2023年9月ノンプロ研定例会「リスキリングは仲間ととともに取り組むべし!学ぶためのコミュニティとそのつくり方」イベントレポート

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去る9月24日、ノンプロ研では「リスキリングは仲間ととともに取り組むべし!学ぶためのコミュニティとそのつくり方」というテーマで定例会が開催されました。

この定例会では、長年「デジタルリスキリング」に携わってきたノンプロ協会代表理事 兼 ノンプロ研主宰タカハシさんと実際に社内コミュニティを作ることに成功したいわきさん、aliceさんの3名から学ぶためのコミュニティづくりについてのお話をしていただきました。

本記事ではイベントレポートとして当日の内容をお伝えします!

コミュニティオブプラクティス~リスキリングにおすすめの理由~ タカハシさんのお話

リスキリング~組織での取り組みとその課題~

前半はリスキリング組織での取り組みとその課題についてです。

帝国データバンクの調査結果によると約半数がリスキリングに取り組んでいるのだそう。

リスキリングとDXには強い相関があり、DXを推進している組織はリスキリングを実施している所が多いとのこと。

また大企業と中小企業を比べると大企業の方がリスキリングに取り組んでおり、中小企業の取り組みについては半数以下にとどまり、取り組み状況については従業員数に比例するとの結果が顕著に出ているそう。

規模別の取り組みについては大企業では新しいデジタルツールやEラーニングが比率を占めるのに対し、中小企業で資金や人的コストが厳しくできる施策に限りがあるとのこと。

そもそもリスキリング施策の評価についてですが、タカハシさんによると研修での評価に使われるカートパトリックの4段階評価というものがリスキリングでもこちらの評価が有効ではないかとのこと。

リスキリングの活動は学習×実践。企業ではインプットの場がたくさんあり、実施はできているが企業としてアウトプットの場は実務以外での機会が用意できていない状況で実際のリスキリングの実践の機会としては物足りないのではないかとタカハシさんは考えます。その実践不足を解決する方法が実践コミュニティとの事。

というわけで組織で取り組むリスキリングの課題としては以下の2つのものがあげられました。

実践コミュニティをおすすめする理由

後半はその2つの課題を解決する鍵となる実践コミュニティ(コミュニティ・オブ・プラクティス)についてのお話でした。

実践コミュニティというと難しく感じますが、社内勉強会やサークルなど実はみんなよくやっていることなのだそう。タカハシさんが主宰を務めるノンプログラマーのためのスキルアップ研究会(通称ノンプロ研)も実践コミュニティです。

1つ目の課題であるお金や人材などのリソース不足についての課題解決につながるものとして、Google社での前例があるそう。

G2G(Googler-to-Googler)というGoogle社内で教え合うプログラムで年間2200の講義が開催され、3000人の講師から21000人が学ぶという社員同士で教え合うコミュニティ。そのことについて後述する書式に紹介されています。

Googleは大企業ですが、小さな会社で外部講師を雇う余力がないということにについてはタカハシさんが普段より提唱されている

⇒教えることは二度学ぶことであるを使うとうまくいくとのこと。

全員が講座で学ぶとコストはかかるが、一人が学んできた後社内で教えることでコストが抑えられる上に、教える側も二度学ぶためより知識が習得できる。

また別の意見として懸念されることとしてお金と時間をかけて育成しても転職してしまうと意味がないじゃないかというものについては、実践コミュニティの性質でカバーできるとのこと。

実践コミュニティは形式知と暗黙知を結び合わせて共有し保管することができるため、万が一誰かが退職したとしてもその知識は組織内で保管されるため心配がないそうです。

2つ目の課題である実践機会についても実践コミュニティは活動をしているだけで実践機会を創出するのだそうです。

前述の内容から実践コミュニティは組織で取り組むリスキリングの課題あるあるの解決につながるのだそうです。

課題解決に重要な実践コミュニティですが、成功するにはいくつかのポイントがあるそうです。

コミュニティコーディネーターとは実施しようとしているテーマに焦点をあててその実践を手伝う人のことであり成功の最も重要なファクターで稼働しないとコミュニティ運営がうまくいかない可能性があるとタカハシさんは考えます。

またそれ以外に書籍で紹介されているコミュニティ設計の7つの原則がこちら

書籍コミュニティ・オブ・プラクティスの中でコミュニティは生き物といわれており各段階で様子をみながら設計をしていく必要があるそう。

より詳しくコミュニティコーディネーターについて気になる方のためにおすすめのVoicyはこちら。タカハシさんがたくさんお話されています。

リスキリング・コミュニティのコンサルティング始めます!

実践コミュニティを作るとはいえ、どうすればいいかわからないという企業のために無料相談受付中とのこと。

「素人が無謀にも社内にコミュニティを作ってみた件」いわきさんの取り組み

続いていわきさんが社内にコミュニティを作られた際の実例をお話いただきました。いわきさんの会社ではIT知識の偏りが課題とのことで、議論やIT化が進まないため知識の偏りをなくしITの底上げをしようとチャレンジされたとのこと。

いわきさん曰くコミュニティの結成は思っていたより簡単、グループチャットなどのコミュニティの場を作成しコミュニティを結成と宣言すれば作ることが可能とのことで、いわきさんの場合はGooglechatでチャンネルを作り情報を発信し呼びかけをされたそうです。

上記方法で12名のメンバーが集まったとのこと。

想像していたよりも簡単にコミュニティを作成できたが、今振り返ってみると会社にとってもマイナスであることはないため協力的であったのではないかといわきさんは考えます。

コミュニティ結成して得られた効果はたくさんあったそうです。

その中でも想定外の効果としてあったのが、ITツールの導入速度が上がったとのこと。理由としては他部門から提案されたものについては受け入れられづらいが他部門が集まるコミュニティで得られた知見を自部門で持ち帰り、自部門で展開されることで知見を受け入れられやすく浸透スピードが上がったのではないかと考えられたそうです。

すべてうまくいったかのようにみえたコミュニティづくりですが、業務が特定の人に集中するなどコミュニティの運用する上での課題が見えてきたとのこと。そして何より活動の継続が難しいと語るいわきさん。

課題解決のために2つの取り組みを始められます。

  1. 質問者と有識者で質問会を実施し録画して公開する
  2. 社内研修教材の作成・研修のプレ開催を実施

こういった活動をおこなうことで、以前より活動が活発になっていたと感じている。目標に対しても想定より簡単にコミュニティが作成でき、かつ効果的だったため今後もよりIT推進に尽力されるとのことでした。

「『私には社内勉強会なんて絶対ムリ』と思いながらショートカットキーの勉強会をしてみました」aliceさんの取り組み

最後にaliceさんのお話です。

コミュニティ作成について以前は大変そうで私には無理だと思っていたと語るaliceさん。そんなaliceさんが数年前にショートカットキーを学ぶ勉強会を作ったきっかけは休職してしまった後輩さんなのだそうです。その方を助けるためになにかできることがあるのではないかと思ったaliceさんは仕事以外でつながれる場を作りたいと考えたとのこと。

同じ部署以外の人と話すきっかけを作りたい、成長していることを日々感じられる場を考え、きっかけだった後輩さんは参加されなかったけどやりたいという人がいて開催することに。

誘っていく中でも断られたらどうしようとか、勉強したいっていったら周りからどんな反応されるだろう等不安がたくさんあるところ勇気をもって声をかけると参加者が集まる。

ルールとしては1日10分、役に立つよりも楽しいを重視した結果周りの感想は上々。aliceさんとしてもワークをきっかけにコミュニケーションをとってくれたり、仕事で評価されているのを目の当たりにして嬉しい気持ちになったそうです。

そしてその勉強会実施から数年経ち部署異動をしてリスキリングツアーをきっかけに、今度は1日5分とハードルをさらに下げ再度ショートカットキーの勉強会を始めることに。誘ってみると、みんな成長したいと感じているのか快諾される方が多かったそうです。実施してみてのaliceさんの感想はポジティブな意見がたくさん。

勉強会の実施というのは忙しさに追われてなかなか実施できず、誘う際にも「忙しい中誘ってもいいのだろうか」と懸念してしまうため一旦躊躇してしまう中、以前勉強会をしたメンバーに相談してみたところ、現在もショートカットキーを活用しながら仕事しているとのこと。勉強会は、関わった人だけでなくその周りの人にも影響を与えることができたとのこと。今後も忙しさに負けずに実施をしていこうと締めくくられたaliceさんでした。

実践コミュニティ作成・運用と考えると難しく考えてしまいますが、3名のお話を聞いていると自分にもできるかもと前向きな気持ちになりました。ありがとうございました。

そんなリスキリングについてのタカハシさんの書籍はこちらからご確認いただけます。

本定例会はYoutubeにもアップされています。

X(旧twitter)にも実況がポストがまとめられていますので、合わせてご覧くださいね。

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この記事を書いた人

たかまい

ノンプロ研所属
二児の母
趣味は編み物と英会話