「越境学習による医療現場のDXの成果とこれから」ノンプロ研定例会イベントレポート#2

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越境学習プロジェクトの一参加企業であるイムス富士見総合病院では、越境学習の成果が出始めています。

2022年9月のノンプロ研定例会では「越境学習による医療現場のDXの成果とこれから」 というテーマで、鈴木院長よりリアルな医療現場におけるDXの取り組みをお話しいただきました。

本記事では前記事に引き続き、定例会の様子をお伝えします。

コロナ禍での気づき

2020年、イムス富士見総合病院ではコロナ診療に本格参入することになります。

業務が一気に増えた緊急事態ということもあり、今やるべき業務やらなくて良い業務を取捨選択できたそう。

そこで、ともにノンプロ研に入っていたメンバーと一緒に、Google Workspace を利用してコロナの災害対策本部用の共有スペースを開設し、そこに情報を集めたり、共有したりする仕組みを作りました。今でも、この仕組みは動いているそうです。

さらに、このコロナ禍のなかで、鈴木院長は「DXって何?」や「医療従事者の特性って何だろう?」ということにも考えを深めていきました。

これまでは社会課題への取り組みやシステム設計、データベースなど考えたこともなかったとおっしゃっていましたが、ノンプロ研にいることでこれまで触れて来なかった情報や、それを熱量高く語るメンバーに触れて刺激を受けたそうです。

医療従事者の特性と求められる仕事の仕方

医療従事者の特性について考えを深めていくと、医療従事者は先輩から教わった業務を深めていくことが良しとされ、経験学習が中心であり、専門性を深めていくことが目標とされている、そのため、自分ひとりで仕事を追究するということは特異だけれども、チームで共有しながら動くということは苦手なのではないか、と気づきました。

また、以前の医療現場では、そのような医療従事者の特性がそのままであっても特に問題は生じていなかったそうです。看護師を中心に据えて、看護師を媒介として患者の情報を得て仕事をすれば事足りたからです。

しかし、近年、診療支援部門や事務部門と連携しながら仕事を進める必要が増えてきました。そのような中で医師は動きながら仕事を進めて行きます。そのため、各所各所で情報が伝達・共有されている必要があり、そのような仕組みが組織に浸透していることが必要になってきています。

ここで情報が共有できていないと、命に関わる重大なことは起きないまでも、「なにか効率が良くないな」「スムーズに行かないな」といった効率の悪さを常々感じながら仕事をすることになってしまいます。

このように医療従事者の特性や医療現場での仕事のやり方をときほぐす中で、チームワークが必要であり、チームワークを進めていくためには自部署だけでなく他部署との連携が重要。そのためには、自分ひとりで深化させる仕事の仕方ではなく、動きながら探索できる人材が必要だという考えが強くなっていったそうです。

越境学習との出会い

奇しくも、そのタイミングで越境学習プログラムのお誘いがありました。

現在の枠組みの中で問題を解決できないのであれば、「そもそもなぜ課題なのか」と枠組みを超えて新しく解決策を考えられる人材がほしい…と考えていた渦中だったため、越境学習が目指すところの「探索型人材」がそれだ!と参加は躊躇がなかったそうです。

初めての越境学習では、イムス富士見総合病院からは計4名、管理職2名と新人2名が参加することになりました。

新人2名は職場(ホーム)での業務が習得中だったり、学習時間の確保などの時間管理が難しかったりと苦戦している様子があったようですが、管理職のメンバー2名は「時間管理は難しかったけど、確保できた」「越境先(アウェイ)での変化は戸惑ったが、環境に助けられた」など葛藤をうまく乗り越える事ができたそうです。

さらに、職場(ホーム)へ戻った際の葛藤はほとんどなく、勉強会を開催したり、改善を進めたりと周囲を巻き込んですぐに活動を開始する頼もしい様子が見られたそうです。

入退院支援業務を、フローの整備して情報収集・共有する仕組みを作ったり、これまではどこに何の情報があるのか、どこを見ればよいのかがわからなかったところを、GoogleWorkspace内に掲示板を作成し、みんなで一つの情報が見れるようになった、という動きも各所で見られてきたそうです。

院内の会議においても、これまでは紙の資料を用意して配布して、ということをしていたそうですが、今ではモニターをつけてそれぞれのパソコンで資料を閲覧するということも実現するようになったそうです。

越境学習プログラム2期も2022年9月から始まり、イムス富士見総合病院からは4名が参加しています。看護婦師長や経理課責任者など、各部門の長から越境学習に送り出しているそうです。

今後の展望

病院の人件費比率は50〜60%と比率が大きく、仕事をする中で重複や転写業務がなくなる意味はとても大きいと鈴木院長は考えています。

「自動化や効率化によって雑務から開放され本来の業務に集中できるようになると、更に業務の精度が上がり、コストダウンも実現できる」と考えています。

鈴木院長は、今取り組んでいる院内のDXの第一段階の目標を「(複雑化した業務を最適化、抽象化する)内部最適化」とおいています。

そして、その先の第二段階では、患者さんが「病院と関わってよかったな」と思えるような新しい患者体験を作ることを目指したています。

この方針は院内でも皆に話しているということでした。

現業務には自動化のしどころ(内部最適化)がたくさんあるので、越境学習で探索系の人材を増やしながら一つひとつ進めていきたい、という言葉で発表を締めくくられていました。


以上、「越境学習による医療現場のDXの成果とこれから」のイベントレポートでした。

本イベントの様子はYouTubeにもアップされています。

当日の実況ツイートもありますので、合わせてぜひご覧くださいね。

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この記事を書いた人

あやか

ノンプロ研在籍の二児ワーママ。ITベンチャー数社経験し、現在はフリーランス。GAS、Python学習中。趣味は読書です♪