定されたんですが、むしろそのどちらでもない非管理職と比べると、これらの2つのグループの方が幸福度が高かったそうなんです。
そしてもうひとつ熱意、ワーク・エンゲージメントの調査でも、幸福度と同様の結果がでているそうです。
定年再雇用者、役職定年者はいずれでもない管理職と同等の得点、つまり熱意をもって仕事に取り組んでいた、むしろ処遇の変化が無かったいずれでもない非管理職と比べても、定年再雇用者、役職定年者のワーク・エンゲージメントの方が高かったという結果だったそうです。
ただ、当然、定年再雇用者、役職定年者の内、幸福度や意欲が低下した人もいます。
彼らからすると、メインストリームから外されたとか、やる気が出ないとか、会社への不信感が残ったとか、力を持て余してしまうなどのコメントをされていました。
他方で、幸福度もワーク・エンゲージメントも高いままキープできた人たちもいて、彼らは自分のキャリアと向き合う機会になった、プレッシャーがなくなり気持ちがラクになった、今まで取り組めなかったことをやる気になったなど、ポジティブな受け止め方をした人も見て取れるわけなんです。
もちろんこの2つの内、後者のようなポジティブな受け止め方ができたほうが望ましいわけですね。
ヒントとなる2つの理論
そこで本書ではそのヒントとなる理論を2つ紹介しています。
ひとつはSSTという理論、もうひとつはSOC理論というものになります。横文字だらけでややこしいですが説明していきますね。
SST:社会情動的選択性理論
SSTなんですが、日本語で言うと社会情動的選択性理論というものになります。
シニアの時間展望、つまり残された時間と言うのは若い時よりは短いわけです。したがってシニアになればなるほど、残りの人生をより意義のある活動だけに絞ろうとする傾向があるというものです。
SOC理論:選択最適化補償理論
そしてもう1つのSOC理論。日本語で言うと選択最適化補償理論というものです。
シニアは自分の衰えを自覚するからこそ、その衰えによる喪失を最小化しようとし、さらにそれに代わるような目的を考え直したり、新しいことを獲得することを最大化しようとするわけです。
どちらも目的をとらえなおすことが発生する
これらSSTとSOC理論はシニアになって目的を捉え直すみたいなことが発生とするという点で、共通の理論なんですよと伝えられています。
いずれにしても年齢を重ねるにしたがって、定年再雇用とか役職定年とかそういったタイミングがあったとしても、自分の人生を意義ある活動にスムーズにシフトしていったり、自分の衰えを自覚しながらもそれに代わる目的を見つけて新しいことを獲得するそうような活動にシフトしていく。
こういったことができることで定年前・定年後の働き方の幸福度とか熱意を良い方向にもっていけると言えるんじゃないかなということですね。
ただこれに関しては、例えば仕事人たるもの、がんばって仕事をして昇進昇級を目指さないいけない、みたいな偏った仕事感が根付きすぎてしまっていると、そういった調整がなかなかスムーズにいかなかったりするわけです。
そういった固定観念に左右されすぎないよう、個人でできることとか、組織側が気をつけないといけないことがあるよということを、本書の5章以降で細かく解説されています。
シニア世代になって、役職定年とか定年再雇用という時を迎えたとしても、処遇は下がるにしても幸せに働くことができるのが示されているのは、本当に希望のある話だなと思います。
シニアじゃなくても起きる現象
ちなみにちょっと余談で、実はこのSSTに関してはシニアでなくてもSSTのような現象が起きうると伝えられています。
例えば難しい病気にかかるなど、年齢が若かったとしても自分の人生の長さをに短い展望を持つことがあるという話しなんです。
これに関しては僕は割とそうだったんじゃないかなと思っています。
40歳手前にして展相当なブラック企業に入って大変な目にあったわけなんですが、その瞬間に働くって何とか、そもそも生きるってどういうこと?みたいなことを考える時期があったわけなんですね。
その瞬間に展望時期、人生の短さみたいなものが感じられて、自分の人生のとらえなおしが起きたというのは確かにあったなと思っています。
みんながみんなそんなひどい目にあわなくていいと思いますので、ぜひこの書籍「定年前と定年後の働き方」をご覧いただいて、スムーズに自己調整ができるようなテクニックや考え方を身に付けていただきたいと思います。
まとめ
ということで、今日はVoicy「スキルアップラジオ」の放送から「書評『定年前と定年後の働き方』その2: シニアの幸福度と仕事への熱意」をお届けしました。
タカハシのVoicyの放送はこちらからお聴きいただけます。
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では、また。